女性、非正規、単身、ロスジェネ・・・不安定な生活は全て自己責任??
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就職氷河期に社会に出た世代をロスジェネ世代(ロストジェネレーション)と呼ばれたりするが、特にこの世代の単身・非正規の女性らは現在も生活に苦しみ、将来に不安を抱えながら生きている。
今回、行われたアンケート調査では多くの当事者たちからの声が寄せられました。
この苦境は自己責任なのでしょうか。

ものまね芸人 すぎもとりょうこさん
芸人である、すぎともりょうこさんは電話オペレーターも普段行っている。
すぎもとりょうこさん(38)が就職活動を始めたのは2005年で、1985年に男女雇用機会均等法が制定されてから20年後にあたる。
すぎもとさんは、一人暮らしをしながら自立するため総合職を希望した。
募集や採用の際には「男子のみ」とする直接的な文言は差別ととらえられ禁止されていたが、就活中にあることに気付いたという。
有名大の男子学生らは次々に就活が進むが、関西の女子大に通うすぎもとさんは1社も面接に呼ばれず、お呼びじゃないんだなと感じ、女子大に求人を出す企業に絞り、飲料販売会社に就職した。
しかし、体育会系男子色が強かった営業にも毎月毎月、上から出されるケースの販売数を絶対に達成しろというプレッシャーが心の負担に感じ退社した。
そして次に塗料の材料を扱う商社へ就職したが、入社2か月にしてリーマンショックに直面し、社員が徐々に減っていったことで部内では、すぎもとさんだけとなったことで負担が増え続け深夜まで職場で残業をすることもあったという。
半年続けていると、不眠やかゆみなどで体調がどんどん悪化していき最終的に「追い込み型の退職」だったんだと後になって思うようになったという。
退職後は国立大の正規職員を目指すため、まずは大学事務のパートに就いた。
正規職員へは1年間勤務すれば採用試験を受けられるとのことで頑張ったが結局、結果が来ることはなかった。
5年雇用で週30時間の交通費はなしで現実の生活は厳しかった。
このままでいいのかと30歳になり考え、子供のころから得意にしていた「ものまね」で芸人になろうとと東京へ行き、ショーパブでバイトをしながら、タレント養成所で学んだ。
今では、ものまねをたまにSNSで発信しながらコールセンター大手に登録し、損保会社の仕事に就いた。
最後に、「経済力に自信がなく結婚や出産にも踏み込めない状態について労働力としての価値を下げられ、キャリアが詰めない環境から抜け出せない状況にあるのは私たちの能力の問題なのでしょうか」と語った。
非正規単身女性の2人に1人が年収200万円未満
昨秋の調査によれば、首都圏の非正規単身女性の2人に1人が年収200万円未満となっており、貯蓄も10万円未満が最も多くなっている。
就職氷河期に社会に出た「ロスジェネ世代」に属する非正規単身女性に焦点を当てた最新の調査で過酷な労働実態や生活状況が明らかになった。
調査は首都圏に住む34歳から49歳の働く単身女性300人を対象。
300人の内訳は正規が159人で非正規が141人になっている。
正規で最も多かった貯蓄額は「1500万円以上」また、年収は200万円未満が3.1%、と収入および貯蓄に大きな格差がはっきりと出た。

ほぼ半数が老後は「生活保護」
ロスジェネ世代を含む単身、非正規雇用の女性は約半数が老後に貧困化するという予測とデータがあるとされます。
この研究をした国際医療福祉大学の稲垣教授は次のように予測した。
マイクロシミュレーションという手法では近未来の日本社会は65歳以上の未婚または単身女性の約半数である290万人ものひとが将来、生活保護レベル以下の生活、収入になるという結果が出ました。
この世代の女性は男性と比べ非正規雇用が圧倒的に多く、給与が低いために年金、保険料も支払うことができず、貯蓄も少ない。
そのため老後に少額の国民年金を受けるか、無年金になるとされています。
非正規の男性も同様ですが現状、女性ほど正社員率が高いために女性ほど社会的に問題化されないと言われます。
貧困化の原因
これらの現象が起きる原因は、今の社会保障制度の問題があるとされます。
結婚は当たり前ではなくなり、男女雇用機会均等法もできて30年以上が経つが、雇用格差は大きいまま。
現在、問題が大きく表面化していないのは、親世代と同居している率が多いためであるが、いずれは必ず問題がもっと表面化していくため、今から抜本的な制度改革をしていく必要があります。
そのためにも先日行われた衆院選では将来の自分たちのためにも投票に行くことは大きな意味がありました。
先が見えない不安、公助の必要性
非正規教員であり、毎日残業を続けた結果、倒れる
77年生まれの女性は一度も正規雇用で働いたこともないという。
教員免許を持っているため、県費の臨時職員として7年間中学校で働きました。
初めての賞与や決して悪くない給与に対する喜び、きつくてもこの仕事から離れたらこれ以上、稼げる仕事に就ける補償や自信もなく月に100時間以上の残業をし、睡眠時間が4時間半という生活が続きました。
その結果、病を発症し職場で倒れてしまいました。
さらに車も運転することができなくなったことで、車社会である地方で仕事に就くことは難しい。
移動の自由をなくした今、先は何も見えずにいます。。。40代女性)
男女格差で将来不安
ロスジェネ世代ではない20代だが、社会変わらず将来が不安。
男女の賃金格差、介護や家事などが女性に押し付けられやすい社会構造の結果、女性が自立し経済的に備えることは男性に比べ難しいと思う。
女性を優遇しろとかではないが、きちんと平等に偏りがないようにしてほしいし、賃金も上げていけるようにしてほしいし、そうでないと子供を持つことは難しい。
(東京都 20代女性)