財政難なのにと10万円のバラマキを心配する人が誤解する「国の借金」
日本の財政は大赤字だというふうに言われており、報道でも今年6月末、国の借金は過去最大1220兆円、国民1人あたりではおよそ992万円とされた。
しかし、この報道に対し京都大学大学院の藤井聡教授は、その報道は国、財務省のでたらめな情報で、これらの借金は、国民のものでもなんでもなく、「政府の借金」であるとしている。
日本は以前、バブルが崩壊してからは大きな財政赤字が続いているという風に政府や経済学者、マスコミなどが日本は大量の負債があり、このままいけば国の財政が破綻すると言い続けてきました。
さらに、新型コロナウイルスの発生により、赤字は膨らみ1220兆円や国民一人当たりで992万円という報道が流れた。
この報道に対して、現在検討されている10万円の給付金について、「本当に大丈夫なのか?」「出したくても出せないのでは?」と疑問に思われる方もいるかもしれませんが、藤井教授はきっぱりと出せるという。
そして、これらの報道は全て、全くのデタラメであり、ウソであると吐き捨てました。
何もかもがウソだらけで、そのウソに騙されている人は多くおり、それがコロナ対策にも大きな弊害をもたらしているという。
例えば、今回の給付金にしても本当はもっと出せるのに、ほとんど文句や不平不満が出ないのは多く国民が日本には多額の借金があり、財政的に厳しい状況があるという刷り込みがあるからだとされる。
表現自体も間違っており、国の借金ではなく、正しくは「政府の負債」である。
「国の借金」っていうと、なんだか私たち日本国民も借金をしているのではないかと疑ってしまうかもしれませんが、それは完全に間違っており、例えば国の中には様々な主体があり、私たち国民や法人、そしてそれらとは別の存在として「日本政府」があり、よくマスコミなどが報道している「国の借金」というのは国や国民ではなく、全て「日本政府の借金」のことを指しているのです。
日本銀行の資金循環統計の中にも、きちんと「政府の負債」と記載があるわけで、「政府」が借りているのが「政府の負債」であって、国や日本、国民の借金という記載は全くありませんし、全然違うのです。.
国がウソの宣伝をしているわけ
では、なぜ国の借金が1220兆円だとか、国民一人当たり992万円の借金だとかの宣伝をしているのかというと、その方が自分たちにとって都合がいいからに他ならないからです。
国の財政を扱っているところが財務省になるのですが、その財務省は以前の小泉純一郎政権時から、「政府の負債」を減らすことに何よりも力を注ぎ、国民や日本全体というよりも、自分らがいる政府機関組織の財政のことだけを考えているのです。
つまりは、国民や国全体を考えず、新聞社や通信社、テレビ局の記者たちが常駐する財務省内の記者クラブ「財政研究会」を通じて、記者に資料を配り、政府の負債を「国の借金」と呼ばせ、国民感情を煽り、政治的な意図を持つ「宣伝」、プロパガンダを行っているのだという。
そして各メディアによっては、わざわざ政府の負債額を日本人口で割り、国全体の借金額と国民一人当たりの金額をみせることで「日本は借金まみれで財政破綻する」などと掻き立てられる。
そして、財務省に飼われた大半の政治家や経済を専門とする学者たちも「借金が膨らみ続けると日本は崩壊する、財政破綻する」などと主張を行ってきた。
どれも真実ではないにも関わらず。
このように国全体、国民一人一人の借金という風に見せ、政治家や学者、記者たちなどの報道が世の中に広まれば、人のいい日本国民は「どうにかして借金を減らさないと日本はダメになる、将来世代のためにも消費増税も仕方がない」となってしまう。
その結果、財務省による増税路線に国民は抵抗することができなくなってしまうということです。
これらが、国、財務省によって意図的に作られた財政破綻論であり、日本の国民が騙され、税金を搾取されている不都合な真実なのです。
そもそも日本政府が財政破綻をすることはありえず、通貨を発行しているのが日本銀行であり、日本銀行を動かしているのが政府であるため、借金をしているのがドルやユーロではなく「円」である限り、自分たちで発行していつでも円を用立てすることができのが実情です。
藤井 聡
奈良県の生まれで京都大学工学部を卒業し、現在は土木工学、社会工学を専門に活動を行っており、評論家としても活躍している。
過去には第2次安倍晋三内閣の内閣官房参与なども歴任した。
シミュレーションおよび行動経済学のテーマで博士(工学)の学位を取得した後の心理学、経済産業研究所や学際ユニットでの研究など、「実践的総合政策論および人文社会科学研究」が専門である。