平均年収より高くても生活難に!?コロナ禍による家庭環境の変化と叫び
目次
コロナによる失業や休業、倒産などによって、生活難に陥っている人は多い。
その実情が改めて、私たちに生活基盤の弱さを知らしめたわけだが、その中でも特に各国と比べ、日本政府の支援やコロナ対策などの対応は不安定で明らかにコロナ被害が拡大した主原因となっていたことについては否めない。
また、同時にコロナ以前の生活基盤も含め、日本経済の低迷が浮き彫りになったということも認識しなければならない。
遅かれ早かれ、時代の変化に合わせて企業や個人、国の在り方も抜本的に見直さなければいけない状況になっていたのではないだろうか。
そして、その中でも私たちの生活基盤の弱さを物語る一例に「教育による貧困」がある。
現在、日本での大学への進学率は50%以上あり、一般家庭においてそれほど珍しいことではない。
しかし、大学進学による教育費の負担は多くの家庭にとって大きく、その結果「貧困」を招いていることは事実としてある。
また、この「貧困」は日本の平均年収を超える600万円代の収入を持つ一般家庭でも発生しており、今後の日本社会において大きな問題になっている。
日本の大学は世界的にみても高額な学費が必要となる一方で、国からの支援は低く世帯年収が600万と平均よりも高い生活を送ってきた家庭であっても、大学進学を機に生活保護レベルの生活難に陥ってしまうのだから恐ろしい。
現在日本の世帯年収は2019年、国民生活基礎調査によれば552万と報告されているかことからも想像できるように、日本に暮らす多くの一般家庭の間で「貧困状態」になっているという現状だ。
日本学生支援機構では、大学や専門学校に通う子供を持つ家庭の平均年収は862万円だが、その中でも600万円未満は30%以上を占めているのである。
この教育費からくる現在の日本社会の教育システムの在り方と今後の日本経済の観点から、貧困にあえぐ多くの家庭問題についてクローズアップしていきたい。
世帯年収600万以下は大学、専門学校への進学で生活難に

ご紹介したように、今の日本社会では平均世帯年収を上回り、普通より高い生活水準である世帯年収の600万相当であっても、その家庭の子供が、大学または専門学校へ通うと、たちまち生活難に陥ってしまう。
特に4年制大学に通うとなると、例え国立の大学であっても一気に生活難だ。
まずは一般的な大学進学にかかるコストを洗い出してみよう。
日本学生支援機構によると、大学に進学にかかるコストには授業料を含め、学費、住居や食事を含めた生活費、交通費や交際費などの総費用は年間平均で200万近くになる。
私立大学となるとさらに上乗せされた金額に上る。
そのため、平均世帯年収より少し上の年収600万円の家庭では大学生1人につき上記で示した200~だいたい250万円の教育費を引くと、残りが350~400万円ほどになるが、この350~400万円という額が、生活保護基準と同等レベルと言われているのである。
このように1人、子供が大学に進学するだけで、平均年収を上回る一般家庭であっても、一気に生活保護レベルとなることが分かる。
さらに4人家族であれば、もう1人の子供の進学なども考えていかなくてはならず、その他費用を毎日切り詰めていくことにも限界があるため、二番目の子供の進学を断念せざるを得なくなることもありうる。
さらに、このような例はあくまで平均収入より少し高い水準での一般家庭になるが、現実ではこの年収600万円の世帯どころか、平均年収の552万円を得ることすらもコロナ禍においてはさらに難しい状況になっている。
そのため、日本での大学進学率は50%以上あっても、その多くの家庭では特にここ10年間で奨学金制度の利用や大学生のアルバイトが拡大してきた。
「借金」を嫌う若者層の不安と想い
しかし、現在ではその奨学金制度の利用者数が減っているという。
その背景には若者層の間に現在の日本経済の低迷および、将来の不安を理由に「借金」をすることに対して強い抵抗を感じていることがある。
日本の奨学金制度の利用については、1998年の50万人からピーク時の2013年の144万人までの利用者がいたが、そこから2018年まで横ばい状態になっていた。
実際に日本経済の低迷および非正規雇用による賃金低下、ブラック企業での過労による働けない人の増加によって返済が滞ってしまい、奨学金を返済できないくらいに生活に困窮してきた人たちは自己破産してきたケースが多くある。
こういった背景もあり、国の対策も授業料の無償化および給付型奨学金制度もできたが、世帯年収が270万~380万円と限定的にあっており、それ以外の貧困状態に陥っている平均年収より高い年収がある家庭含め多くの家庭にとっては難しい状況が続く事態は変わらない。
そのため、学生はアルバイトを増やすか風俗などの仕事にも手を出す人が増えている。
本来、学習するために大学に行くはずの学生にとっては本末転倒な状態になってしまっており、この悪循環が繰り返されているのが今の日本の大きな社会問題の一つだろう。
コロナによる生活難への追い打ち
さらにコロナによって家庭の生活難を防ぐ学生のアルバイトによる収入がなくなっている。
コロナによる緊急事態宣言により、アルバイトの減収及び解雇が増え、さらに一般家庭へのダメージは増大している一方で、国からの援助はほとんどないに等しい。
会社側も従業員の生活を支えたいが、緊急事態宣言に加え国からの補助などなければ休業手当などのサポートは難しい。
実際にコロナによってシフトを減らされたアルバイト、パートの人で約74%~79%(野村総合研究所調査)が休業手当を受けとっていないとされている。
悪循環による経済悪化と社会問題の原因

このような事態は今後の日本社会においてますます、悪化の一途であるのは明白だが、総じて今回問題となっている背景や根本原因をまとめると賃金の低下と教育費の高騰に加え、コロナ禍における国の対応が問題となっている。
賃金低下に伴い、教育費の高騰の状況にあっては一向に日本経済に暗い影を落とし続ける。
はたや、日本の大学の教育費は世界的に高いのに加え、国からの補助は低いというのが現状だ。
給付型奨学金の創設などにより、公的補助は徐々に改善されてきているが、まだまだその対象範囲は狭く、冒頭でも挙げた日本の平均年収世帯の多くが困窮に陥っている状況を鑑みると課題は大きいままだ。
今後ますます国際社会の進展に遅れる日本において、学費の免除及び給付型の奨学金制度を拡大し公的な教育費の支援を進めていくべきだろう。
でないと、この貧困問題は解決されず、明るい日本は取り戻すことは難しい。
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