Jリーグが秋春制移行へ 早ければ2026年から
Jリーグは4月25日、リーグ日程の秋春制への移行案を公表した。
この日の理事会後の記者会見で示したもの。
現行の2月開幕から、早ければ2026年シーズンから8月頃に開幕する秋春制に移す考えといい、1993年のJリーグ開幕から30年の節目に大きな変更が決断されそうだ。
Jリーグは議論を重ね、年内に結論を出す方針。

ウィンターブレイク設け欧州とのズレ解消へ
秋春制への移行はJリーグの長年の懸案だった。
サッカーの中心の欧州は8月頃にシーズンが始まり、5月頃に最終節を迎える秋春制。
それに合わせてワールドカップ(W杯)も例年は欧州のシーズン後の夏に開催されている。
2022年のカタールW杯は現地の猛暑を考慮して例外的に初めて北半球の冬の時期に開催されたが、今後も基本的にW杯は夏に行われる。
これまでのW杯イヤーはJリーグは中断期間を設けて対応してきたが、日本代表の強化や選手の移籍などを考えた上で、欧州のカレンダーに合わせることは議論が続けられてきた。
今回、Jリーグが示した案は、7月の最終週から8月の第1週頃に開幕し、最終節は5月最終週から6月第1週頃を想定。
さらに12月第3〜4週頃から2月第1〜2週頃にウィンターブレイク(中断期間)を設けるというもの。
北海道や東北、北陸の雪が多い地域のクラブに配慮した。

世界の日程変更でJリーグも合わせる必要
秋春制の移行は最近だと2017年にも議論されたが、その時はJリーグが理事会で「当面移行しない」と否決していた。
日本サッカー協会の田嶋幸三会長が「世界基準に」と積極的に訴えていたが、Jリーグ側に雪などを理由に難色を示すクラブが多く、頓挫した。
今回、一気にスケジュール変更の議論が進んだのは、世界のサッカー界のカレンダー変更による影響が大きい。
まず、 ACL(アジアチャンピオンズリーグ)の日程が次回の2023ー24シーズンから秋春制へと変わる。
2023年9月に1次リーグが始まり、決勝トーナメントは2024年2月から行われ5月の決勝まで続く。
Jリーグが現行の日程だと大事な決勝トーナメントとシーズンの開幕が重なり、選手たちは早めの始動や、十分にコンディションが上がらないままハイレベルな戦いを強いられることになる。
日本には不利な日程で、アジアの中での日本の存在感や競争力が低下しかねない。
また、ACLを勝ち抜くと出場権が得られるクラブW杯は32チームへと出場枠が拡大される。
2025年から4年ごとの開催となり、アジアには4枠が与えられ4年間のACL王者が出場する予定。
さらに、代表の日程も変更された。
国際Aマッチを組むことができるインターナショナルウインドーは9月と10月に2試合ずつ設けられていたが、2026年からは9〜10月に4試合と形式が変わる。
こうした世界的な日程の変化を受けて、Jリーグも世界から取り残されないためにも秋春制への移行は必然となったかたちと言える。

豪雪の課題残る 選手にはメリット大きい
ただ、ウィンターブレイクを設けても豪雪地域の課題がすぐに解消されるわけではない。
2月はまだ雪深く、現行でも北海道や東北のクラブはピッチが使えず、地元を離れてのキャンプや長期間アウェーの試合が組まれているが、秋春制になればその期間がさらに長くなり負担が増す可能性はある。
一方で、海外移籍を目指す選手にとってはメリットは大きい。
現行だと日本のシーズン終了後の移籍は欧州のシーズン中となり、チームにフィットするのが難しい面もある。
欧州のシーズン開幕に移籍しようとすると日本のシーズン途中でチームを離れなければならない。
秋春制に移れば、こうしたギャップは解消される。
また、サッカーをするには厳しい酷暑の時期の試合が減ることで、選手のパフォーマンス向上や怪我の予防にもつながる。
Jリーグの野々村芳和チェアマンは「まっさらな状態でいろんな人の意見を聞いていきたい。
大切な問題なので最初から多くの人が理解できるものを提示して、議論を進めていかないといけない」と話す。
今後、メリットや懸念点の明確化と解決方法などの議論を重ね、具体化していく方針という。
