若者のバスケ人気が再燃 八村の活躍やスラムダンクも?
若い世代でバスケットボールの人気が再燃している。
笹川スポーツ財団(東京)がまとめたデータで、18歳と19歳の若年層が直接観戦するスポーツとして、バスケットボールが2位に入った。
これはJリーグを上回ってのもの。
東京オリンピックでの日本代表の活躍やNBAでの八村塁(レイカーズ)のプレーが観戦意欲を刺激。
アニメのスラムダンクの映画版が大ヒットしていることで、今後さらに熱が高まる可能性もある。

コロナ禍でインターネット観戦の割合が増加
スポーツのデータ分析や研究を行っているシンクタンクの笹川スポーツ財団は、1992年から隔年で「スポーツライフに関する調査(スポーツライフ・データ)」をまとめている。
最新の調査結果をまとめた2022年度版の「スポーツ・ライフデータ2022」を3月24日に刊行。
「する」スポーツや「みる」スポーツといった視点で、新型コロナウイルスの影響なども交えた。
その中で、「みる」スポーツについて、過去1年間にスタジアムなどで直接スポーツを観戦した人の割合は、19.3%だった。
前回2020年度の21.8%から減少しており、データがある1994年以降で最低の数字となった。
ちょうど2020年のはじめ頃から新型コロナウイルスの流行拡大が始まり、スポーツ界も大きな影響を受けた。
試合が中止となったり、無観客試合や観客数を制限して開催された時期もあった。
そのため、今回の調査はコロナ禍まっただ中の期間を含んでおり、直接スポーツを観た人の割合も減少したとみられる。
一方で、インターネットを利用した観戦の割合は大幅に増加した。
2022年の過去1年間のインターネットスポーツ観戦率は21.4%。
前回2020年から7.5ポイントも増加。
コロナ禍でスタジアムに行けない人が配信での観戦に切り替えたと推測される。
インターネット観戦のスポーツ別で1位は「格闘技(ボクシング、総合格闘技など)」の6.7%。
2位は「プロ野球(NPB)」で5.6%。
3位は「メジャーリーグ(アメリカ大リーグ)」で4.7%、
4位は「海外プロサッカー(欧州、南米など)」、
「サッカー日本代表試合(五輪代表・なでしこジャパン含む)」が同率で3.4%。
6位は「Jリーグ(J1、J2、J3)」の2.9%だった。

18歳、19歳ではバスケが上位にランクイン
世代全体では上位にはランクインしていないバスケットボールだが、18歳と19歳の世代では全体とは異なる傾向が出ている。
全体では直接スポーツを観戦した人の割合で、プロバスケットボール(Bリーグ)は1.0%で5位だった。
これが、18歳と19歳ではバスケットボール(高校、大学、Wリーグなど)が5.3%で2位、プロバスケットボール(Bリーグ)が2.7%で5位に入った。この世代ではJリーグが上位5位から外れている。
また、20歳代でも4位にプロバスケットボール(Bリーグ)とバスケットボール(高校、大学、Wリーグなど)が1.9%の同率で、Jリーグの2.1%に迫っている。

NBAの八村、渡邊 女子の東京五輪銀メダルも後押し
若い世代でバスケ人気を高めている要因の一つが八村の活躍だ。
富山市で育ち、中学からバスケを始めて高校ではインターハイ優勝も経験すると、アメリカのゴンザガ大学に進学。
2019年に日本人で初めてNBAドラフトの1巡目でワシントン・ウィザーズから指名を受けて入団した。
2023年からは名門のロサンゼルス・レイカーズでプレーしている。
NBAでは渡邊雄太もブルックリン・ネッツでプレー。
香川県の尽誠学園高校からアメリカの大学に進み、ドラフトで指名は受けられなかったものの、NBAサマーリーグなどの試合で実力が認められ、NBA出場選手登録をつかみとった。
八村と渡邊は共に2021年の東京オリンピックで日本代表としてプレーした。
東京五輪では女子日本代表が男女を通じて初めてのメダルとなる銀メダルを獲得し、盛り上がりを見せた。
また、選手の活躍に加えて、スラムダンクの映画版が2022年末に公開された。
1990年から1996年まで「週刊少年ジャンプ」で漫画が連載された当時はバスケ部員が急増するなど、社会現象にまでなった作品。
今回の調査にはその影響は含まれていないが、4カ月以上のロングランを続けているため、再び若者のバスケ熱に火をつけそうだ。
コロナ禍が落ち着き、声だし応援や客足も戻りつつあるスポーツ界。
バスケの人気の高まりはもちろん、他のスポーツも多くの人がまた楽しんで観戦できる状況になってきている。
