社会・文化

ハイチュウが米国で大人気 きっかけはあの人のもぐもぐ

アメリカでお菓子のハイチュウが大人気となっている。

森永製菓が発売してから40年以上が経過し、日本ではおなじみだが本格的にアメリカで売れ始めたのはここ10年以内の話。

2021年には過去最高の利益を達成したという。

人気の火付け役となったのは、ある人たちのもぐもぐする姿がきっかけだった。

なんだか久々に食べたくなってきた
なんだか久々に食べたくなってきた

日本人メジャーリーガーが火付け役

 メジャーリーグのテレビ中継で選手たちが何かをほおばっている姿が映し出される。

メジャーリーガーといえば、試合中にチューインガムを噛んだり、ベンチでひまわりの種をかじるのが一般的。

試合中にガムを膨らませる姿や、試合後のベンチにひまわりの種のカスが散乱しているのを見たことがある人も多いだろう。

 ある時テレビ画面に映ったのは、ハイチュウをほおばる選手の姿。

きっかけはボストン・レッドソックスで、田澤純一投手が差し入れとしてクラブハウスに持ち込んだことだった。

独特の食感が受けて、すぐに人気になったという。

その後は松坂大輔投手がプレーしていたニューヨーク・メッツや、黒田博樹投手が所属していたニューヨーク・ヤンキースでもハイチュウが勢力を拡大していった。

 田澤投手が毎回購入して差し入れるのも大変だったため、球団関係者が森永製菓に相談したところ、商品の提供が決まった。

森永製菓は現在、シカゴカブスとセントルイスカージナルス、タンパベイレイズの3球団とスポンサー契約を結んでハイチュウを提供している。

 スポンサーとなったことで、ベンチに置いたバケツ入りのハイチュウが映る回数も増え、SNSなどで話題となりさらに広まっていった。

火付け役となった田澤純一選手
火付け役となった田澤純一選手

営業利益が過去最高を達成

 ハイチュウは森永製菓が1975年に発売したチューイングソフトキャンディ。

その前に飲み込んでも大丈夫なガムとして販売されていた森永チューレットという商品の後継。

「チューレットをハイグレードにしたもの」というのがハイチュウのネーミングの由来という。

 海外では「HI-CHEW」の名称で販売され、世界20カ国以上で流通している。

 今ではアメリカで人気のハイチュウだが、その道のりは険しかった。

ハワイでハイチュウの人気があり、現地の人たちも食べているということがわかり、森永製菓は2008年に現地法人を設立した。

 しかし、すぐにアメリカ本土で人気が出るほど簡単ではない。

チョコレート菓子やチューインガムなどのライバルは多い。

地道な営業を続け、何度も断られながらスーパーマーケットを回り、販路を広げていった。

 その後、2015年ごろから田澤投手との縁もきっかけとなり、一気に売れ始めた。  

森永製菓の2023年3月期の決算では、2021年度のハイチュウの売上高は9200万ドル。

日本円で現在のレートでは約120億円。

輸出に有利な円安の影響もあって、営業利益は過去最高の14億円を達成したという。

25年ぶりにリニューアルも

 ハイチュウの魅力はフレーバーの種類の多さと独特な食感。

森永製菓はアメリカでの好調の要因を、ソフトキャンディはアメリカでも販売されているが、ハイチュウのようなフルーツの味わいを再現して噛みごたえのある食感を持つソフトキャンディは珍しいと分析している。

 これまで販売されたフレーバーの種類は200を超える。

観光地では都道府県の特産のフルーツ味を再現したご当地限定品もあり、沖縄のマンゴーや北海道の夕張メロンが人気。

 1975年に発売したハイチュウは、2022年に25年ぶりとなるリニューアルで大幅な商品変更を行った。

食感を重視し、噛み始めから終わりまで、食感を長く維持するように改良したという。

 「うまイチュウ<マスカット味>」を新発売。

カリカリとした食感とジューシーさが特徴で、人気が高いマスカット味を採用した。

 国内外で、今後もハイチュウの人気は続きそうだ。

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