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ロシア日本外交官をスパイ容疑で拘束 、日本は「威圧的な取り調べを受けた」と抗議

26日、極東ウラジオストクに駐在する日本人外交官がスパイ活動の疑いで拘束された。

ロシア側は「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」として、国外追放を通告したと発表した。

日本政府によると、領事は既に解放され、健康上に問題はないとのこと。

ロシアの連邦保安局(FSB)よると、この外交官はロシアとアジア太平洋地域の他国との協力関係や、西側諸国が加えた制裁のロシア極東地方への影響に関する機密情報を受け取ったという。

FSBは、領事がロシアの法律に違反したことを認める映像を公開した。

また、この映像には領事がレストランでロシア国籍の人物と会い、振り返っている光景も含まれているという。

ロシア外務省は26日、モスクワにある日本大使館の幹部を呼んで「ロシアの安全保障上の利益に損害を与える」と抗議の声明を発表。

48時間以内にロシアから出国させるよう通告するとともに、日本政府に強く抗議した。

極東ウラジオストク

「威圧的な取り調べを受けた」日本から抗議

在ロシア日本大使館は、ウラジオストク総領事館の館員1人が国外退去の要請を受け取ったと確認した。

そのうえで「領事官を拘束して取り調べを行うことは『領事官の身体の不可侵』などを定めるウィーン条約に明白に違反するもので極めて遺憾であり、決して受け入れられない」と、ロシア外務省に厳しく抗議した。

27日松野博一官房長官は、ロシア側が主張した違法活動は行っていないと否定。

そしてロシアを、極めて遺憾で受け入れられないと非難した。

館員は終始目隠しをされ、両手や頭を押さえつけられた状態で連行され、取り調べを受けたと指摘している。

そのうえで、ウィーン条約および日ソ領事条約の重大な違反だと厳しく批判。

ロシア側が館員を不当に扱い、「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」と通告したことは「信じがたい行為であり、強く抗議する」と述べた。

さらに、森健良外務次官は27日にガルージン駐日ロシア大使を外務省に招致して厳重に抗議。

ロシアに正式な謝罪と再発防止を求め、日本政府として相応の措置を講じることも伝えた。

そして最後に、ロシアが日本の抗議と申し入れを真剣に受け止めることを強く求めるとした。

同館員の状況について、現在は拘束されておらず、健康状態も問題ないとのこと。

同館員の安全を最優先するため、早期に帰国させる予定で28日までにロシアを出国できるよう調整している。

威圧的な取り調べ

気になる映像の内容

ロシア側は日本の外交官をスパイ活動の疑いで拘束した証拠とする、隠し撮り映像を公開した。

奥に座る女性が、男性に書類を渡している様子が映っている。

薄暗い店内には、日本の調味料や割り箸が置かれていた。

また、店内のテレビに日本のテレビ番組が映っていたことから、日本料理店で接点があった様子。

FSBは、これを証拠に外交員が機密情報を受取って、報酬を渡したと主張した。

さらに外交官へ取り調べをした映像も公開された。

「ロシアの法律を違反することがわかっていますか?」

男性「今、わかりました」

「ロシアの内部の情報を受取ったとわかっていますか?」

男性「あの…はい…えーと、今はわかりました」

ロシアは「ペルソナ・ノン・グラータ(=好ましからざる人物)」と宣告したが、林外相は「違法な活動を行った事実は全くない」と抗議している。

もともと、ロシアによるウクライナ侵攻で、日本とロシアの関係は悪化していた。

4月に侵攻を巡って日本政府は、在日ロシア大使館の外交官ら8人を国外追放した。

これへの報復措置として、ロシア外務省もロシアに駐在する日本外交官8人の国外退去を通告していた。

スパイ活動

日本だけではない、他国の外交官も国外追放へ

ロシア外務省は5月、フランスとイタリア、スペインのロシア駐在の外交官計85人を国外追放すると発表していた。

これも3カ国がロシア外交官を追放したことに対抗する報復措置だったとみられている。

対象者になった外交官はフランスが34人、イタリアが24人、スペインが27人。

3カ国は4月、ウクライナの首都キーウからロシア軍が撤退した後、多数の遺体が発見されたことを受け、ロシア外交官を国外追放していた。

フランスは、ロシア外交官を国外追放した理由は、スパイ活動の疑いだと説明。

それに対し、フランス側の在ロシア大使館は外交業務を完璧に遂行していたと主張し、ロシアに抗議した。

イタリアのドラギ首相は「悪意ある行為だが、和平を追及するならばロシアとの外交チャンネルを完全に閉ざしてはならない」と述べている。

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