社会・文化

真冬なのにコート禁止 まだあるブラック校則

 真冬にも関わらず「コートなどの着用は認めない」。

こんなブラック校則が話題となっている。

この冬は歴代最強とも言われる寒波が襲来しているのに、生徒はコートを着ずに耐えろというのだろうか。

学校側がこうしたルールを定めているのは意外な理由だった。

コートに限らず、意味がよくわからない「ブラック校則」はまだまだ存在している。

虐待と紙一重だ...
虐待と紙一重だ…

寒さに耐える生徒、教師はコート着ているのに…

 「オーバー・ジャンバーコート等の着用は認めない。

ただし、生徒指導部の異装許可がある場合はこの限りではない」

 鹿児島市の市立高校の2022年度の男子生徒の校則には、こう記されていたという。

上着を着ない男子は、詰襟学ランの下にセーターやジャージを着込んで寒さに耐える。

 別の学校ではコートの着用について、男女で差をつけている高校もあった。

 「男子のコート類の着用は認めない。

ただし、遠距離通学や病気の場合は、学級担任を経て学校の許可を得ることができる。

女子のコートは、本校指定のもののみ可とする」

 許可を得れば、コートは着用できるというが、朝に電話をして学校に着用の許可を取る必要があり、そこまで面倒なことはせずに通学している生徒が多い。

 校則でコートの着用に制限が設けられていることについて、ある学校の教頭は「昔からある校則なので、目的はわからない」と話す。

 これに対して、ツイッターなどでは「私の学校でもコート禁止だったけど、今考えたら意味がわからない」、

「教師は車で学校まで来て、そこからコート着て学校に入ってくるのに、頭悪いのか」といった反応が並ぶ。

先生は車移動でコート可、理不尽と言われてもしょうがない…
先生は車移動でコート可、理不尽と言われてもしょうがない…

ツーブロック禁止や下着の色指定は廃止へ

 ブラック校則は、コート禁止だけではない。

以前には「頭髪のツーブロック禁止」や「下着の色は白とする」といった校則が話題となった。

 ツーブロックについては、パーマやリーゼントと同類とされ「不自然」や「奇抜」といった理由から「高校生らしくない髪型」として禁止されてきた。

 この背景には1980年代のテクノカットの流行がある。

坂本龍一氏らによる音楽グループ「YMO(イエロー・マジック・ミュージック)」がテクノ系の音楽を日本に浸透させた。

YMOのメンバーが襟足を刈り上げた髪型をしていて、このスタイルがテクノミュージックにちなんで「テクノカット」と呼ばれるようになった。

 ただ、校則では「テクノカット」というような通称は書くことができなかったため、「ツーブロック」を禁止する学校が出てきたとみられている。

 理由については、東京都議会で教育長が「外見等が原因で事件や事故にあうケースなどがございますため、生徒を守る趣旨から定めています」と大真面目に回答した。

 ツーブロックは現代では清潔感もある髪型として浸透している。

昭和の時代であれば、奇抜な髪型をしている生徒はヤンキーに絡まれるリスクもあったと思われる。

しかし、時代は令和に移り変わった。

 「下着の色は白」も同様で、生徒がワイシャツの下に派手なTシャツを着ないようにするため、白に統一したとみられている。

 こうした時代遅れの校則は、生徒の人権侵害にあたると各都道府県の弁護士会から変更を求める声があがった。

 東京都立学校では高校を中心として2022年4月から、「ツーブロック禁止」、「下着の色の指定」、「生まれつきの髪の色を黒に染めさせる」といった校則が廃止された。

見直しの動きは全国に広まっている。

時代遅れの校則を見直す時が来た
時代遅れの校則を見直す時が来た

ブラック校則のデータベース化も

 ただ、コート禁止のようなブラック校則はまだまだ存在する。

時代にそぐわない校則の見直しを進めようと、千葉県の男性は校則のデータベースサイトを作った。

 サイト名は「School Rules Database(スクールルールズデータベース)」。

 変な校則はネットでもたびたび話題になる。

根拠がよくわからない校則を誰でも見られる場を作ることで、学校側が外部からの目を意識し、変わっていくきっかけになってほしいというのが狙いという。

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