社会・文化

食用コオロギなど食糧問題の解決に有効だと注目を集める昆虫食

注目を集めているが抵抗感を持つ人が多い現状

今、食糧問題の解決策として“昆虫食”が注目を集めており、メディアで取り上げられることも増えたが、抵抗がある人がまだまだ多い現状。

外食市場の調査や研究を行う“ホットペッパーグルメ外食総研”が、2023年1月に実施したアンケート調査「『避ける』と思われている食品・食品技術」の結果によると、「絶対に避ける」と答えた人の割合が最も多いのが昆虫食だった。

2022年11月18〜20日に行われた当アンケートは、全国20〜60代の男女を対象に実施され、有効回答数は男性517件、女性は518件で、合計1,035件。

アンケートでは、昆虫食を「絶対に避ける」を回答した人は88.7%。

「できれば避ける」の回答を合わせても昆虫食が1位で62.4%。

2位が“人工着色料”(73.5%)、

3位に“3Dフードプリンターで作った食品”(70.3%)という結果だった。

昆虫食とは食用のコオロギやバッタ、タガメなどを原料に作られた食品。

タンパク質やミネラルを豊富に含むため栄養価が高く、短期間で生産できることがメリット。

生産する際に環境負荷が低く、人口の増加による食糧危機において注目され、開発や商品化に乗り出す企業が増えている。

一目見て昆虫だとわかる原型をとどめたものもあるが、昆虫をパウダーやエキスとして加工し、お菓子や飲料にした商品もある。

加工されたものは、見た目ではわからないため、あまり抵抗なく食べられそうだ。

加工した食品には、せんべいやクッキー、チョコレート、スナック、チップスなどのお菓子が多い。

そのほかにも、ふりかけや佃煮、ジュースなどがある。

加工されていない昆虫食は、加熱処理後に乾燥させて作られており、昆虫の形がそのまま残っている。

薄味のものが多く、ケチャップやマヨネーズ、ガーリックパウダーなどに和えると美味しいのが特徴。

エビのように香ばしく美味なコオロギ
エビのように香ばしく美味なコオロギ

昆虫食への取り組みを進める企業

昆虫食に抵抗感を持つ人が多く、一般的な普及はまだまだ進んでいないが、有名な企業が昆虫色に対する取り組みを進めている。

無印良品を運営する良品計画は、2019年に“コオロギせんべい”を開発し、2020年から販売。

その後、コオロギチョコも開発、販売し人気を集めている。

また、敷島製パン(Pasco)は、2020年12月に食用コオロギのパウダーを使用した“コオロギのフィナンシェ”と“コオロギのバゲット”をオンライン限定で発売し、話題になった。

そして、NTT東日本が2023年1月19日に、食用コオロギを手掛ける“ベンチャー・ぐりラス”との共同で、食糧問題の解決を目指して“食用コオロギのスマート飼育”を確立するための実証事件の開始を発表。

今後、食用コオロギの需要拡大を見据え、飼育施設を拡大するなど事業化に向けて検討することを明らかにしている。

一般的にはまだなじみが薄く、抵抗感が強い昆虫食だが、良品計画や敷島製パンが食用コオロギを使用した商品を開発・販売したことで注目度が高まり、TPCマーケティングリサーチの調査によると、2021年の日本国内での昆虫食の市場規模は10.8億円で、2020年に比べて約6割の伸びだという。

一方、日本能率協会総合研究所の調査では、2019年の海外での昆虫食の市場規模は70億円だったが、2025年には1,000億円程度に上昇することが予想されているのだ。

食糧危機が叫ばれている中、現在の畜産業と比較すると少ない餌や水、狭い土地で育てられる昆虫食の需要が上がっていることと、まだ一般的ではない昆虫食への取り組みや開発をビジネスチャンスと捉えて取り組む企業が増えていること、そして少しずつ一般曹への認知度も上昇していることが市場規模の拡大につながると考えられている理由。

各企業では今後、昆虫食への抵抗感が薄れるための取り組みが求められるだろう。

企業だけではなく、学校給食にも取り入れ始められた昆虫食
企業だけではなく、学校給食にも取り入れ始められた昆虫食

種類は100万種以上

昆虫は100万種以上の種類があると言われており、それぞれの昆虫によって特徴がある。

最も一般的なコオロギは“陸のエビ”とも呼ばれ、エビのような香ばしくサクサクとした食感が特徴。

コオロギは雑食性で、飼育しやすいため、昆虫食によく使われている。

昔から食用としてよく知られるイナゴは、羽根や脚をそのまま残してあるものが多く、ザクザクとした食感が特徴。

加熱してから乾燥させたスナックや、砂糖や醤油で甘く煮詰めた佃煮、甘露煮などがあり、瓶詰や缶詰などさまざまな商品が販売されている。

蜂の子を使用した食品も多く、特徴はぷちぷちとした独特の歯ごたえ。

蜂の子を使用した郷土料理は日本各地で古くから食べられているが、主にスズメバチの幼虫が使われている。

砂糖や醤油、味噌などの調味料で煮込んで食べるのが一般的。

クセがなくて食べやすいのはワーム系の昆虫食で、カイコの幼虫“シルクワーム”やタケツトガの幼虫“バンブーワーム”が主に使われている。

中でもバンブーワームは、抹茶のように甘い香りで、スイーツのトッピングにも適している。

いろいろな種類の昆虫食が入っているミックスセットもあるので、少しずつ食べてみて比べてみるのもおすすめ。

敢えてサソリやゲンゴロウ、タガメなど大きな虫をそのまま使用した食品に挑戦してみてもよい。

昆虫食は一般のスーパーなどではなかなか目にする機会がまだ少ないが、オンラインショップではラーメンやプロテインバーなどさまざまな商品がある。

ただし、昆虫にはエビやカニなどの甲殻類に含まれる成分とよく似た成分が含まれていることがあるため、甲殻アレルギーのある人は、食べる前に十分な注意が必要だ。

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