イブラヒモヴィッチが現役引退を表明 ミランの最終節後に
サッカーのイタリア1部セリエAのACミランの元スウェーデン代表FWズラタン・イブラヒモヴィッチが現役引退を表明した。
ミランとの契約は今季で満了となるため、退団することはすでに発表されていたが、4日に行われた最終節後のセレモニーで「フットボールに別れを告げる時が来た」と語り、ミランで現役を終える意向を示した。

「私は生涯ミラニスタであり続ける」
最終節のヴェローナ戦、ミランはホームのサンシーロスタジアムで3-1で勝利し、シーズン終了のセレモニーを開いた。
その中で、この日はベンチ外だったイブラヒモヴィッチがチームメイトやサポーターに向けてスピーチをした。
黒色のシャツを身にまとったイブラヒモヴィッチは涙を流しながらマイクを握った。
「このスタジアムにはたくさんの思い出と感情が詰まっている。
私が初めてここに来たとき、あなたたちは私に幸せをくれた。
二度目は愛をくれた。
家族や身近な人たちの辛抱強さに感謝したい。
第二の家族に感謝したいと思う。
選手、コーチ、スタッフのみんなが、私に与えてくれた責任に感謝したい。
チャンスを与えてくれた監督たちに感謝したい」
こう語った後、自身の今後についても明らかにした。
「あなたたちは両手を広げて私を歓迎してくれた。
私は生涯ミラニスタであり続けるだろう。
フットボールに別れを告げる時が来たけど、あなたたちには別れを告げる時ではない。
難しすぎるし、感情が溢れすぎている」と、サッカー選手としてのキャリアを終える考えを伝えた。

膝の手術 怪我が相次ぎ体限界
41歳となったイブラヒモヴィッチは、近年は怪我に悩まされていた。
2021-22シーズンは23試合に出場し、8得点を記録。
クラブの11シーズンぶりの優勝に貢献した。
しかし、膝が限界の中でプレーを続け、イブラヒモヴィッチ本人の説明では前十字靭帯がない状態だったという。
半年で20本以上の注射を打ち、週に一度は膝にたまった水を抜いた。
半年間、毎日痛み止めを飲み、それでも痛みで眠れない日々が続いた。
長いキャリアの中で「ピッチの上でも外でも、これほど苦しんだことはなかった」というほど、壮絶な治療を施し、ミランのために戦った。
その代償で、シーズン後に前十字靭帯や半月板の修復などの大手術をしなければならず、今シーズンの半分はリハビリでプレーができなかった。
今年2月にリーグ戦に復帰を果たしたが、その後は4月にハムストリングの負傷、ふくらはぎの負傷と怪我が続き、試合に出ることができなかった。
リーグ戦の出場は4試合にとどまり、3月18日のウディネーゼ戦がミランでプレーした最後の試合となった。

テコンドー仕込みのアクロバティックゴール
イブラヒモヴィッチは、2000年以降でリオネル・メッシ、クリスティアーノ・ロナウドに次いで史上3人目となるキャリア通算500ゴールを達成。
オランダのエールディヴィジ、スペインのラ・リーガ、フランスのリーグ・アン、セリエAと4つの国で優勝を経験した。
リーグ・アンとセリエAで通算5度の得点王も獲得している。
195センチの長身を生かした屈強なセンターフォワードでありながら、身のこなしが軽やかでアクロバティックなゴールを数多く決めてきた。
幼少期から習って黒帯も保有しているテコンドーがサッカーにも生かされている。
ミランの他にもバルセロナやパリ・サンジェルマン、マンチェスター・ユナイテッド、インテル・ミラノと数々のビッグクラブを渡り歩いてきた。
スウェーデン代表でも122試合に出場し、歴代最多の62ゴールの記録を作った。
記憶にも記録にも残る稀代のストライカー。
たくましく、サポーターにも愛されたイブラヒモヴィッチは最後にこう語った。
「運が良ければまた会おう。フォルツァミラン! さようなら」
