社会・文化

75歳以上後も出産育児一時金を負担へ

政府は増額を予定している出産育児一時金について、必要な財源の一部を高齢者にも負担してもらう検討に入った。

出生数が予想を超える勢いで減少する中、幅広い世代で負担し合う狙いがある。

28日政府は全世代型社会保障構築会議で、「医療保険全体の中で支え合う」との考え方を提示。

これまでは原則、加入する国民健康保険や健康保険組合などが支払い、75歳以上の高齢者の負担はなかった。

今後は厚生労働省が制度を見直し、少子化の加速に歯止めをかけることを図る。

出産育児一時金

42万では足りない現状

出産育児一時金は現在原則42万円が支給されている。

しかし、都市部で数十万円の自己負担が生じる事例も多数起きていた。

岸田文雄首相は来年度から大幅な増額を表明したが、財源の確保が問題だ。

こうした現状を踏まえ、高齢者にも後期高齢者医療制度を通して負担を求め、幅広い世代で支えることへの理解を得たい考えだ。

75歳以上の人のうち、比較的収入が高い人の保険料上限額を引き上げることも議論する。

加えて、育児休業給付金制度を対象外だった非正規労働者にも拡大することを議論した。

正社員を中心に雇用保険に加入していることが支給条件となっており、仕事と子育てを両立できる環境に整える狙いがある。

足りない現状

逆に出費が増えると危惧する声も

出産一時金の増額は、子育て世帯にとってうれしいニュースだ。

しかし、増額されても負担の軽減に繋がるのか疑問視する声もあがっている。

地域、病院、オプションサービスなど、出産費用には大きな差がある。

中でも、エステや、特別食、お世話料などの加算が指摘されていた。

出産一時金が増額されても、その分病院側が加算すれば、結局同じだという声もあがった。

なぜ75歳以上にも?

出産育児一時金は、加入する医療保険制度で運用されている。

もちろん、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度では一時金の制度はない。

しかし、後期高齢者医療制度の中には、若年者が加入する各医療保険制度の財源から「支援金」等で支えられている。一部分は若年者が後期高齢者医療の財政を負担しているのだ。

それを、若年者も社会保障の益を受け、高齢者も負担者になるという、「全世代型社会保障政策方針」にしようという試みである。

よって今回は、若年層の出産育児一時金の負担を後期高齢者にも求めるという考えだ。

しかし、社会保障全体の財政はひっ迫している。高齢者に負担を求めるには限界があり、いずれは国民全体の負担をいかに求めるかという議論が必要になるだろう。

また、少子化への歯止めを図るなら、成人するまでの費用負担を軽減することも必須だ。

子どもを産み育てるのに必要な出費は、出産費用だけではない。

オムツやミルク、ベビーカーなど、必要な物品は多い。成長につれて学費などの負担も増える。

産むだけではなく、育てるための費用を軽減する制度の見直しも必要だ。

全世代型社会保障政策方針
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