政治

岸田首相ウクライナを電撃訪問!ゼレンスキー大統領との会談が実現

電撃的な弾丸訪問

岸田文雄首相はウクライナを電撃訪問し、3月21日夜(日本時間22日未明)にウクライナの首都キーウにて、ゼレンスキー大統領と首脳会談を行った。

訪問先のインドから日本に帰国せず、極秘でチャーター機に乗ってポーランドに向かった岸田首相。

ポーランドから鉄道を使い、約10時間かけてウクライナ入り。

21日昼(日本時間21日夜)に、キーウの駅に到着した。

会談の前には多数の民間人が虐殺されたキーウ近郊のプチャに立ち寄り、現場の視察も行った。

会談後に行われた両首相による共同記者会見では、日本とウクライナの関係について「特別なグローバル・パートナーシップ」に格上げするとの共同声明を発表。

岸田首相は「なんとしても広島サミットまでにウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領と直接話し、日本の揺るぎない連帯を表明したいと強く思っていた」と述べた。

さらに「ロシアによるウクライナ侵攻は、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙だ。

キーウとプチャを訪問し、惨劇を直接目の当たりにし、改めて強く感じている」と語った。

今年2023年5月に行われるG7広島サミットでは、法の支配に基づく国際秩序を守り抜く決意を示すとともに、国際社会が直面している食糧問題にも取り組む意向も表明。

岸田首相はそのほか、「総額71億ドルのウクライナへの支援を着実に実施する」ことも伝え、

「殺傷能力のない装備品を支援するため、NATO(北大西洋条約機構)の基金を通じて4000万ドルを拠出する」ことも表明。

さらに、エネルギー分野などでの新たな無償支援として、4億7000ドルの供与を行うことも明らかにした。

2国間の関係強化に向けて、情報保護協定の締結に向けて調整を開始することを説明し、

「今後も日本ならではの形で、切れ目なくウクライナを支えていく。

ウクライナの美しい大地に平和が戻るまで、日本はウクライナとともに歩んでいく」との決意表明を行っていた。

岸田首相「日本の揺るぎない連帯を表明したいと強く思っていた」
岸田首相「日本の揺るぎない連帯を表明したいと強く思っていた」

ゼレンスキー大統領は広島サミットにオンラインで参加

会談では、G7議長国としてゼレンスキー大統領を広島サミットにオンラインで招待する考えを伝えた岸田首相。

ゼレンスキー大統領は共同記者会見にて岸田首相の訪問を歓迎し、

日本は「国際秩序の守護者で、ウクライナの昔からの友人。

日本がG7議長国として活動しているときに岸田首相の訪問が実現したことを、非常に嬉しく思う」と感謝の言葉を述べた。

そのうえで、広島サミットにオンラインで招待するとの岸田首相の申し出には応じる意向を示した。

ゼレンスキー大統領は21日夜(日本時間22日未明)、自身のSNSにも

「国際秩序の力強い守護者で、ウクライナの長年の友人である日本の岸田首相をキーウに迎えたことを嬉しく思う」と投稿。

岸田首相を握手で出迎える様子や会談の一場面、ウクライナと日本の国旗が掲げられた部屋で2人並んで写真撮影に応じる場面などを収めた約2分間の動画も公開するなど、日本とウクライナの友好関係をアピールした。

キーウ近郊ブチャの集団埋葬地に花を手向ける岸田首相
キーウ近郊ブチャの集団埋葬地に花を手向ける岸田首相

訪問の内容や成果について帰国後に説明

会談後、キーウ市内のホテルで取材に応じた岸田首相は、

「広島サミットでロシアによる核兵器使用の威嚇への対応などを取り上げてほしいとの要望があった」と明かし、

「議長国として法の支配に基づく国際秩序を守るためのリーダーシップを発揮する決意を新たにした」と述べた。

そのうえで「一致した明確なメッセージを発することができるよう、準備を進めていきたい」とした。

今回の訪問の内容や成果について問われると、「ゼレンスキー大統領からの要請を踏まえ、秘密の保持や危機管理、安全対策に万全を期すべく慎重に調整して実現した」ことを説明。

事前には安全対策の観点などから極秘で調整を進めたが、訪問の内容や成果については「できる限り丁寧に説明させてもらいたい」と語った。

ウクライナへの電撃的な弾丸訪問の日程を終えた岸田首相は、一旦ポーランドに戻って首脳会談を行った後、23日朝に帰国する予定だ。

安全面での課題を克服した歴史的な訪問

2022年2月のロシアによる軍事侵攻が開始されてから1年以上。

その間にはヨーロッパ各国の首脳をはじめとする世界各国の首脳がウクライナへ訪問してきた。

岸田首相も訪問の実現に向け、水面下で調整。

2022年6月にドイツで行われたG7サミットに岸田首相が出席した際にウクライナへの訪問も検討されていたが実現しなかった。

ウクライナ訪問に当たって最大の課題となっていたのは安全面だが、軍隊や特殊機関などが動くことで訪問を実現させてきた各国首脳に対し、日本の自衛隊は海外での要人警護に対応できる明確な規定がないことなどから難航。

2022年6月以降も何度か訪問の機会が検討されていたが実現しないまま年が明けた1月6日、ゼレンスキー大統領との電話会談で訪問の要請があった。

岸田首相は「検討する」と応じ、広島サミットまでの訪問を実現させようと検討を重ねていた。

2月にはバイデン米大統領やメローニ伊大統領の訪問も相次いで実現し、G7の首脳で訪問が実現していないのは岸田首相1人だけとなっていたが、今回ようやく訪問が実現した。

太平洋戦争後は、戦闘が続く国や地域に日本の総理大臣が訪問したことはなく、今回の訪問はまさに歴史的な訪問になったと言える。

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