レジ袋大手、有料化で苦境!!希望退職者募集と製造子会社も精算へ
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東京都豊島区にある買い物袋大手の「スーパーバッグ」は今月、1月11日にレジ袋有料化による経営悪化を受け、早期の希望退職者を募集すると発表した。
レジ袋大手、子会社を清算
従業員、485人を抱えるスーパーバッグは1905年に創業し1964年には東証二部に上場している業界大手の老舗企業。
発表した内容では、対象とするのは50代の正社員および60~64歳以下の再雇用で雇った社員について、来月4日までの期間で約40人ほどの希望退職者を募り、会社都合の扱いで退職金に加え、特別加算金を支給するとした。
大手レジ袋メーカーのスーパーバッグは、2020年から始まったレジ袋の有料義務化およびコロナウイルスの感染拡大の影響により経営環境が厳しくなったことで抜本的改革として決定したという。
同社ではこれらの影響により収益が大幅に減少してしまい、2021年3月期には連結決算で売上高が前期比17.7%減の246億8000万円、純利益は3億8000万円の赤字となった。
21年3月、ポリ袋の製造を手掛ける子会社、「中土製袋所」をストップさせると、11月に事業を清算した。
海外でもポリ袋の生産を行っていた子会社が同じく11月に操業を停止された。
レジ袋が有料になった背景
レジ袋有料化は小泉進次郎環境相の下、2020年全国で有料化されました。
20年以前にも19県のスーパーやコンビニエンスストアなどでの有料化はされていましたが今回、一気に全国で有料化の義務化が進み、1枚当たり2~5円での販売が義務付けされました。
このようにレジ袋が有料になった背景には、普段あまり気にならないかもしれませんが、レジ袋が環境問題の大きな原因になっていたことがあげられます。
レジ袋の材料であるプラスチックが環境を破壊させるものとなっており、特に問題となっているのが海洋プラスチックで、環境汚染を引き起こし、海の生態系を壊すことがあるともいわれています。
また、他にも人体への悪影響を及ぼすと言われ、早急な対応を求められる中、世界共通の認識として様々な会合や会議で議論がされてきました。
既に環境問題は世界共通で解決すべき事項であり、今後一層取り組みは重視されていく中で、日本も当然この流れに後れをとらないよう、取り組みが強化され、その取り組みの一環で今回のレジ袋の有料化が決定し、脱プラスチックを目指すとしています。
レジ袋有料化での効果は!?
ではレジ袋の有料化を進めてから1年以上たつが、その効果はあったのだろうか!?
有料化が始まり、大手レジ袋メーカーの苦境などで多くの人が解雇にもあった。
それに対し、さまに本取り組みを推し進めた小泉氏にのツイッター上には「環境のことを多くの色んな人が知り、自分たちや環境のことなど改めて考えるきっかけになった」、「レジ袋を有料化にしても、結局ゴミ袋で必要になるしみんな購入する」「何か環境への負荷が減ったのか!?」「人災だ・・・」など政策を疑問視する声や環境問題への取り組みに関してポジティブにとらえる人まで様々な意見がみられた。
「国は恨まない。自分たちで時代のニーズにこたえるよう努力する」
レジ袋が有料になったことで、大手レジ袋メーカーは大きな被害を受けましたが、その状況や今後に向けてメーカー幹部は「国を恨んだりしない」と答えました。
「レジ袋のシェアが減ったことで中国工場の稼働率も下がった。さらには新型コロナウイルスの感染拡大で海外からのお土産需要も減ったことで昨年度には営業赤字を出してしまいました」「しかし、国にこうしてほしいというよりも会社としては消費者や企業のニーズや動きに合わせた商品を展開することの方が重要で、時代のニーズにあった形でマイバック、エコバック、紙袋などのような外部変化にも上手く対応できるよう、事業を展開を図っていきたい。決して国を恨んだりすることはない」と述べた。
会社としてもまだ一定のレジ袋のニーズはあり、飲食店でのテイクアウトの際の利用や通販などでもある程度の売り上げはっ見込めており、また、新たに中期経営計画として3年をかけた「次世代パッケージ企業への転換」で黒字化を目指す。
「前のようにレジ袋をそのまま戻すことは難しいが、紙袋や紙器にシフトしたり、単価の高いバイオ関連製品、海洋で生分解する新素材を使った製品を主力にしたりすることを考えている。リサイクルができ、環境にやさしいパッケージにしていきたい。
赤字についても早急に改善できるよう、さらなる取り組みを強化し、今年度からは黒字化に向け、収益をアップさせる計画にしている」と語った。
国内外でのプラスチック廃棄量
レジ袋が有料化になったことで、これまで問題となっていた環境悪化が改めて表面化したということになりました。
それだけ多くの廃棄がされてきたということになりますが、日本や世界では一体どれだけの廃棄が行われてきているのでしょう。
少し古いですが国連の環境計画が発表した報告書、「シングルユースプラスチック」では2013年、日本のプラスチック廃棄量は年間で9.4百万トンで、これは全廃棄物431百万トンのおよそ2パーセントにあたります。
また、日本の一人当たりのプラスチックごみ廃棄量は32キログラムにあたり、アメリカに次ぐ世界で2番目に多い量とされているのです。
さらには2014年に発表された国別、地域別のランキングでは1位中国、2位EU諸国、3位アメリカ、4位インド、5位日本という結果になっています。
世界では1950年以降に生産されたプラスチックは83億トン以上で、ごみとして廃棄されたのは63億トン。
回収後のプラスチックごみでは、79%が埋め立てに使われるか、海に投棄されており、リサイクルの割合はわずかに9%となっています。
これが続いていけば、2050年までに埋め立て、自然投棄によって処理されるプラスチックの量は120億トン以上にものぼると推測されています。