社会・文化

阪神・淡路大震災発生から28年。課題となる次世代への継承と電気火災の防止

発生時刻に捧げられた黙とう

1995年1月17日午前5時46分に、6,434人が犠牲になった阪神・淡路大震災は発生した。

建物が倒壊したり火災が発生したり、その後の関連死も含めると6,434人が亡くなった大震災。

発生から28年が経った2023年1月17日、神戸市など大きな被害があった地域で、犠牲者を追悼する行事が開かれた。

神戸市中央区の東遊園地では市民団体などで結成された実行委員会による「追悼のつどい」が開かれ、大震災が発生した時刻に参加者が静かに手を合わせ、犠牲となった方々に黙とうをささげた。

追悼のつどいは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で規模が縮小されていたが、3年ぶりにコロナ前と同じ規模で開催された。

会場には、「1995 むすぶ 1.17」という文字の形に、犠牲者を追悼する竹灯籠が並べられた。

灯籠の数は、昨年の2倍の1万本。

震災を経験した人が震災を知らない世代に語り継ぐという気持ちが込められた「むすぶ」という文字は、公募で選ばれたもの。

震災で得られた知恵や教訓を、若い世代に伝えていきたいという強い思いが表れている。

集まった人達は明るく灯された灯籠に亡くなった大切な人の面影を重ね、在りし日を偲んでいる様子だった。

神戸市によると、東遊園地で行われた追悼のつどいには午前7時の時点で約5,000人が訪れ、昨年に比べると1,000人ほど多い人数だという。

ほかにも、各地の公園などで住民達が追悼行事を行い、同時刻に黙とうをした。

また、神戸市中央区のHAT神戸では兵庫県などが追悼行事を開催。

周辺では“1.17 ひょうごメモリアルウォーク”が3年ぶりに行われ、震災の痕跡や復興の歩みをたどることができる。

しかし、神戸市の“市民による追悼行事を考える会”の調査によると、コロナ前に比べると兵庫県内の市民団体が行う追悼行事の数は42件。

震災から20年経った2015年の110件に比べると4割ほどになっている。

兵庫県内の小学校では、1月17日に震災体験の語り継ぎや避難訓練などが行われるが、1月17日前後に黙とうや避難訓練などを行う学校や幼稚園などの教育施設は、全体の6割程度に減っているのだという。

時代とともに震災を経験していない世代が増え、震災の記憶や教訓をどのような形で継承していくか。

震災発生から30年の節目を前に、より大きな課題となっている。

発生から28年が経った
発生から28年が経った

電気火災の恐ろしさ

阪神・淡路大震災は、兵庫県淡路島北部を震源とする都市直下型地震で、マグニチュードは7.3。

街に甚大な被害をもたらし、約10万5,000棟の住宅が全壊、約14万4,000棟が半壊した。

負傷者は4万3,792人で、内閣府によると亡くなった方々のほとんどは、家屋の倒壊や家具などの転倒による圧迫死だった。

そのほか、火災や閉じ込め、精神的ショックにより亡くなった方もいる。

阪神・淡路大震災では、神戸市長田区などで大規模な火災が発生し、火災により焼失した建物は7,000棟以上。

出火原因の6割は、電気機器からの出火や停電の復旧時に発生する通電などが原因の“電気火災”だったと考えられている。

2011年の東日本大震災で発生した火災も、7割近くが電気火災だったという。

電気火災の中でも、通電火災は地震から時間が経過した後に発生するため注意が必要。

通電火災には、ヒーターが転倒したところに可燃物が接触した状態で通電した際に着火するケースや、通電時に発生した火花がガス漏れに引火し爆発するケースなどがある。

人々が避難し、無人になった室内で発生する火災のために発見が遅れる。

そのため初期消火の対応ができず、被害が拡大するケースも多いのだ。

28年前の阪神・淡路大震災の頃は、電気火災の危険性が十分に認識されていなかったため、被害が大きくなったケースもあった。

そのため、震災後に改めて通電火災など電気火災への対策の必要性が認識されるきっかけとなった。

通電火災を防ぐポイントは、避難するときにブレーカーを落とすこと。

身の安全の確保が最優先だが、避難する際はブレーカーを落とすことを頭に入れておく必要がある。

しかし緊急時にブレーカーを落とすことは難しいため、地震時に一定の揺れを感知することによって自動的にブレーカーやコンセントなどの電気を遮断する“感電ブレーカー”という装置の設置を検討するのもよいだろう。

そのほか通電火災防止には、「停電時に電気機器のスイッチを切り、プラグをコンセントから抜く」「通電後は、しばらく電気機器に煙や臭いなどの異常や破損がないか確認する」ことが有効。

阪神・淡路大震災発生の日を機に、改めて対策を考えておくのもよいだろう。

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