イニエスタが今夏で神戸退団へ 来日6シーズン
サッカーのJ1ヴィッセル神戸の元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタが今夏限りで神戸を退団することになった。
2018年に来日し、神戸でのプレーは今季が6シーズン目。
チームが首位を走る一方で、イニエスタはベンチスタートが続いている。
神戸との契約は今シーズン終了まで残っているが、出場機会を求めて移籍する可能性もある。
近日中に会見を開いてイニエスタが胸中を語る。

神戸の初タイトル ACLベスト4に貢献
世界的なスーパースターがスペインのバルセロナからやってきて6シーズンを日本で戦った。
来日当初は神戸がアウェーで戦う試合はチケットが完売し、「イニエスタ効果」とも言える現象も見られた。
バルセロナで主将を務め、現役バリバリの状態で神戸に加入。
世界トップクラスの名選手では、過去にブラジルのジーコが鹿島アントラーズにやってきたが、選手としてのピークは過ぎていた。
イニエスタのようなトップレベルの選手が神戸に移籍したのは、Jリーグの歴史を振り返っても初めてと言っていいケースだった。
神戸に加入後は2019年度の天皇杯で優勝し、神戸に初のタイトルをもたらした。
2020年のアジアチャンピオンズリーグ(ACL)では怪我をおしながらも神戸の準決勝進出に貢献。
準々決勝ではPK戦でキックを成功させたが、この時の強いシュートで右足を痛め、右大腿直筋近位部腱断裂の重傷を負い、手術することとなった。
この怪我の影響で2021年シーズンの序盤は欠場。
それでも、この年の5月11日、イニエスタの誕生日に会見を開き、神戸との2年間の契約延長を発表した。
来日時は推定で32億5000万円というJリーグ史上最高額の年俸だった。
しかし、新型コロナウィルスの影響でクラブの経営も厳しい状況が続いていたため、イニエスタは年俸面については譲歩。
推定20億円にまで下げて神戸と2023年シーズン終了までの契約を結んだ。

今季はリーグ戦3試合38分にとどまる
2010年南アフリカワールドカップでは決勝のオランダ戦で、延長で母国を初優勝に導くゴールを決めた英雄。
スペイン代表では126試合出場、13ゴールの記録を残した。
バルセロナでは4度、欧州チャンピオンズリーグを制し、スペインリーグ優勝は9回。
主要タイトルはほぼ全て手にしてきた。
しかし、今年で39歳となり、怪我も増えてきた。
神戸が走力や球際の強さを重視したインテンシティの高い戦術をとっているため、今季はイニエスタの出番が減少。
出場すれば、技術は健在で、魔法のようなパスやボールさばきを見せてくれるが、今季のリーグ戦出場はわずか3試合、38分にとどまっている。
このような状況からイニエスタが新天地を求めているとみられる。
「情熱がある限りプレーし続ける」
イニエスタは日本での暮らしをとても気に入っており、自身のSNSにも旅先での様子などをアップして世界中に発信している。
海外メディアのインタビューでは「日本はとても居心地がよく、私や家族を受け入れてくれる国です。
神戸を楽しみ、ここでとても良い気分になっています。
妻、息子や娘と街を歩くと、とても心地よく感じる」と語っている。
ただ、今後も日本でプレーを続けるかという問いには、「まだ決めていない」と語り、いつまで選手を続けるかについても
「まだ分からないです。
僕が望むのは、チームが目標を達成するのを助けることだ。
それだけが心配なんだ。
私の考えは、プレーすること、プレーし続けることです。
私はサッカーを愛している。
子どもの頃からずっと情熱を注いできた。
その情熱がある限り、私はここでプレーし続けるだろう」と話していた。
6月6日に古巣のバルセロナが神戸と国立競技場で対戦する。
本拠地のノエビアスタジアムで退団セレモニーを開くプランも検討されているという。
