フィギュアの「かなだい」が引退 カップルは継続へ
フィギュアスケートのアイスダンスの村元哉中(かな)(30)と髙橋大輔(37)のペアが5月1日、現役引退を発表した。
公式インスタグラムに動画を投稿し、引退を報告。
「かなだい」の愛称で親しまれ、2022年には四大陸選手権で日本勢過去最高の銀メダルを獲得し、今年4月の世界国別対抗戦ではフリーでベストを更新する演技を披露したが、惜しまれつつ第一線を退くこととなった。
今後も「かなだい」としてアイスショーなどで活動していくという。

インスタで「引退を決断」と発表
インスタグラムに投稿した動画で、髙橋は引退の決意を語った。
「今回、皆さまにご報告したいことがあります。
今後の進退について、いろんな方にね、聞かれることがたくさんあったんですけれども、なかなか発表するタイミングを探していたところですね、今このタイミングで発表しようかなということで、まずこのチームアカウントで皆さまにご報告できたらなという風に思っております。
今シーズンを持って競技生活から引退することを決断いたしました」
村元は「2人でいろいろ話し合って決めたことなんですけど、明日、記者の皆さまには記者会見を開きます」と続けた。
4月に東京体育館で行われた世界国別対抗戦で、2人は圧巻の演技を披露していた。
リズムダンスではツイズルとリフトの二つの要素で「レベル4」の最高評価を獲得。
滑り終えると髙橋が「フォー」と雄叫びをあげるほどの充実した内容で、観客もスタンディングオベーションで讃えた。
フリーダンスでは、「オペラ座の怪人」で舞った。
髙橋にとっては2007年に男子シングルで世界選手権で初めて銀メダルを獲得した思い出の曲。
しかも、舞台は同じ東京体育館という巡り合わせだった。
16年ぶりに同じ場所で今度はアイスダンスで披露した「オペラ座の怪人」。
村元との息もぴったりに長い時間のリフトや美しいステップを次々と決めた。
スコアは自己ベストの116.63点。
村元が「記憶に残る演技がしたいとずっと思っていた。幸せな4分間だった」と語り、髙橋は「今季最後に最高の演技ができてよかった」と快心の滑りだった。
ただ、国別対抗戦の後に髙橋は現役続行を含めて今後の活動については「『そこは真面目に考えます』みたいな感じで。だから本当にどうなるのか、自分には分からないです」と明言を避けていた。
この大会を区切りに引退するということは、ある程度2人の頭の中にあったのかもしれない。

結成3シーズン目 髙橋は2度目の引退
髙橋にとっては2度目の引退となる。
男子シングルでは2010年のイタリア・トリノでの世界選手権で日本勢として初優勝し、2010年のバンクーバーオリンピックでは銅メダルを獲得。
2014年に一度引退した。
その後、2018年7月に現役復帰を発表。
2018-19シーズンには全日本選手権で2位となった。
2019年9月にアイスダンスへの転向を表明し、2020年から村元とペアを組んで本格的に活動することを発表した。
村元は女子シングルを経て、2014-15シーズンからアイスダンスに転向。
野口博一の後、クリス・リードとペアを組み、2015-16シーズンの全日本選手権で初優勝。
2018年の平昌オリンピックにも出場した。
「かなだい」のカップル結成からは3シーズンを戦った。
2022年1月に四大陸選手権で日本勢で史上最高となる銀メダルを獲得。
同年12月には全日本選手権で初優勝。
2023年3月の世界選手権では日本勢の過去最高に並ぶ11位となった。

アイスショーで「かなだい」の演技披露
髙橋は男子シングルから未経験だったアイスダンスに転向し、スケーティングの技術は一流であってもリフトやツイズルなど未知の領域で苦労したことも多かった。
3年間、技術を磨いて村元と共に世界で戦えるまでに成長。
ベストスコアも更新し、「かなだい」は一つの完成形にたどり着いたとも言える。
次は5月12日から福岡で開かれるアイスショー「アイスエクスプロージョン」に出演する予定。
これからも氷上で「かなだい」として観客を魅了していく。
