禁断の恋、米アラバマ州の元看守、死亡確認
先月29日から、アメリカ南部アラバマ州刑務所の女性看守が殺人罪で服役していた受刑者の男とともに逃走していた事件で、2人がカーチェイスの末に警察に身柄を拘束されたことが分かった。
元看守のビッキ・ホワイト容疑者は拘束中に自らを銃で撃ち死亡した。
2人の発見につながる情報には最大で1万5000ドル=およそ200万円の懸賞金がかけられていて、市民からの目撃情報が逮捕につながったということである。

精神鑑定を受けさせると嘘をついて逃走
刑務所の看守をしていたビッキ・ホワイト容疑者と、殺人罪でも起訴されているケイシー・ホワイト受刑者がこつぜんと姿を消した。
女性は勤続20年のベテラン看守、男性は殺人罪で懲役75年を受けている受刑者で、
お互いの立場から映画のような事件として、捜索は全国規模の注目を集めていた。
2人は同姓であったが、血縁や婚姻関係はない。

4月29日午前、看守のホワイト容疑者が受刑者に精神鑑定を受けさせると嘘をついて刑務所から連れ出した。
独房を出た直後とみられるホワイト受刑者は頭を刈上げ、特徴的な長いあごひげもそり落としていた。
2人が刑務所を出る際に使ったパトカーは目的地に行かず、近くのショッピングセンターの駐車場に乗り捨てられていた。
CNNによると、パトカーの車内からはビッキ容疑者が所有する拘置所の鍵や無線機、手錠が見つかったという。
保安官は「私たちは彼女は受刑者に脅され、このような行動をとらなければいけなかったのではないかと思いたい。彼女を信じています」とコメントしていた。
だが奇しくも事件当日は、退職を申し出ていたホワイト看守にとって最後の勤務日であった。
ホワイト看守の母親は事件について、「ケイシー・ホワイト受刑者のことは聞いたこともないし、写真を見たこともありません。娘はスピード違反で切符を切られたこともないくらい真面目なんです。それなのに何でこんなことに!?」
その後の調査から、受刑者には精神鑑定などで刑務所を出る必要のある予定はなかったことが判明した。
また警察は、ショッピングセンターで2人がパトカーを降り、ビッキ容疑者の用意していた別の車で駐車場から逃亡したと断定した。
これを受け 5月2日には、受刑者の逃走を幇助した疑いで、ビッキ容疑者に逮捕状が出され、当局は2人の発見につながる情報に最大で1万ドルの懸賞金を出すと発表した。

1万ドルの懸賞金の末に・・
各地から数百に及ぶ情報が寄せられたが、そのうちの1つが2人の居場所の特定と逮捕につながった。
シングルトン保安官によると、二人の居場所の情報を入手したのは8日夜だった。
連邦保安官によると、かつらを着けてホテルから出てくるビッキ容疑者を発見。ケイシー受刑者とともに乗り込んだ車を追跡したという。
その後2人の乗った車両は、カーチェイスの末、連邦保安官チームの車両に衝突し横転。
警官らは大破した車両からケイシー受刑者を運び出すことはできたものの、ビッキ容疑者は車内で倒れていた。
ウェディング保安官は「頭部に銃で撃った形跡があり、発見当時にはすでに重体だった」と語った。ビッキ容疑者は病院に運ばれたが死亡が確認された。
報道によるとケイシー受刑者は警官らに対し、まず妻を助けるように懇願した。
ビッキ元看守自ら頭を撃ち自殺を図ったのであって、自分が撃ったわけではないと供述した。
連邦保安官らの知る限り、ケイシー受刑者とビッキ元看守は結婚していなかった。

刑務所内での二人の関係
後日、リック・シングルトン保安官は「ケイシー・ホワイトとビッキー・ホワイトの間には、通常の勤務時間外に関係があったことを確認した。」と発表。
同刑務所の受刑者らは、2人の関係について、「彼のトレーには他の受刑者より多めに食べ物をのせたり、彼が別の施設に移されていた期間、2人は文通もしていました」と恋愛関係にあることを明かし、特別扱いを受けていたと証言しているという。
ホワイト看守は2週間前に逃亡資金の工面を急いでいたのか、自宅を売却していて相場2700万円の所、半値以下の1200万円で売り払っていたことが分かっている。事件前の週には退職手続きの書類を提出し、海岸沿いへの転居を考えていたという。
刑務官であるビッキー・ホワイトについて、保安官リック・シングルトン氏は「彼女は模範的で真面目な職員でした」と語った。
一方、受刑者のケイシー・ホワイトは、強盗やカージャック、虐待など複数の罪で収監されていた。他にも50代女性を殺害した罪にも問われている凶悪な前科者であった。
真面目な看守と凶悪な受刑者、二人の愛は悲劇に終わってしまった。

