ラグビー日本が世界最高位層へ 新設ユニオン入り
ラグビーの国際的な格付けで新設される「ハイパフォーマンスユニオン」に日本が入る見通しとなった。
ラグビーの国際統括団体ワールドラグビーがこれまで位置付けていた最高位「ティア1(ワン)」の10カ国・地域に日本を加えた11カ国・地域で構成される。
日本が最高位クラスに入るのは初めて。
日本代表の強化に向けても強豪国との対戦機会が増えるのはメリットとなりそうだ。

W杯で実績 初めてティア1相当に
ハイパフォーマンスユニオンは、日本時間で今月11日に開かれるワールドラグビーの理事会で正式に承認される見込み。
これまではティア1、ティア2、ティア3という「階層」を意味するグループ分けがされてきた。
世界ランキングとは別に伝統や格式が重んじられ、テストマッチ(国際試合)では同じティアで試合を組むのが基本とされる。
下位のティアから上位に上がるためにはワールドラグビーの承認が必要で、ティア2からティア1への昇格はアルゼンチンの例があるが、近年はティア1は固定されている。
日本はティア2に位置付けられている。
ティア1はイングランド、アイルランド、ウェールズ、スコットランド、フランス、イタリアのヨーロッパの「シックス・ネイションズ」と、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、アルゼンチンを加えた10カ国・地域。
多くがワールドカップ(W杯)の優勝経験国や、世界ランキングで1位になったことがある強豪国。
日本は世界ランキングの最高は6位。
W杯は2015年の第8回大会まではティア1の国と地域で開催されてきたが、2019年にティア2の国として初めて日本が開催国となった。
2015年のイングランドW杯では、日本代表は当時世界ランキング13位だったが、3位の南アフリカを試合終了間際の逆転トライで34-32で破る大金星の勝利を挙げた。
世界中に衝撃を与えた勝利は「ブライトンの奇跡」と称され、映画化もされた。
五郎丸歩がプレースキックを蹴る前のルーティン「五郎丸ポーズ」も話題となった。
自国開催となった2019年には日本代表は初めてベスト8の決勝トーナメントに進出。
グループリーグのプールAでは、いずれもティア1のアイルランドに19-12、スコットランドに28-21で勝利し、同一大会でティア2がティア1から初めて2勝を挙げた。
準々決勝の南アフリカ戦は3-28と力尽きたが、日本代表が存在感を示した大会となった。
日本中が盛り上がり、急増した「にわかファン」は流行語にもノミネート。
最終的に「ONE TEAM」が令和になって最初の流行語大賞に選ばれた。
こうした日本代表のW杯での戦績や、現在の世界ランク10位という実力も考慮して日本が最高位層のハイパフォーマンスユニオンに入ることになったとみられる。

強豪国とのテストマッチ増で日本代表強化へ
新設されるティア1相当のグループに日本が入るのはメリットは大きい。
近年はW杯での実績からティア1の国や地域と日本がテストマッチを組める機会も増えてきているが、ハイパフォーマンスユニオンに位置付けられることで、今後さらにその回数は増えることが予想される。
ワールドラグビーからの配分金も増えるとみられ、日本代表の強化に充てられそうだ。
今年9月にはW杯フランス大会が開幕する。
フランス大会までに今回の組織変更の効果を得ることは難しいかもしれないが、2027年のオーストラリア大会に向けては日本代表の強化に繋がる。
最上位のグループに入ることで、日本で再びW杯が開催される可能性も出てくる。

「ONE TEAM」から「Our Team」に進化
日本代表は2019年の「ONE TEAM」から、2023年は「Our Team」のテーマを掲げW杯に臨む。
「一人ひとりがチームを引っ張る意識を持つ。
そうすることでチームは強くなっていく」という思いが込められているという。
最近のテストマッチでは昨年10月と11月にフランス、ニュージーランド、イングランドのティア1と対戦。
勝利はならなかったが、ニュージーランドには31-38と善戦した。
2019年の日本大会と同様、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチの指揮のもと、フランス大会では初のベスト4入りを目指す。
