『国際女性デー』に合わせて発表された『女性の働きやすさランキング』で、日本はワースト2位
6年連続でワースト2位を記録
3月8日の『国際女性デー』に合わせて、イギリスの経済誌『エコノミスト』が、主要29カ国を対象に女性の働きやすさを評価したランキングを発表した。
ランキングを見ると日本は28位で、ワースト2位という結果になった。
国際女性デー(International woman’s Day)は、国連が制定した記念日。
1900年代初頭は女性の参政権や女性労働者に関するデモや運動が盛んだった。
アメリカのニューヨークで1904年に起きたデモや1908年の縫製労働者によるストライキなどをきっかけに、1909年2月28日にアメリカが『全米女性の日』を定めたことが始まり。
1910年に、コペンハーゲンで行われた会議に17カ国が参加し、女性の権利運動を称える国際的な『女性の日』が制定された。
その後1975年に国連が『国際女性デー』を制定。
2年後の1977年に、国連が定める公式な日として認定された歴史がある。
『エコノミスト』は女性の活躍を妨げる意味がある『ガラスの天井』の指標として、経済協力開発機構(OECD)の加盟国の中で、主要29カ国の「女性の働きやすさ」を評価。
ランキングは賃金の格差や教育水準、労働参加率の差など10項目を基に評価したもの。
今年の評価内容で日本は給与水準の男女による格差、企業の管理職や下院である衆議院の女性議員数の割合が対象国の中で最低または最低に近い結果となったほか、半分以上の項目でOECDの加盟国平均を下回っている。
その一方で、有給による父親の育児休暇の取得状況では、最も良好と評価された。
日本に次ぐ最下位は韓国で、日本と韓国は2016年以降7年連続で同じ順位を記録している。

日本ではいまだに家庭かキャリアのどちらかを選ばなくてはならない
『エコノミスト』は、ランキング結果について「いまだに女性が家庭かキャリアのどちらかを選ばなければならない韓国と日本が下位を占めた」と評している。
企業の要職などにおける女性の割合の高さなど、女性が最も働きやすい環境だと評価されて1位に輝いたのはアイスランド。
2位は昨年まで2年連続で首位だったスウェーデンで、そのあとはフィンランド、ノルウェー、ポルトガルと続き、北欧の国が上位に多く名を連ねている。
3月8日の午前に行われた記者会見で松野官房長官は、「女性の就労は大きく増えた」としながらも「出産を契機に非正規雇用化するなど、取り組みは道半ば」と述べた。
その背景には「家事や育児などの無償労働条件が女性に偏っていること」があると分析。
課題として「長時間労働を中心とした労働慣行、古典的な性別分担意識」を挙げた。
そして、「男性の育児休業取得の推進や長時間労働慣行の是正など仕事と子育てを両立できる環境整備を進めること、男女間の賃金格差の是正、女性登用の一層の拡大などを合わせて、男女問わず意欲と能力に応じて活躍できる社会を目指していく」とした。

世界各地で行われたデモや運動
3月8日は、世界各国で国際女性デーの集会が開かれ、女性の権利を巡る状況の改善を求める声が挙がった。
特に少女が教育を受ける権利が奪われたアフガニスタンやスカーフの着用方法が不適切だとして拘束された女性が死亡する事件が起きたイランなどでは、女性の権利に対する抗議活動が広まっている。
スペインのバレンシアでイラン女性への支持を示すため髪を切った女性をはじめ、そのほかの国で行われたデモでもアフガニスタンやイランの女性への連帯も呼びかけられていた。
国連アフガニスタン支援団(UNAMA)のローザ・オトゥンバエワ事務総長特別代表は、「タリバン暫定政権下のアフガニスタンは、女性の見地に関して最も抑圧的な国のままであり、タフガンの女性と少女を公共の場から締め出す組織的、意図的、系統的な企てを目にするのは痛ましい」」との声明を発表。
そのほか、フランスのパリではデモ隊がパートで働く女性の年金の改善を求めた行進が行われ、イギリスのロンドンでは小説『ハンドメイズ・テイル(待女の物語)』のような衣装を着用した抗議者が大使館に向かって行進。
インドのジャカルタやシンガポール、トルコのイスタンブール、ドイツのベルリン、ベネズエラのカラカス、メキシコなどではシンボルカラーである紫色の服を身にまとった活動家によるデモが行われた。
イスタンブールでは警察がデモを解散させるため、抗議者に催涙スプレーを浴びせる騒動が起こり、フィリピンのマニラでは男女平等と賃金の改正を求め、活動家と警察が衝突した。
一方、イスラエルのテルアビブでは女性が集まって手をつなぎ『人間の鎖』を作り、市民の自由を抑圧しする恐れがある司法改革に抗議。
また、2022年にアメリカの連邦最高裁が人工妊娠中絶を合衆国憲法上の面理として認めた『ロー対ウェード』判決を下したが、その判決を覆す判断を示して中南米の国の多くが人工妊娠中絶を厳格に制限。
米州では生殖について故人の権利が主なテーマとなっている。
世界各地で国際女性デーにはこのような数々のデモや抗議運動が繰り広げられたが、日本ではどうだろうか?
日本も徐々に『国際女性デー』は認知されてきており、国連ウィメン日本協会や国際NGOがオンラインセミナーを開催するなど、さまざまな団体がイベントやセミナーなどの催し物を開催しているが、あまり話題になっていない。
まずは、我々日本人の意識を変えることが求められているのではないだろうか。
