自民党と公明党が首相に「年金受給者へ5000円給付を」と申し入れ
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自民党と公明党の両幹部が岸田首相と会談し、年金生活者らにコロナ対策の給付金を1人あたり5000円を支給するよう、要請したことが明らかになりました。
自民党、茂木幹事長は、「年金生活者の方を中心にした支援策を総理に申し入れた」とし、自民、公明の両幹事長は高齢年金者の給付援助を求めた。
一部の世帯などは対象外とし、金額は「コロナの影響による賃金低下が与える影響を払拭する水準」としており、2600万人ほどが対象となり1人5000円、総額1300億円規模になると見込まれており、現役世代に向けた岸田政権の賃上げの取り組みに対する、年金受給者への配慮とされる。
また、関係者は今年度の公的年金がマイナス改定となった補充分としてのものとするが、一方で夏の参院選に向けて、年金世代へのアピールともみられる。
岸田首相も今回の要請を受け、「しっかり受け止めたい」とした。
政府が新型コロナ対策として今年度補正予算で実施した10万円給付の対象世帯は、臨時給付の対象から除外する想定で、自民の茂木幹事長は首相との会談後、「政府が早急に具体策を検討して示されれば、両党で党内手続きを取りたい」と語っていた。
4月から始まる新年金制度について
年金とはあらかじめ支払っていた保険料を必要な時に給付を受けることができる社会保険の1つですが、日本の公的年金制度は、老後や事故などで世帯の働き手が亡くなった際、残された家族の生活が困難にならないように社会全体で支える仕組みとして作られました。
そして今回新たに、この年金制度が2020年5月に改正となり、今年の4月1日から段階を追って、順次施行されていくことになります。
主な改正は次の4つで、「被用者保険における適用範囲の拡大」、「在職中における年金受給の仕組みの見直し」、「受給開始時期における選択肢の拡大」、「確定拠出年金における加入可能要件の見直し」となっています。
この改正が行われた背景には、深刻化する少子高齢化や労働人口の減少があり、これまで以上に長い期間、多様な形で働く人が大勢でることが見込まれるためです。
このような日本の社会変化に対応し、今後高齢期の経済基盤の充実を図るとともに、年金受給の確保をしっかりと行っていくことになりました。
被用者保険の適用範囲の拡大
最も影響の大きい改正とされているもので、現在、アルバイトやパートなどの短期間労働者に対し、厚生年金保険・健康保険の加入が義務づけられているのは、従業員が501人以上いる規模の企業となっているが、これが2022年の10月には従業員101人以上規模、そして2024年10月には従業員51人以上規模の企業と段階的に適用範囲が拡大していきます。
また、短期労働者の加入要件については、現行の「雇用期間が1年以上見込まれること」については撤廃され、22年10月以降にフルタイムの被保険者同様、2か月超の要件が適用されることになります。
在職中における年金受給の仕組みの見直し
在職老齢年金制度のうち、60~64歳を対象とする在職老齢年金制度が見直されます。
現在、在職老齢年金制度は、賃金と年金受給額の合計額が月額28万円を超えると超過分の年金支給が停止されることになっていますが、2022年4月以降は「月額47万円」に緩和され、65歳以上は現行基準の47万円のままになります。
また、この改正と合わせ「在職定時改定」は新設され、これまでは退職などにより厚生年金被保険者の資格を喪失するまでは、老齢厚生年金の額は改定されませんでしたが、65歳以上で在職している老齢厚生年金受給者を対象に毎年10月に年金額を改定していき、働きながら年金額を増やしていくことができるようになります。
受給開始時期における選択肢の拡大
公的年金の受給開始年齢は原則65歳ですが、現行制度では希望すれば60歳~70歳の間で受給開始時期を自由に決めることができますが、今回の改正では受給開始年齢はそのままに、受給開始時期の繰り上げ上限が70歳から75歳まで引き上げられることになりました。
この改正は2022年4月1日以降に70歳になる人が対象となり、また同日以降に60歳になる人が繰り上げ受給を受ける場合は、減額率が1月あたり-0.4%になります。
確定拠出年金における加入可能要件の見直し
確定拠出年金は、基礎年金や公的年金制度に上乗せした形で掛け金と運用収益の合計額を基に将来の年金給付額を増やすことができるもので、企業は掛金を拠出する「企業型DC」と、加入者自身が掛金を拠出する個人型DCであるiDeCoの二つがあります。
今回改正された年金制度については今後、拡大していくとされる高齢者の就労機会から、中小企業を含めた多くの企業や個人が老後の安定した収入を得やすくするために設けられ、主に、「確定拠出年金の加入年齢の引き上げ」、「確定拠出年金の受給開始時期等の選択肢拡大」、「中小企業向け制度である簡易型DC、iDeCoプラスの対象範囲の拡大」、「企業型DC加入者の個人型DC(iDeCo)加入の要件緩和」になります。