パパ育休 取得したら「席はない」 ブラック上司への対策は?
子どもの生後8週間以内に2度の育児休業を取ることができる新しい制度が10月に始まった。
従来の生後1年以内の制度に加えて取得できるもので、パパの育休取得を促そうとしている。
しかし、従来の制度でもあったように取得したら退職を迫られるなど、まだまだ従業員がスムーズに使える環境ではない。
職場にそのようなブラック上司がいた場合、どのように対処すればいいのだろうか。
新しい育休制度とは
新しい育休制度は、通称「産後パパ育休」と呼ばれ、出生から8週間以内に28日間まで育休を取れる制度。
従業員が事業主に妊娠や出産を報告すると事業主に義務が生じる。
①育休制度の周知の義務
②取得の意向、確認の義務
③育児休業給付金などお金についての説明の義務
従業員が必ず取得しなさいという義務があるものではなく、2回まで分割して取得することも可能。
28日以上休む場合は、従来の育休制度を使うことになる。
従来の育休制度は生後1年以内の子どもがいる場合に取得できる。
10月からは従来の制度も2回まで分割して取れるようになった。
つまり、新しい制度と従来の制度を合わせると子どもの生後1年までに夫婦でそれぞれ4回ずつ育休を取れることになる。
育休で休もうとすると収入面が心配になるが、雇用保険から「育児休業給付金」を受けることができる。
会社からの給与の代わりに給与額の67%が支給されるもので、所得税や社会保険料、雇用保険料がかからない。
そのため、だいたい育休前の8割ほどの額を給付金として受けられる。

パワハラの例も 取得は難しい?
しかし、新制度も従来の制度も簡単に取得できない例もある。
都内の40代男性は上司から退職を迫られた。
妻に第二子の妊娠がわかった際、上の子もまだ小さかったため、妻の負担を考えて育休を取得したという。
上司は男性が育休を取得することに難色を示していたが、7ヵ月間休んだ。
すると復帰後に上司が「あなたの席はない」とはっきり言ったという。
上司が男性に仕事をさせないような嫌がらせも受け、男性はこの会社を退職した。
こういった明らかなパワーハラスメントは、制度の内容に関わらずどこの職場でも起こりうる。
都内の30代男性は仕事が多忙で育休を取得しなかった。
妻が家事と育児のほぼ全てを担う「ワンオペ育児」は負担が大きいことはわかっていたが、他の同僚に任せられない仕事だったため働き続けた。
「制度だけが新しくなっても会社側の姿勢が変わらないと育休の取得率は上がらないと思う。
職場にものわかりが悪い古い考えの上司がいたりすると、取るのも難しくなりますよね」

育休100%の企業も まず相談を
ある住宅メーカーでは、生後8週間までの育休を1日単位で分けて取得できるようにしたという。
国が2回に分けられるようにしたが、それよりもさらに柔軟な独自の制度。
その結果、男性の育休取得率が100%になった。
「育休は事前に把握できることなので、マネジメントするように上司の意識改革を図った」という。
国全体では2020年の男性の育休取得率は約13%にとどまっている。
政府は2030年までにこれを30%にまで引き上げたい考えで、今回の制度改革もその一環。
2023年4月からは大企業に対して育休取得率などの公表が義務化される。
世の中的にも会社側に育休取得を進める姿勢が求められている。
パワハラ上司がいるような場合はまた別問題だが、育休についてはまず人事部などの担当部署に相談するのが一番。
パパもママも同じくらいの力を合わせて子育てできる環境が早く整うことが期待される。
