アベノマスク115億円分が配られず・・・8200万枚が保管
新型コロナウイルス対策として政府が2020年3月以降、全世帯および介護施設に配布した布マスクいわゆる「アベノマスク」は会計検査院の調べで約8300万枚が使われずに保管されていたが明らかになった。
平均単価で計算すると、総額はおよそ115億円にのぼり、昨年8月~今年3月まで倉庫に保管した保管費用は約6億円になったと政府が認めた。
また、会計検査院は日本年金機構が業務に使うために調達した1300台のパソコンが活用されず、さらにこのうちの850台分が契約自体必要なかったとされ、1億1400万円相当が無駄になっていたと指摘し、改善を要求した。
その他コロナ対策として実施された「雇用調整助成金」、「持続化給付金」では約20億円の不正受給が確認されたとされる。
なお磯崎官房副長官は「当時の調達は全世帯向けの必要な枚数、介護施設向けの必要な枚数を想定して調達した。全世帯向けは全て配布されたと承知しているが、介護施設向けは配布方法が一律の配布から希望に応じた随時配布に見直した」とし、「調達について、特に問題があったとは考えていない」とした。
なお、保管されているマスクの利活用については「必要に応じて検討したい」としている。
アベノマスク

新型コロナウイルス感染症の影響により2020年2月以降、日本国内で発生しているマスク不足を解消することを目的に安倍内閣が実施した、全世帯にガーゼ製の布マスクを2枚ずつ配布するという緊急対応策を指す。
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行によって日本でのマスク入手が非常に困難になったことから、医療関係者には優先して不織布の使い捨てマスク、一般国民には洗剤で洗って再利用できるよう、布性のマスクを使用してほしいとのことから配布が決まった。
当時、佐伯耕三内閣総理大臣秘書官が首相に対し進言し、「新型コロナウイルス感染症緊急対策」で閣議決定により、布製のマスクが一般家庭への配布が始まった。
この配布政策は安倍首相の経済政策アベノミクスになぞらえ、「アベノマスク」と呼ばれるようになり、海外メディアでも取り上げられた。
当初、政府は2020年6月時点で必要な費用を総額260億円(調達184億円、配送費76億円)と見込んでいたとされたが、2019年度の予備費、2020年度補正予算案ではマスクの購入費用を1枚あたり200円程度、全世帯2枚ずつの配布で1億3000万枚を調達し、計466億円を使用する計画とした。
布マスク配布の方針については一定の評価があった一方で、不織布マスクよりもサイズが小さいことや、配布されたマスクに虫や髪の毛など異物が混入されていたこと報告が多数あり、さらに全ての世帯に配布するのに時間がかかったこと、すでに一般販売が回復し始めたこともあり厳しい批判の声が相次ぐこととなった。
調達元
厚生労働省によると、アベノマスクの調達元は興和、伊藤忠商事、マツオカコーポレーションの3社に加えて非公表の1社の合計4社とされた。
(のちに非公表とされた企業は福島市にあるユースビオという会社であることがわかった)
契約額はそれぞれ、約54.8億円、28.5億円、7.6億円になった。
地方でアベノマスクを批判する野党と余剰分の対応
以前、成田市で行われた立憲民主党の辻元清美副代表は「アベノマスクには500億円も使っているのに国産の治療薬開発の予算はたった100億円。税金の使い方、間違っているでしょ」と指摘した。
さらに、アベノマスクを有効活用しようと、習志野青年会議所では昨年4~6月末、未開封であったアベノマスクの寄付を募り、市内に回収ボックスを設置すると、アベノマスク約3千枚を含む1万224枚が集まり、介護施設など市内53か所に届けられたという。
田村祐介前理事長(37)は、「税金で作られたもの。本当に必要としている人に届けたかった」と話す。
布マスク、ウイルス防止の役割はあまりない
政府が国民全世帯、介護施設に配布した布マスクについて、横倉義武日本医師会会長は飛沫(ひまつ)を浴びて大量のウイルスが入ることは少しは防ぐことはできるが、「ウイルス防止の役割はあまりない」と指摘した。
また、当時安倍首相を会談後に記者団に対し、政府が布マスク配布を行うことは、国民の安心をつくるという意味では効果はあると述べていた。
ネットからの反応
「ウイルスもスルーしてしまう布マスク。頭が良すぎる官僚の意見で購入。正に裸の王様状態。このお金で他に支援できた。PCR検査拡充も十分にできた。全くのムダ金。」
「こんな使えないマスクを配って多額の税金を無駄遣いしても、責任ひとつ取れない自民と公明が、また選挙後に与党として政策決定していくようになるのかと思うと…怒りしか無い。せめてやらかした分と議員報酬が見合う分だけ、議員定数減らしてくれ。」
「あんな小さなマスクでは感染予防には役に立たない。そんなものを国が確認もせずに超多額の税金をかけて調達したことが問題。
布マスクでも、きちんとしたものが準備されたなら、マスクの配布自体に問題があった訳ではない」