社会・文化

国交省統計データ書き換え問題 元の数値は復元困難

国の基幹統計「建設工事受注動態統計」のデータを国土交通省が書き換えて二重計上、結果2,013年4月分からの数値が水増しされたまま8年間も放置されていたことが発覚した。

そしてこの8年分のほとんどが元の数値を復元することが難しい状況になっている。

建設工事受注動態統計とは、全国の約12,000社を対象に建設業者が公共の機関や民間から請け負う月々の工事の金額などの実績を調査した統計で、事業者が記入した調査票を都道府県が回収し、国交省が集計して毎月公表するものである。

この統計は国内総生産(GDP)の推計、公共事業の立案の際に使われるものである。

国の基幹統計とされていて重要な位置づけをされている。

何が問題なのか?

問題点
今回、何が問題だったのだろうか??

調査票を記入する側の事業者が調査票をなかなか記入できず、調査票の回収は6割ほどになることが多かった。

そのため、実態に合わせようとした国交省は遅れた分は翌月以降複数月分まとめて提出することを都道府県に対して認めた。

例でいうと、今月1月の実績に、11月と12月の分を含めた3か月分が報告される場合、最新の今月に受注したようにまとめて報告してよい、ということである。

そして調査票のデータは機械読み取りで、過去のデータを後で入力できないようになっていた。

そこで、このように複数月分を最新の月に一括受注のように見せかけて、都道府県の担当者に消しゴム、鉛筆で書き換えを指示していた。

これがいつ始まったのかを、国交省ではまだ確認できていないという。

書き換えについては、毎年春ごろに開かれる会議で都道府県の担当者に資料を配布、そのうえメール、口頭にて具体的な指示を出していたという。

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国交省によると書き換えがなされたのは調査対象の事業者のうち1割程度で、その多くは受注規模の小さい中小の企業が主だったという。

また、2000年度この統計が始まったときは、期限までに提出しなかった事業者のデータはゼロと処理していたのを、2013年からは調査未回答企業の実績をゼロではなく一定の推計値で補完して計上、実際の調査結果に近づけるように改めた。

それで提出が遅れた前月分以前の実績、そして推計値が二重計上されて、実際よりも数値が水増しされてしまったという可能性が浮上。

もし数値が実態と異なる場合は、それを基にたてられた政策立案の有効性に疑問が生じることになる。

2019年ごろに会計検査院により調査票の取り扱いの不適切さを指摘された国交省は、2021年4月以降新しい処理方法に基づいた結果の発表を開始したという。

しかし、2019年までの分は都道府県に指示して調査票の書き換えをさせえていて、月ごとの数字が失われてしまっている。

国交省は会計検査院の指摘後2020年1月から21年3月分を自ら合算しており、その期間は調査票データと書き換え合算後のデータの2つが存在している。

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信頼を裏切る行為は許されない

なぜ8年も放置?

では、なぜ8年間も放置されてきたのだろうか?

これには、国交省担当者が代々にわたって前例のまま引き継いできたという可能性が指摘されている。

2018年には別の基幹統計「毎月勤労統計」の不正が発覚したため、政府によって一斉点検が実施されたものの、国交省は自らの持つ問題を見つけることがなかった。

そして、19年に会計検査院から指摘をうけ、20年1月分から都道府県への書き換え指示を停止。

2021年4月以降2020年1月までさかのぼって数値を修正したが、この経緯は国交省に直接報告はされておらず、公表もされなかった。

2019年より以前については、調査票が一部廃棄処分になっていることなどから修正は困難としている。

国交省の担当者は昨年12月15日に記者団に対して経緯を説明した。

その中で、国交省としては法令違反という認識がないこと、統計法管轄の官庁の判断は不明、と述べたという。

斎藤鉄夫国土交通大臣は12月17日の会見で、書き換えについて陳謝するとともに、統計の専門家に加え法律の専門家も交えた第三者委員会を大臣直下に立ち上げ、経緯と原因の究明をおこなって1か月以内に取りまとめたいと述べた。

その結果を踏まえて統計委員会に報告、再発防止策と信頼性向上に向けて取り組む決意を表明した。

監視の目は必要不可欠である
今回のことが繰り返されないよう、常に監視の目が必要となる

首相は、野党は、どう見ているのか?

岸田総理大臣は、建設工事受注動態統計いついては、令和2年(2020年)1月から数字の改善がなされているため、令和2年と3年のGDP統計には直接影響がないとして、補正予算案の修正は不要であると述べている。

また、松野官房長官は大変遺憾であるとしながら、これまでの経緯を説明し、再発防止を指示したと述べた。

一方野党側では立憲民主党の小川政務調査会長が厚生労働省の統計不正問題をあげて、過失だけでなく悪意や故意の可能性を指摘。

国民民主党の玉木代表は、基幹統計にあってはならないことだ、と述べている。

野党は2022年の通常国会で予算審議が開始される以前に、この書き換えや不適切なデータ取り扱い関する実態と経緯の把握のために集中審議を行うように要求した。

今後は、国交省が大臣直下に設置すると宣言した第三者委員会がどのように調査を進めて結論を出すかが焦点になる。

今回の書き換えでは、虚偽報告として統計法に触れる可能性も出てきているため、法律の専門家も交えた調査が必要となっている。

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