安倍元首相、「日本でも議論していくべきだ」 核共有について
自民党の安倍晋三元首相は、ロシアのウクライナ侵攻を受け、日本も「核共有」について議論をしていくべきと述べました。
安倍元首相は、現在ウクライナで起こっている情勢を踏まえ、今後日本も他国の侵攻に備え、米国の核兵器を日本の領土内にも配備し共同して運用することが必要と言及しました。
「日本には非核三原則があるが、いま世界ではどのように安全が守られているかという現実について議論していくことをタブー視してはならない」と持論を述べた。
さらには「被爆国として核を廃絶するという目標は掲げなければいけないし、その目標に向かって進んでいくことが重要」と語った。
また、欧州でもベルギーやドイツ、イタリアなどは米国との核共有が採用されており、今後、様々な選択肢を視野に入れ議論を行っていくべきだとした。
米国の対台湾政策に関し、「曖昧戦略を捨てるべきだ」とし、台湾情勢を巡り「西側諸国が現状を力によって変更することは許さないという認識を持つべきだ」と訴えた。
ロシアのウクライナ侵攻に安倍元首相は、「これはこれまで私たちが作ってきた国際秩序に対する重大な挑戦」と批判した一方、かつてロシアのプーチン大統領との会話の中でプーチン氏がNATOの拡大に不満を持っていること、信用できないことなどを語っていたとし、今回もプーチン氏は領土的野心というよりも、ロシアの防衛安全などに関する問題で行動を起こしたのではないかとロシアのウクライナ侵攻に対する見解を述べた。
そして、この機に準じて北朝鮮から弾道ミサイルのようなものを発射したという報道に安倍氏は、「こういった状況の中、色んな揺さぶりをかけてくることは予想できたこと」とし、「防衛省や自衛隊は緊張感を持ってみていたと思う」と語った。
ドイツ、核禁条約にオブザーバー参加
昨年12月、ドイツでは各政党がまとめた連立合意書に、核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加を盛り込んだ。
核兵器のない世界、ドイツを目指すとし、同時にロシアなどの脅威を念頭に米国との核兵器の運用を「共有」する仕組みを維持する姿勢も明確にした。
核兵器禁止条約へのオブザーバー参加の表明は主要7か国(G7)では初めてで、北大西洋条約機構(NATO)加盟国ではノルウェーに次ぎ2か国目とみられます。
ドイツは米軍の核兵器があり、国内にもドイツ戦闘機を使うなど「核共有」の仕組みが存在する。
核兵器について「戦略的な議論や立案プロセスへの参加はドイツの利益」と指摘し、核共有に必要な戦闘機の後継システムの整備を急ぐこととした。
これに対し、ブリンケン米国務長官は核兵器禁止条約締結国会議にオブザーバー参加する見通しのドイツに核政策での連携を促し、ドイツが米国と核兵器の運用を共有する枠組みを維持する方針を示したことを歓迎した。
この枠組みはロシアを抑止する役割になり、米国の欧州に対する「核の傘」の柱になっており、ブリンケン氏は「核軍縮という目標に向けて前進する考えを理解し、共有している」とも強調した。
核兵器とは
核の分裂や融合、原子核反応によるエネルギーを爆発的に発生させ、大量破壊や殺傷のために用いる兵器と呼ばれる。
世界で最初の核兵器は核分裂兵器で、知っての通り、1945年7月に完成した大量破壊兵器は8月6日に広島、9日には長崎に投下され、二つの都市は破滅した。
続けて、核融合を利用した水素爆弾が作られたが、当時その原子爆弾は1発あたり4トン以上の重さがあったとされている。
核融合反応では大量の中性子が発生し、この中性子でさらに核分裂反応を起こせさせることもできるとされる。
その後も技術が進み、核兵器の小型化や軽量化が進んでいったと同時に核兵器体系も発達していき、戦場での使用を目的としたさまざまな種類の戦術核兵器が開発されていった。
核兵器に関する戦略と戦術の違いはそれぞれの「射程」によって分けられ、相手国を直接的に攻撃できる射程範囲である、両国間の最短距離が5500キロメートル以上の射程をもつ弾道ミサイルだと戦略核兵器として定義される。
すなわち敵の中心地または戦場で使用されるのかによっても変わってくるとされる。
戦略核兵器と戦術核兵器
戦略核弾頭を運ぶ系としては、大陸間弾道ミサイルや潜水艦発射弾道ミサイルや長距離型の爆撃機が、戦術核兵器体系には地上からの発射の短距離型弾道ミサイル、核砲弾を発射する大砲、空中発射の短距離ミサイル、核爆弾、潜水艦や水上艦艇から発射する核ロケット爆雷、核魚雷、核地雷、核機電などがある。