高梨沙羅がスーツ規定違反で失格 測定方法が厳しすぎ?
ノルディックスキーのジャンプ女子ワールドカップ(W杯)個人第13戦が1月15日、山形・アリオンテック蔵王シャンツェであり、高梨沙羅(クラレ)は2本目の終了後にスーツ規定違反で失格となった。
今季のW杯で高梨がスーツ規定違反で失格となったのは初めて。

北京五輪の悪夢また
高梨は1本目で95メートルを飛んで11位につけ、自国開催での表彰台を目指して2本目を飛んだ。
しかし、飛距離は伸びず2本目も95メートル。
その後、規定違反で失格とされた。
日本女子チームの横川ヘッドコーチ(HC)は「ウエストが大きかった。2センチくらい」と説明する。
高梨は予選の後にもランダムの検査を受けて、その時にはパスしていたという。
横川HCは「修正はしています。いつもギリギリで修正するけど。
しょうがないかな、そのタイミングで大きいと言われたら」と振り返った。
高梨は昨年の北京五輪、混合団体戦でスーツ規定違反となった。
100メートルを超える大ジャンプを見せたが、太ももの周りが規定よりも2センチ大きかったとして1本目は記録なしに。
泣き崩れたが、2本目を飛んで日本は4位入賞した。
昨年10月に今季の海外で初戦となったドイツ・クリンゲンタール大会でもスーツの規定違反で失格になった。
高梨はテレビ番組で「絶対失格にならないように、毎日メジャーメントしてもらって、その試合当日も測ってもらって、『大丈夫だね』と言って行ったんですけど、ダメだった。
腕といってもどこを測るのかによっても1センチぐらい変わっちゃう。
明確に決めないと誤差が出ちゃう」と語っていた。
自身でも試行錯誤を繰り返しているが、スーツは基準ギリギリで調整するため、その日の体調などによってわずかな差が出るのは仕方ない面もある。
2018年の平昌五輪では女子個人ノーマルヒルで銅メダルを獲得した高梨。
今季はまだ表彰台がなく、ジャンプ以外の部分で再び悩みが出てきてしまった。

測定方法が変わり違反者続出
高梨が訴えていたように、以前は測定にあいまいな部分もあった。
しかし、国際スキー連盟(FIS)は今季からスーツの測定方法を変更。
立った状態から仰向けで測るようになったことに加え、股下の長さをレーザー機器で測定するようになり、より厳密な判定がされるようになった。
スーツの規定に悩まされているのは高梨だけではない。
1月8日に札幌で行われた女子W杯第11戦では、昨シーズンに年間総合優勝を果たし、優勝候補の筆頭だったマリタ・クラマー(オーストリア)がスーツ規定違反で失格となった。
FISのコメンテーターも務めるジャーナリストは「クラマーが6人目の失格となり、6人のうち5人はスーツ規定の問題だった。
今シーズンの累計失格者は例年の2倍を記録している」と発信。
厳しくなった基準から異常事態となっていることを訴えている。
厳密な測定がされるようになった一方で疑問も残る。
高梨が山形での大会で、予選を終えて検査をパスしてから決勝の2本目を飛ぶまでは約2時間。
その間に2センチもの急な体型の変化が起きるとは考えにくい。
4日間にわたってスーツは同じものを使っているという。
機械は導入されたものの、本当に正確な測定が行われているのだろうか。
11月のW杯では男子の小林陵侑もスーツ規定違反で失格となっている。
横川HCは「あってはいけないこと。
ウチのチームはもっと勉強していろんなスーツを開発していかないと。
テクニック的には勝っていても、スーツで負けたりする。
いろんなところを見直さないといけない」と日本代表チームとしての対策の必要性を語る。
厳しい測定方法によって、今後もスーツ規定の失格者は出るとみられる。
選手とFISのギリギリのせめぎ合いは続く。
