社会・文化

アメリカバイデン大統領帰国へ。日本を訪れた目的とは?

「岸田首相夫妻、温かいおもてなしをありがとう」

アメリカのバイデン大統領は2022年5月24日、専用機である「エアフォースワン」で日本を離れ、帰国の途に就いた。

バイデン大統領は出発に先立ち、自身のツイッターに「岸田首相夫妻、温かいおもてなしをありがとう」というコメントと共に、岸田首相との夕食の様子や、お茶を楽しんだ様子が投稿された。

また「日米は民主主義国の強さを行動で示し、インド太平洋地域に機会と繁栄をもたらすため協力している」などもコメントしている。

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バイデン大統領が日本を訪れた目的は?

バイデン大統領が日本を訪れたのは、2日前の5月22日。東京都内にある在日米軍横田基地に着陸し、開催中であった「日米友好祭フレンドシップ・フェスティバル2022」の来場者を賑わせた。

来場者の目前にバイデン大統領を乗せたエアフォースワンが飛来したことで、SNSでも話題に。

バイデン大統領は、2021年1月に就任後、初めてのアジア訪問であり、20日に韓国、22日には日本を訪れた。

日本滞在中は、岸田首相と首脳会談を行ったほか、中国に対抗する新しい経済圏構想IPEF(インド太平洋経済枠組み)の発足を発表したのだった。

また、バイデン大統領の後来日した、インドのモディ首相、そしてオーストラリアのアルバニー首相を交えた、戦略的同盟を組んでいる「日米・インド・オーストラリア」の4か国首脳による「クアッド」会議にも出席。多忙なスケジュールをこなした。

IPEF(インド太平洋経済枠組み)とは?

IPEFは新たに発足した経済連携の略称であり、日本ではインド太平洋経済枠組みと呼ばれている。

IPEFが発足した1番の理由は、アメリカの最大競合国と言われる中国への対抗。

インド太平洋経済地域で、インフラ投資や貿易を通じて影響力が高まっている中国をけん制するため、アメリカ主導の経済圏をつくろうとしているのだ。

この地域ではすでに、TPPやRCEPなど地域的な包括的経済連携という条例に基づく自由貿易協定がある。

しかし、TPPは前トランプ首相が永久に離脱を表明、RCEPにはアメリカはもともと加入していない状況。

アメリカにとってもアジアを含むインド太平洋地域は経済的成長がみられ、関与したい地域であるが、現在アメリカが主導する経済的枠組みや協定が存在していないのである。

そのような状況の中、中国がTPP加盟を申告し、RCEPでも勢力を拡大している現状にアメリカは、対抗策としてIPEFの構想を考えたのだ。

IPEFの必要性をはじめにうたったのはアメリカバイデン大統領であり、2021年10月の東アジアサミットではじめて言及した。

IPEFが目指しているのは、簡単にいうと参加国による貿易やビジネスのルール、理念の設定。

・デジタル経済を含む貿易

・半導体などの供給網(サプライチェーンの強化)

・脱酸素、クリーンエネルギー、質の高いインフラ

・不正な経済を促進するための税制、汚職対策

この4分野を対象とし、参加国同士の連携を強化するとしている。しかし最大の目的はやはり、ルールを守らずビジネスを拡大し続けている中国へのけん制が大きいといえるだろう。

IPEFが発足したことにより、軍事転用の疑いがある中国企業への半導体の輸出禁止や強制労働によって生産されたとみられる製品の輸出を原則禁止にするなど、さまざまな措置を導入している。

クアッド会議が開かれた理由

インド太平洋地域で中国の存在感が大きくなり、中国の行動を抑えるべくオンライン会議を含め4回目のクアッド会議が開かれた。

会議では、中国の海での軍事行動の監視にもつながる「海洋状況把握」の共有を打ち出している。

クアッドは2019年に発足し、日本・アメリカ・オーストラリア・インドの4か国でつくられた協力体制の通称。インド太平洋地域で存在感が増していく中国の行動を、抑えていくことが主な目的である。

しかしその活動は、外交や安全保障にとどまらず、インフラ整備、テロ対策、気候変動対策、新型コロナウイルス感染症対策など多くの分野で協力していくとしている。

クアッドはもともと、安倍元首相が打ち出した構想が今のクアッドに繋がったと言われている。

その1つのきっかけが2004年に起きたスマトラ沖大地震・インド洋津波である。津波はインド洋周辺国へも被害を及ぼした。

当時、アメリカ・日本にオーストラリアも加わり、国際的な支援が行われた。その際、インドも被害を受けていたが、周辺への支援を行っていたのである。

このことから、同じ民主主義であるアメリカ・日本・オーストラリア・インドが主導する枠組みを発足すれば、「太平洋全域にまで及ぶ広大なネットワークへと成長する」とし、その必要性を強調した。

その念頭には、経済的・軍事的な成長により拡大し続ける中国の存在感への、けん制が大きいだろう。

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