1日1杯のお酒でも脳が委縮する 飲めば飲むほど脳の老化が進む
お酒の飲み過ぎは体に良くないことは周知の事実だが、最近では少量であっても心疾患のリスクが高まることやたった1日1杯のお酒であったとしても、脳が委縮することが分かった。
お酒の飲み過ぎは毎日または1杯飲むごとに、そのリスクは大きくなっていくと言われ、脳の老化が進むなど脳への悪影響があるとされています。
ウィスコンシン大学のレミ博士は、3万6000人分のデータを用いて、お酒がもたらす脳への影響を調査した結果、1日に1杯飲むだけでも脳が委縮することが判明したという。
また、お酒を飲む量が増えれば増えるほど、影響が大きくなることが明らかになった。
博士は、「飲酒の脳への影響は指数関数的であるという証拠があります」と述べている。
飲酒をする人ほど脳萎縮が進んでいき、白質の結合も少ないことが明らかになりました。
1日に飲酒する量が多くなればなるほど、脳の萎縮効果は大きくなっていきます。
これまでもお酒による脳への悪影響は示されてきましたが、今回の研究では、改めて確認された形となりました。
これまで、飲むお酒の量は適量であっても健康に良いのかどうかはっきりとわかってきておらず、中には軽く飲む程度なら、むしろ健康にいいとする説があったくらいだとされています。
1杯ごとに脳へのダメージ
毎日飲むほど、脳への影響は増えていき、飲む量が増えるとその分、リスクも上がり、飲むごとにそのダメージも蓄積されていく。
たとえば、50歳の人が1日に16gほどのお酒を飲んでいたとすれば、飲まない人よりも脳が2歳も老化していることが判明した。
ビールに換算すれば、コップ1杯から2杯(180ml~360ml)、日本酒ならおちょこ2杯から4杯(60ml~120ml)に相当する。
そして、さらに毎日16g~24gのお酒を飲むと、3.5歳脳の老化が進むことになるとされ、日本酒なら1合くらいでビールなら大瓶1本くらいだ。
それに加え、32gの純アルコール量を摂取し続けた場合には10歳以上も脳年齢に差が出てくるとされる。
しかし、この研究は飲酒と脳の萎縮との関係を示したもので、その因果関係を証明しているわけではないとしている。
アルコールが脳に良くないと考えられる理由には、酔っ払うと脳内で炎症を引き起こす酵素が活発になり、そのせいで灰白質が失われ、白質の結合もまた損なわれるかもしれないとされている。
お酒による健康被害
大量にお酒を飲むことが体に良くないということは、多くの人が知っているが、ほどほどに飲むことはどうだろうか。
酒は百薬の長ともいわれてきたわけだが、例えば抗酸化物質が含まれるワインは数杯であれば体にいいとよく言われれており、実際に世界でもっともヘルシーとされる地中海食にも、ほどほどのワインがセットになっている。
しかし、イギリスで行われた大規模な分析によるとお酒に適量はなく、35万人以上の大規模なデータから、たとえ少量であっても飲酒は健康に悪いことが明らかになっています。
お酒と健康の関係では、ほんの少量であれば死亡率は下がり、飲み過ぎれば死亡率は上がるとされてきた。
しかし、最近の研究ではそれは誤りであり、たとえ少量であっても死亡率のリスクは上がるとされる。
例えばアルコール度数4%のビールを850ml飲むごとに、心血管系の病気になるリスクが23%上昇することが明らかになった。
健康にいいとされるワインでも、狭心症や心筋梗塞などの心疾患系の病気を最低限度に予防する効果があるとされるが、それ以外の心血管系の疾患についての予防効果は認められなかった。
また、ビールや蒸留酒のようなお酒については、もっと体に悪く、少量飲むだけでも心血管系の病気で入院するリスクが高まってしまうと言われている。
アルコールが記憶に及ぼす影響
個人差はあるが、お酒を飲み、酔いが回るとそれ以降の記憶が飛ぶことがある。
しかし、どうして酔っぱらうと記憶が飛ぶのだろうか。
ニューヨーク大学の神経心理学者によると、アルコールは脳のどの部位であっても容赦はしないという。
アルコール血中濃度が高まれば、脳の隅々まで行き渡り、全機能を低下させてしまう。
また、お酒は1,2杯飲んだだけで効いてきて、気分が高騰したり、脳機能、運動機能の低下や少し感傷的になったり、衝動的になったりもする。
さらに3、4杯と飲み続ければ、血中のアルコール濃度は飲酒運転の基準となる0.08%前後にまで上がる。
そうなると、辺縁系が司る基本本能が前頭皮質が司る高次の判断を上回るようになり、10杯ほどになれば、呼吸や心拍といった脳の中枢である基本機能すら低下するとされる。