政治

中国からの入国で陰性確認を義務化! 新型コロナウイルスを巡る日本と中国の現状

中国からの入国規制強化

12月27日、岸田首相は総理官邸で加藤厚生労働大臣らと中国からの入国規制強化に関する協議を行い、新型コロナウイルスの感染が急激に拡大している中国からの入国規制を強化する方向で調整していることがわかった。

具体的には、入国時に検査キットによる検査を実施し、陰性を確認することを義務付ける。

現在は、3回のワクチン接種証明書か滞在先の出発前72時間以内の陰性証明書を提示することで入国可能となっている。

しかし、中国ではゼロコロナ対策が破綻してから感染が急拡大しているため、新たに入国時の検査キットでの陰性確認を義務化する方針で、日本政府としては年内にも開始したい考えのようだ。

中国外務省の汪文斌(おうぶんひん)報道官は27日に行った記者会見で、新型コロナウイルスの感染が急拡大している中国への水際対策の強化の方針を日本が示したことに対し、「防疫措置は科学的で適度なものでなければならない」として反発。

「正常な人的往来に影響を与えるべきではない」との考えを示した。

汪氏は「中国政府は一貫して科学的で正確だという原則を堅持し、感染状況の変化に基づきながら常に対策を適正化してきた」と話し、中国側の防疫措置の正当性を主張した。

また、これまでは原則として中国人の海外旅行を禁止してきたが、2023年1月8日から申請手続きの受付を再開することも発表した。

新型コロナウイルス感染防止対策として入国時の強制隔離を行ってきたが、これも撤廃するという。

水際対策を大幅に緩和することにより、習近平(シージンピン)政権が感染を厳しく封じ込めるために行ってきたゼロコロナ政策に終止符が打たれる形だ。

入国時に検査キットによる検査を実施し、陰性確認することを義務付ける
入国時に検査キットによる検査を実施し、陰性確認することを義務付ける

経済活動の正常化を優先する中国

12月26日夜には中国政府で新型コロナウイルス対策を担当している国家衛生健康委員会が、2023年1月8日から中国に入国する際は出発の48時間前までに受けるPCR検査のみで入国可能とすることを発表。

現在は入国者全員が入国後のPCR検査と専用施設での5日間の隔離、さらに自宅で3日間隔離されることが義務付けられているが、これらが撤廃される。

今後は、国際線の便数制限もなくすという。

中国では12月に入ってから、感染者を洗い出して隔離する大規模なPCR検査の実施や厳しい移動制限を廃止。

その結果、各地で感染が急拡大したため入国時の隔離措置などの意味がなくなっていた。

3年近く続いたゼロコロナ対策によって悪化した経済状況を、国外との往来を本格的に再開することで立て直す目的もある。

中国政府は新型コロナウイルスを“コレラ”や“ペスト”と同等の最も厳しい管理区分『甲類』から1段階下の『乙類』に引き下げ、今回の緩和措置となった。

そして中国の出入国管理当局は、旅行を目的とするパスポートの更新や訪問先でビザを申請する際の手続きについて、秩序をもって受付を再開することを発表した。

しかし中国では日本や韓国などのビザ申請を行う旅行会社は指定されており、中国人が出国する場合の可否は出入国管理当局がコントロールできる。

また、中国では新型コロナウイルスの感染拡大に伴う人手不足が深刻化しており、抗体があり当面の感染リスクが少ない感染経験者を優先的に雇用する企業が相次ぎ、未感染者への新たな差別を生んでいると指摘される状況にもなっている。

背景には感染防止よりも経済活動の正常化を優先する政府の方針があるようだ。

抗体がある感染経験者を優先的に雇用する問題も出てきた
抗体がある感染経験者を優先的に雇用する問題も出てきた

感染状況は依然厳しい状態が続く

日本政府は、感染症法上における新型コロナウイルスの位置付けについて季節性インフルエンザを同等の『5類』に引き下げる方向で検討していることもわかった。

引き下げは、2023年春にも行いたい考えだ。

感染症法では重症化リスクなどによって、『1類』から『5類』までに分類されている。

これまで新型コロナウイルスは『2類相当』に位置付けられ、感染拡大防止のための厳格な対応が取られてきた。

最近はオミクロン株が主流になったことにより、死亡する人の割合が減ってきた状況から引き下げに関しての議論がされていた。

専門家からは、毎日多くの感染者が出ている状況から「引き下げは時期尚早だ」との意見も出ている。

また、『5類』に引き下げられるとワクチン接種などは自費負担となるが、「ワクチン接種などの公費負担は継続するべきだ」との意見も出ているため、議論は今後も慎重に行われる見通しだ。

感染状況は各地で拡大を続けており、12月27日に確認された新たな新型コロナウイルスの感染は20万8,248人で、新規感染者は1週間前に比べて約1万8,000人増加した。

死亡した人は北海道38人、神奈川県33人など全国で438人増えた。

1日あたりの死亡者数が400人を超えるのは初めてとなる。

厚生労働省によると全国の重症者は582人で、前日から19人増えた。

新規の感染者数も愛媛(4,131人)、岐阜(5,386人)、島根(1,866人)、山口(3,523人)の4県で過去最多を更新。

東京都の新規感染者は2万2,063人で、1週間前に比べ1,550人の増加。

東京都の基準による重症者数は49人で、前日に比べると3人減となる。

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