食料自給率を上げるための挑戦 ~日本の農業を変革する~

約7割の食料を海外に頼っている日本

ウクライナ情勢の悪化によって、日本では自国の食料自給率の問題が浮き上がってきている。農林水産省の発表によれば、2020年度の日本の食料自給率は37%(カロリーベース試算)で、過去最低記録を出した2018年と同水準に下がったという。

つまり、簡単に解釈すれば、現在日本で食べられているもののうち約3割が国内で生産されたもので、残りの7割は海外からの輸入に頼っているということになる。

戦後直後の1946年度の日本の食料自給率は88%だった。

ところが、1965年度に73%の水準に達して以降、緩やかに下降し始め、2000年以降は40%前後でほぼ横ばいに推移している。

一方、海外では、カナダは264%、オーストラリア224%、アメリカ130%、フランス127%など成長しており、日本との差は歴然としている。

日本も食糧不足になる可能性が。。。

食料自給率から見える日本の農業の課題

日本はすぐにでも自国の食料自給率を上げる必要がある。

なぜなら、現在のままだと世界中で見られる異常気象や天候不順、もしくは国際情勢によって輸入が制限されれば、すぐさま食料不足に陥るリスクが高いからである。

現に昨年起こった北米での天候不良、ウクライナ紛争の影響によって食料品の値上げのラッシュが2022年1月以降続いている。

この状況が続けば日本の食卓に食べ物が並ばなくなる可能性があるかもしれない。

食料自給率が好転しない理由としては、高齢化による農業生産者の減少、またそれに伴う耕作放棄地の増加といった、農業そのものの衰退が挙げられている。

農業の課題

人不足の農業には若者が必要

少子高齢化や都市への人口流入によって慢性的な人材不足に陥る農林水産業だが、やはり再生のカギは若者の雇用受け入れにあると言える。

まず一つ目に、農林水産業の技術を次の世代に教育し伝承すること、これはどの産業でも必要になり持続していくためにとても重要な課題である。

また、技術の伝承だけでなく、現在の耕作放棄された農地の活用や、既存のインフラの活用で、新しい農業を目指す若者に就職機会を与えることも可能になってくる。

若い世代が育ち、産業が活性化されれば、若者にとって魅力的な仕事になる。

若者が必要だ!

少子化で若者が集まらない

しかし、少子高齢化などによって生産年齢人口が減り続けるなかで、若者の獲得は年々難しくなってきている。

都会では魅力的な仕事がたくさんあり、人気職業にばかり雇用が集まってしまい、

農業に目が向かない若者がたくさんいるというのが現状である。

そこで、欧米などの大規模高収益な農業のビジネスモデルを見習い、若者に魅力的なビジネススタイルを形成する必要がある。

そして農薬や、食の安全といった不安要素を排除できる農林水産業へと変革していかなければならない。

日本の農業が変革し、若者が活き活きと働ける職場にするには、いま大きな変革が必要とされているのである。

農学部系学生の課題

生物・農学分野では、生物を使った長期間の実験を必要とすることが多く、その修得に長い時間がかかるため、生物系の学生は他分野に広い視野を持つ人材が少なくなるという問題がある。

しかし日本では理工系に進学する高校生の生物の学習時間が諸外国と比べて少なく、理工系の学生は、生物やバイオテクノロジーを学ぶ機会に乏しいのが現状で、日本のアグリバイオ分野の人材が育たないという大きな問題点となっている。


農学部は若手人材育成に欠かせない

アグリバイオ分野の人材不足の課題に挑戦するべく、東京理科大では農業の専門知識をしっかりと学習しながら、共異分野の教員や学生と交流し研究を進められるカリキュラムがあるという。

この環境下で学生は幅広い視野と問題解決能力が身につくことができ、今後の人類が挑むべき食料・環境問題等の課題を見直し解決する力を高めた人材を育てることができるとしている。

また共通の大きな目標を持つ異分野の学生同士が力を合わせ、自分の得意なことを教え合う姿は、今後の大きな可能性を感じさせ、事実こうした異分野教員間の学際共同研究は、しばしば大きな研究成果につながり私たちの生活を良い方向に変えられる可能性があるという。

現在の農業を変革する際には専門知識や課題解決力を持つプロフェッショナルを育成していく必要がある。

農学部は重要な人材育成の役割を担っているのである。

政府も積極的に対策

政府によると5月にまとめる提言に、中間層世帯の大学生らを対象とする新たな修学支援が盛り込まれることが分かった。

既存の給付型奨学金や授業料減免の支援制度を拡充し、世帯年収の目安が380万~600万円の家庭への支援を新設する。

理工農学部系の学生や子どもが3人以上の多子世帯が対象となる見通しで、中間層の教育費負担を軽減する狙いがある。

理工農学部系は実習や実験が多く、授業料が高額になる傾向があるため、多子世帯では、高卒後の大学進学希望の割合が平均より低く、就職の割合が高いとの調査結果もある。

理工農学部の学生に対しては支援を手厚くし、改革が必要な分野に対し人材育成を進めていく方針である。

岸田首相は3月の教育未来創造会議で、学生が就職後、一定の年収に達した段階から授業料を返済する「出世払い」方式の奨学金制度創設に向けた検討を指示している。

ウクライナ情勢の悪化によって浮き上がった日本の食料自給率の問題を通して、日本がかかえる長年の農業の問題にスポットが当たり始めた。

外国情勢の影響を受けず、持続可能な日本を作っていくには農業にいま大きな変革が必要とされているのである。


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