社会・文化

マスク氏がTwitter買収「Twitterを自由奔放な地獄絵図にはしない」ユーザー認証方法見直しへ

27日、米実業家イーロン・マスク氏が440億ドル(約6兆4000億円)でTwitter買収を完了した。

マスク氏が買収計画を撤回し、合意履行を求めたTwitterと法廷闘争に発展していたが、4月から続いたいざこざに幕が下りることになった。

マスク氏はユーザー認証の手続きを見直すと投稿し、詳細は不明だ。

31日に提出した書類では、最高経営責任者(CEO)に就任すると発表した。

株主は1株当たり54.20ドルを受け取り、Twitterは非公開化される。

7月マスク氏は、個人情報を抜き取るスパム(迷惑)アカウントに関する同社への疑義を理由に一方的に買収撤回を表明していた。

Twitterは合意履行を求め、法廷闘争に発展していたが、今月に入って動きがあった。

4日マスク氏が当初提示した条件で買収を進め、同額の440億ドル(約6兆4000億円)を再提案したのだ。裁判所は28日までに交渉結果を報告するよう求めていた。

CEOに就任するマスク氏
CEOに就任するマスク氏

少なくとも1人は警備員によって退去、今回の退任劇

今回マスク氏の改革により解雇されたのは、パラグ・アグラワルCEO、ネッド・シーガルCFO(最高財務責任者)、ビジャヤ・ガッデCLO(最高法務責任者)、法務顧問のショーン・エジェット氏。

4人のうちの少なくとも1人は警備員によって退去させられたという。

前CEOのアグラワル氏と前CFOのシーガル氏は「マスク氏の時代が始まり、戻る気はない」と述べていたとのこと。

アグラワル氏とマスク氏には以前より確執があった模様。マスク氏は以前から、製品変更やスパムアカウントの削除が遅いと非難していた。

アグラワル氏らの退任が報じられたのは、マスク氏がTwitterの言論に一定の制限を加える考えを示した直後だった。

また、マスク氏は以前「従業員の75%を解雇する」と宣言していたが、「75%まで解雇するつもりはない」と前言を撤回している。

言論に一定の規制を加える方向
言論に一定の規制を加える方向

「自由奔放な地獄絵図になってはならない」今後Twitterはどう変わる?

同氏は以前、言論の自由を掲げてTwitterの買収を提案していた。

10月27日のツイートではその理由について「暴力ではなく、様々な信念を健全な形で議論できる場を持つことが未来に必要」と説明。

「何を言っても罰せられない、自由奔放な地獄絵図にはさせない。国の法律を厳守し、すべての人を温かく迎え入れるべき」と述べ、議論の場の健全性を高めるために一定の制限を設けると述べた。

この発言は、広告主へアピールする意味合いも含んでいる。

The Wall Street Journalは27日に、「コンテンツモデレーション(ネット上のコンテンツの監視)をめぐるマスク氏の姿勢を広告業界が危惧している」と報じたため、そのイメージを払拭するねらいがあるのだろう。

その手始めとして、アカウントが本物であることを示す青色の「認証済みバッジ」を有料化することが検討されている。

その認証済みバッジのアカウントを利用するため、月額4.99ドルを支払い、既存のサブスクリプション(継続課金制)サービス「ツイッター・ブルー」に登録する必要がある。

登録しなければ、認証済みバッジを削除される場合もあるとのこと。

Twitterは売上の9割を広告に頼っており、広告主の意向を無視して運営することはできない。

マスク氏はより自由に運営できるよう、有料サブスクなど広告以外の収入源を増やすねらいがあると思われる。

また、マスク氏は広告主にとって信頼できるプラットフォームを目指し、投稿監視評議会の設置や、アカウント凍結解除に関する方針を検討するとも言及している。

Twitterを信頼できるメディアにすることを目指しているのだろう。

これからのTwitterが、極端な意見のぶつけ合いによって憎悪や分裂を生む場ではなく、多くの人々に開かれた議論の場にしたいというマスク氏のビジョンには賛同できる。

今後マスク氏がどのような改革をしていくのか注目だ。今後トランプ前大統領のアカウント復活など様々な展開が待ち受けているのかもしれない。

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