社会・文化

今、アジフライ専門店が全国的ブームに!その秘密とは?

アジフライブームの火付け役は松浦市

アジフライと言えば、ジューシーで旨味がたっぷり詰まったアジと香ばしくサクッとした衣が特徴の、日本人には昔からおなじみの定番のおかず。

定食や居酒屋のメニューにも多く登場し、庶民的な食べ物の代表格でもある。

そのアジフライが今全国的に大人気で、専門店には連日行列ができているという。

その代表格は2022年3月、東京都市ヶ谷にオープンしたアジフライ専門店“トーキョーアジフライ”や、数量限定のアジフライを提供する東京都高田馬場の和食店“酒肴新屋敷”。

2店に共通するのは、アジの水揚げ日本一を誇る、長崎県松浦市で獲れるアジを使っていること。

松浦市ではフライに使われる真アジが、毎月1,000トン以上水揚げされる。

松浦市の真アジの多くは五島列島の対馬沖段流域を回遊しており、津島海峡から五島海域の沖合を回遊しているものと、養殖が盛んな伊万里湾内に住み着いたものとの2種類がある。

沖合を回遊している真アジは身がキュッと引き締まり、上品な脂がのっているのが特徴。

そして、もう1つは伊万里湾内で質がよいプランクトンを食べて育つため、厚い脂身と濃厚な味が特徴。

どちらも魅力的だ。

2店とも、松浦市の真アジを使用していることで、絶大な人気を誇っている。

骨まで美味しい「トーキョーアジフライ」のアジフライ
骨まで美味しい「トーキョーアジフライ」のアジフライ

アジフライの聖地を宣言し、松浦アジフライ憲章を制定

松浦市は、2019年4月に“アジフライの聖地”を宣言し、“松浦アジフライ憲章”が制定された。

さらに、2020年からは“AJIFRY★M-POPプロジェクト”を開始。

グッズの販売や動画の制作などさまざまな活動を展開し、2020年12月には“アジフライの聖地”が商標登録されているのだ。

松浦市一丸となって行ってきたさまざまな取り組みが実を結び、全国的に松浦市のアジが大人気となっているのだ。

トーキョーアジフライは、松浦市の真アジを使った揚げたてのアジフライと、羽釜で炊いた厳選米が魅力。

アジフライは、8種類の薬味で楽しめるのも嬉しい。

市ヶ谷エリアのオフィス街にあるので、平日は多くの会社員がランチに利用し、週末や祝日には観光客も訪れやすい立地も人気の秘密だろう。

一方、酒肴新屋敷の店主である池田隼人さんは、全国各地のアジフライを食べ歩き、そこでたどり着いた松浦市のアジにすっかり魅了されたという。

2022年5月にはTBS系の人気番組『マツコの知らない世界』に、“アジフライの名手”として出演したこともあるほど。

そして、2022年10月、“松浦アジフライ大使”に就任。

松浦市にあるギフトショップとコラボして、冷凍のアジフライ“ALAYASHIKI AJIFRY”を開発するなど松浦産アジとは縁が深い。

“アジフライの聖地”長崎県松浦市
“アジフライの聖地”長崎県松浦市

ワンフローズンが美味しさの秘密

前述した松浦アジフライ憲章には、「私たちは、ノンフローズン又はワンフローズンで提供します」という一文がある。

ワンフローズンとは、水揚げ直後に加工し、一度だけ冷凍するというもの。

このワンフローズンが、松浦産アジフライの美味しさや鮮度の高さを保つ大きな要因となっている。

松浦アジフライ憲章にはほかにも、

「私たちは、松浦アジフライをこよなく愛しています」

「私たちは、松浦市で水揚げされたアジ又は松浦市周辺海域で漁獲されたアジを使用します」

「私たちは、できるだけ揚げたてアツアツを提供します」

「私たちは、松浦アジフライの振興を通して世界平和を願います」

など8つの内容が規定されている。

アジフライの聖地を宣言し、アジフライ憲章を制定してから丸4年。

その間の地道な努力や活動が実り、今では全国から観光客が訪れるようになった。

松浦市と同じ九州の福岡県でも、松浦産のアジを使った新感覚のアジフライを提供する人気店がたくさんあり、その人気が全国に広がりつつある。

その中の1つ、“三陽食堂”を経営する株式会社 三陽で新規事業開発を担当する横山裕二さんは、「松浦産のアジは身が丸くて柔らかく、脂のノリがよいことが特徴」だと語る。

三様の松浦工場は、松浦市魚市場からほど近い場所にあり、獲れたてのアジを仕入れた直後に工場に運び、ワンフローズンで提供しているという。

横山さんは「弊社のアジフライは、刺身として食べられるほど鮮度のいい松浦アジを加工し、生のパン粉をつけた状態で凍らせています。

工場のラインに入ってから、15〜20分で処理をしているので、新鮮さが保たれています」と語る。

松浦市と福岡市は“AJIFRY AFFAIR”というコラボイベントを開催するなど、福岡県民にとって松浦産のアジは身近となっている。

2023年5月現在、福岡市には松浦アジフライ憲章を満たした店舗が35店舗あり、アジを半分ずつフライと刺身にしたり、ハンバーガーの具材にアジフライを使ったり、独自のソースを開発するなど各店舗で工夫を凝らして提供しているという。

松浦市から福岡市、そして全国へと広がっている松浦産のアジ。

まだ体験したことがない人は、ぜひ一度食べてみては?

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