持続可能な日本へ~新しいクリーンエネルギーと共に変えていく~
目次
戦争によって浮き上がってきた問題
2月24日から始まった第二次世界大戦以降、ヨーロッパでの最大の戦争はもうすでに1か月以上経過した。
それと共に、紛争国だけではなく、世界中で様々な問題が浮き上がってきている。
特に紛争当事国のロシアのエネルギー輸出量の国際シェアは高く、各国でエネルギー問題が深刻化している。日本もそのような国の一つである。
現在、日本のエネルギー自給率は11.2%であり、エネルギーのほとんどを海外からの輸入に依存している。
つまり海外からのエネルギー輸入に頼らないと私たちの生活は崩壊してしまうのである。
不安定な世界状況の中、国産のエネルギー自給率が低いことはとても危険であり、国の存続にまで影響するような大きな問題なのである。
そんな現状を脱すべく、行動を起こした人物がいる。――沼田昭二さんである。
異業種からクリーンエネルギー発電の開発に参入
沼田さんは「業務スーパー」の創業者であり、兵庫県の全くの無名の小さなスーパーから960以上の店舗を全国展開に成功してきた。
知名度も高く消費者から愛されるスーパーになった。
しかし日本のエネルギー自給率を危惧し、2016年に経営を長男の沼田博和さんに引き継ぎ、自身でクリーンエネルギー発電を行うためのベンチャー企業を立ち上げた。全くの異業種からの参入だった。
沼田さんは言う。
「ロシアとウクライナの問題がありますけども、資源のない、日本で危険なのは食料の自給率と、エネルギーが止まることなんですね。そこにリスクがある。」
沼田さんは、地熱発電でこの2つのリスクを解決したいと言う。

自給率を上げる鍵、地熱発電とは
地熱の里と親しまれている熊本県小国町の「わいた温泉郷」、この地域に住む住民たちは昔からから湧き上がる温泉や蒸気を生活の中で利用してきた。
この自然のエネルギーを活かした方法が地熱発電である。
沼田さんはこの地熱発電が日本のエネルギー自給率を上げるカギだと思っている。

地熱発電は、地質に溜まった雨がマグマの熱で蒸気になった際に、井戸などを掘り、高温の熱水と蒸気を取り出してから分離させる。
勢いよく噴き出してきた蒸気の力でタービンを回して発電する方法である。
自然エネルギーの代表である太陽光や風力と違い、天候に左右されない国産のクリーンエネルギーである。
実質、火山大国で知られる日本には、世界で3位という地熱資源が私たちの足元に眠っている。だが、実際に使用されている量は世界10位で、資源はあるのにもかかわらず開発が進んでいないというのが現状である。
「5本、10本とたくさん掘っても、1本ぐらいしか当たらない。失敗してしまうと、数千万円なり、数億円の費用を全部一括“損金処理”しないといけない。」
失敗した際のコストが莫大にかかり成功する確率が低い為、他の企業が開発に乗り出さないと沼田さんは嘆く。
「しかし数十年、数百年後の日本の事を考えて、誰かがその高いリスクを負っても、この資源の開発はすべきと考えています。」
沼田さんは業務スーパーの経営時代に培った「必要なものは自分たちでつくる」という哲学から、この問題を乗り越えようとしている。
経営哲学から活かせること
「業務スーパー」時代には消費者により安く良いものを届けるために日々奮闘をしていた。
25カ所もの自社工場を国内に設立し、自分たちで商品を製造して、原料費をカットする事に努めた。
さらに売り場の冷凍ケースにまでこだわることによって、何度も商品を補充する必要がない仕組みを創作しさらなるコストカットに貢献した。
この経験は地熱発電でも役になっている。
そう、自分たちで、アームを上げ地面を掘る機械を開発したのである。
沼田さんは語る。「この機械なら巨大なやぐらを組まずに掘削することが可能で、調査時間の短縮につながる」
自社で機会を作ったことによって、調査費用も通常2億円の費用がかかるところ、6000万円にまで減らすことができたと言う。
他の課題にも積極的にチャレンジ!全て自分でつくっていこう!
事情を進めていくにつれてさらに別の課題にぶちあたった。人材不足である。
技術者の高齢化により技術を引き継ぐ若い人材がいなかったのである。
この問題に対しては専門学校を設立し、実際に使われていた機材を使用し、掘削シミュレーターが導入され、若い人材を育てていく仕組みを作った。
沼田さんは今、希望をもってついて語る。
「この技術はあと10年すればまったくなくなってしまうので、必ずこれは日本になくてはいけないと。勇気を持って私は全部つくっていこうと。」
この取り組みに賛同した全国20市町村から既に地熱開発の依頼が寄せられていると言う。
沼田さんは続ける。
「この地下に世界で3番目の資源があるのは事実なんです。それがいろいろな問題があって、(開発が)できていないのも事実です。業務スーパーと同じように、何とか解決して、食料自給率を上げて、純国産エネルギーを上げたいと、ロシア、ウクライナの問題もありまして、私はもう待ったなしだと考えています。」
持続可能な日本を作るには、このような国産のクリーンエネルギーは欠かせない。
私たちは今できることはなにか考えて将来に繋げていく必要がある。