再エネまでも安全保障の危機に
ウクライナ危機で値上がりをしている電気料金が、再生エネルギー普及のためにさらに値上げを余儀なくされている。
家庭での電気料金は、使用した電気の量(kWh)に3.36(円/kwh)をかけた計算となっているが、「再エネ賦課金」が、平均的な家庭で4月以降の負担が年1万764円になる。

さらには再生エネルギーの普及が進むことで別の懸念も浮上してくる。最近のことばで「経済安全保障」。つまり、私たちの安全と生活が脅かされている事態になっている。
安全保障見極めの転換期
昨年、中国に本社を置く上海電力の日本法人「上海電力日本」がメガソーラーの事業会社を224億円で買収していたことが分かった。
岩国市はアメリカ軍の岩国航空基地と、沖縄県嘉手納空軍基地を結ぶ航路にあたり、さらには瀬戸内海を見渡せる。
戦略的に重要となるこの場所に、こうもやすやすと外国資本のインフラ基地が介入していいのであろうか。

岩国市にあるメガソーラー事業所
山口県岩国市の元ゴルフ場開発用地をつかい、総敷地面積214ヘクタールのうち、110ヘクタールに太陽光パネル約30万枚が設置されている。
日本国内の会社ではなく全て中国電力に売電する予定で、売電収入は年約36億円にものぼる。

住民の不安
林地開発許可の見直しなどを求める1403人分の署名が県に提出されたが、メガソーラーパネルは建築基準法の対象外であるため、地元住民との協議を必要としない。
「数回にわたり事業が転売されたことで事業主の実態が把握できていない。トラブルなどが起きた場合どこが対処するのか」と憤りを隠せない。
建設工事は2024年6月までを予定しており、工事完了後、40年9月までを送電期間としている。

インフラの基幹が安全保障の野ざらしに
外国資本によるメガソーラーの買収は全国で広がっており、全体の約3割を外資が占有しているという。
上海電力のようにわかりやすい外国企業による進出ではなくても、メガソーラーや洋上風力発電など、日本の大手商社が受注していても運営やシステム、ネットワークが実は中国資本ということもざらにある。
もし中国政府が日本に対して嫌がらせをしてきたときに、電力の確保がおぼつかない事態になるとすれば安全保障上の脅威ともなりうる。

政府の介入は必ずしも悪ではないので、安全保障の線引きは早いうちにしっかりと引いておきたい。