社会・文化

最期の言葉は「ママごめんね」被告の母親が語った5歳児餓死事件当日の様子

公判で明らかになる事件の様子

2020年4月に福岡県篠栗町で起きた5歳児餓死事件を覚えているだろうか。

当時5歳だった三男の翔士郎ちゃんに母親が十分な食事を与えず、餓死させた本事件。

保護責任者遺棄致死の罪で逮捕された碇利恵被告(40)の裁判員裁判が、6月6日から福岡地裁で始まり、注目を集めている。

起訴状によると碇被告と3人の子ども達は、碇被告のママ友で同罪などにより起訴、公判前整理手続き中の赤堀恵美子被告(49)によって生活全般を支配されていたことがわかっている。

福岡県警の調べで、赤堀被告は「碇被告の夫が浮気している」などと嘘をつき、さらに“ボス”と呼ばれる架空の人物を利用して碇被告を心理的に支配した挙句、生活費を搾取したり一家の食事管理をしたりしていたという。

この異様とも言えるママ友との関係が印象に残っている人も多い事件であろう。

両被告は2019年8月頃から共謀し、翔士郎ちゃんの食事の回数や量を減らし、重度の低栄養状態に陥らせた。

更にそのまま放置された翔士郎ちゃんは2020年4月に餓死。碇被告は罪状認否で起訴内容を認め、翔士郎ちゃんが亡くなる約1カ月前から「頭がキンキン、ガンガンする」などと訴え、ふらつくこともあったと語っている。

弁護側は「碇被告は赤堀被告にマインドコントロールされた状態だったため、重い実刑は相当でない」として情状酌量を訴えた。

検察側の冒頭陳述では、翔士郎ちゃんの死亡時の体重は5歳児の平均の半分弱の約10キロしかなく、死亡する直前には1日の平均食事量は、わずか40キロカロリー程度だった。

2020年3月には、10日間にも渡って食事が与えられなかったこともあり、検察側は「碇被告は翔士郎ちゃんの生存を第一に担う立場でありながら赤堀被告を安易に信じ込み、子育ても放棄していた」と指摘。「長期に渡り、翔士郎ちゃんに飢えの苦しみを与えたことは非常に悪質だ」と主張している。

2人の被告の出会いは事件の4年前

碇被告と赤堀被告の出会いは事件の4年前、2016年4月にさかのぼる。

互いの子どもを通わせていた篠栗町内の幼稚園で知り合った。当時、赤堀被告は名前や年齢を偽っていたことが後に明らかになっている。

当時の赤堀被告は横柄な態度と汚い言葉遣いで知られ、「虚言癖のクレーマー」と呼ばれる地域では有名な存在だった。

そのため、赤堀被告と知り合った当初の碇被告は、「子どもに悪影響がありそうだから、親しくしたくない」と言っていた。しかし、いつの間にか2人は仲良くなり、周囲を驚かせた。赤堀被告と仲良くなってからの碇被告は、次第に他のママ友との距離を置くようになっていったという。

碇被告は逮捕当時の取り調べで、「子どもの食事を抜かれることが怖くて赤堀被告に逆らえなかった」「今は洗脳が解けて(翔士郎ちゃんに)申し訳ないことをした」などと、後悔の念を話していた。

翔士郎ちゃんが亡くなる直前の様子と最期の言葉

6月9日には第4回公判が行われ、被告人質問において事件当日の様子や亡くなる直前の状況が明らかになった。

翔士郎ちゃんが亡くなる当日は、夕方に翔士郎ちゃんを外で運動させていた。

その時翔士郎ちゃんは「きつい、頭が痛い」と訴え、うつろな目をしていたという。自宅に帰った後の翔士郎ちゃんはリビングで丸まって動かなかった。目は開いていたが焦点が合っておらず、どこを見ているのかもわからないような状態だったため、碇被告は赤堀被告にLINEで伝えた。被告質問で当時の気持ちを聞かれた碇被告は、「死ぬっちゃない?」との返信があり、「簡単に『死ぬっちゃない?』と言われたことが嫌だった」と述べた。この後、赤堀被告は様子を見に来たが、「(翔士郎ちゃんが)反応するから大丈夫」と言い、帰宅した。

しばらくして翔士郎ちゃんは動かなくなったが、日頃からどんな些細なことでも赤堀被告と“ボス”の許可が必要だったことや、翔士郎ちゃんについては「様子を見ろ」と指示されていたことから碇被告は119番通報をしなかった。

赤堀被告に洗脳され、“ボス”の存在を信じ込んで過剰に恐れていた碇被告は、翔士郎ちゃんの様子をただ見ていることしかできなかった。

当時の碇被告の精神状態や赤堀被告との関係が、如何に異様なものだったかがうかがえる証言である。

そのことに関して碇被告は、「赤堀被告達に怒られたとしても反抗すればよかった」と答えている。

碇被告は結局119番通報をせず、赤堀被告の家まで助けを求めに行った。赤堀被告と一緒に訪れた赤堀被告の夫がようやく通報し、翔士郎ちゃんは病院に搬送され、死亡が確認された。

翔士郎ちゃんと最期に交わした言葉についても語った碇被告。

弁護側から「翔ちゃんは何か言っていたか?」と質問されると、翔士郎ちゃんの最期の言葉は「『ママ、ごめんね』」だったと明かした。

赤堀被告については「絶対に許さんと思いました」と話し、「翔士郎ちゃんにとって赤堀被告と自分のどちらが許せないと思うか」との問いには、「私だと思います」と答えた。

6月17日に、事件の判決が言い渡される。

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