社会・文化

16年間逃亡していたマフィアのボスが逮捕!古今東西、間抜けな逮捕劇

マフィアのボスからピザ職人への転身

殺人の罪で指名手配され、16年もの間逃亡し続けていたイタリアのマフィア組織のボスだった男が、フランスで拘束された。

国際刑事警察機構(ICPO)が発表したもので、欧米のメディアによると、拘束されたのはイタリア南部カラブリア州を拠点とする犯罪組織“ヌドランゲタ”に関与するとされているエドガルド・グレコ被告、63歳。

1991年に起きた2つの事件で2人を殺害したとして殺人罪などに問われ、2006年に指名手配された。

それ以来、16年逃亡生活を送っていたグレコ被告は、カラブリア州を支配している麻薬密売組織“ンドランゲタ(Ndrangheta)!と関係があるとされている。

イタリアで起きたマフィア戦争の一部で2人の兄弟を魚屋の裏に誘い出し、鉄の棒で殴り殺した後、死体を酸で溶かした疑いももたれている。

逃亡中に行われた裁判では被告不在のまま終身刑が言い渡され、“危険な逃亡者”との異名で呼ばれていた。

逃亡中のグレコ被告はフランスに逃亡し、リヨンでシェフとして働き始めた後、2021年にフランスのサン=テティエンヌで、パオロ・ディミトリオという偽名を使ってイタリア料理店“カフェ・ロッシーニ・イタリアン・レストラン”を開店。

ピザ職人として働いていたのだ。

店が開店したときには、本場のおいしいピザを焼くピザ職人パオロとして、地元紙に「夢を叶えた」として紹介されていたという。

グレコ被告は取材されたことが嬉しかったのか、店のFacebookにこの記事を掲載していた。

グレコ被告は別の店でもピザ職人として働きながら、国際指名手配されながらフランスで身を潜めていたが、確かなピザの腕前を持っていたために話題になってしまったことが、皮肉にも逮捕につながったのだ。

ピザ職人としての賜物を発揮した結果…
ピザ職人としての賜物を発揮した結果…

ピザ作りの確かな腕前が裏目に

フランスでは人気のピザ職人だったグレコ被告は、逃亡生活も長くなり気が緩んだのか、ピザ職人として注目を浴びるようになったのが嬉しかったのか、SNSに投稿したり、メディアの取材を受けて顔を出したりしていたため、グレコ被告の共犯者を監視し続けていたICPOの捜査官の目に留まった。

覆面捜査官がグレコ被告の焼いたピザを持ち帰り、付着していたDNA解析を行った結果、 グレコ被告のDNAと一致したことが逮捕の決め手。

何も知らないグレコ被告は地元紙の取材でピザ作りに関する専門知識を披露していたが、その後フランスの警察に逮捕された。

グレコ被告の逮捕について、イタリアのカラビニエリ警察署のアガティーノ・サヴェリオ・スポト捜査官は、「彼の料理への情熱が、逃亡しているという事実を裏切ってしまったのでしょう」と語った。

料理への情熱で、逃亡中という感覚も薄れたか!?
料理への情熱で、逃亡中という感覚も薄れたか!?

50年近く前の日本での間抜けな逮捕劇

グレコ被告と同じような、ちょっと間抜けな逮捕劇は、2021年の9月にも起きている。

トーマス・ングコボ被告は、配達員として働いていた2015年9月、配達予定だった2万ランド(約16万円)以上する高級ハードウェア製品を盗み、逃走。

犯行の1週間後に2枚の請求書がなくなり、複数の製品が勝手に別の住所に配送されたことで上司がングコボの犯行と気づいた。

警察に被害届が出され、指名手配されたングコボ被告だが、その後7年にわたって逃亡生活を送っていたという。

しかし、なんとングコボ被告は警察署の職務求人募集に応募し、返事がなかったために警察署を訪れ、「応募したけど返事がない。どうなっているのか」と問い合わせたため、すぐに逮捕されたのだ。

自首するわけでもなく、自ら警察署に出向いて逮捕されたングコボ被告は、「南アフリカでもっとも間抜けな犯罪者」と呼ばれているという。

同じような間抜けな逮捕劇は、日本でも起きている。

古くは1974年、東京都葛飾区にて、屋台のラーメン屋を営んでいた男が、当時放送されていたフジテレビ系のワイドショー番組『小川宏ショー』の“屋台大行進”というコーナーに出演して逮捕された事件。

このコーナーには、おでんや焼き芋などさまざまな屋台の店主が出演しており、この男はラーメン屋代表として出演していたという。

番組内で、「物価高騰のため売上は厳しいけど、負けずにサービス第一でやっていきたい」と張り切って語っていた男だが、放送中に当時のフジテレビがあった新宿区牛込の警察署から「この男は全国指名手配されている」との電話がフジテレビにかかってきた。

この屋台ラーメン店の店主は、詐欺の常習犯として全国で指名手配中の男。

たまたま放送を見ていた詐欺の被害者が男の正体に気づき、警察に通報したことで逮捕につながった。

逮捕後、この男は「追われているのはわかっていたが、まさかテレビから足がつくとは…」と肩を落としていたという。

指名手配されながら、全国放送の人気ワイドショーに出演するとは、度胸がよいというより間抜け。

別人になりすまして逃亡生活を長く続けていると、生まれ変わったように錯覚するのか、気持ちが大きくなってしまうのか。

古今東西、間抜けな犯人はいるものだ。

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