社会・文化

中学校の昼食時間に『君が代』を流した生徒に、教師が「ふさわしくない」と指導

放送時間が余ったため生徒が『君が代』を選曲

大分市の中学校の昼食時間中、校内放送で国家『君が代』を流した生徒に対し、教師が「ふさわしくない」と指導をしたことが波紋を呼んでいる。

大分市の中学校で、2023年5月29日の昼食時に起きた出来事。

関係者によると、広報委員会の3人の生徒が昼食時間中に校内放送で音楽を流していた。

毎日、昼食時間中に生徒がポップス系の音楽を選んで流しており、この日もいつもと同じようにポップな音楽を流していたが、予定していた曲を流し終わった後に時間が余ったため、生徒達の判断で『君が代』を流したという。

曲を聞いた教師が放送室に駆け込み、「『君が代』は校内放送にふさわしくない」と指導したところ、3人の生徒のうち1年生の男子生徒が体調不良を訴え、その場で膝をついてうずくまった。

その後、体調不良を訴えた男子生徒は早退した。

学校側は「生徒が悪ふざけで『君が代』を流したわけではないと思われるが、昼食の時間にはふさわしくない」とし、指導した教師の対応は「適切だった」と説明。

このニュースに対し、ネット上にはさまざまな反応が見られている。

指導した教師と同じように、「リラックスした昼食時間に流すには『君が代』はふさわしくないと思うので、指導した内容は適切」と感じる人もいれば、「生徒が選んで流すのであれば昼食時間中に何を流すかは自由なはずなので、『君が代』を流してもよいのでは?」という意見もある。

「『君が代』は、オリンピックやワールドカップなどスポーツの試合でも歌ったり流れたりするので、中学生にはなじみのある曲だったので、特に不自然に感じることなく流したのではないか」という人もいる。

教師の指導についてネットに寄せられるさまざまな意見

昼食時間に『君が代』を流すのが適切か不適切かについての感じ方は人それぞれだと思うが、教師が指導した後生徒が体調不良を訴えた点に注目が集まっている。

注目されているのは、教師の指導内容ではなく指導の仕方が適切であったかどうかという点である。

詳しい状況がわからないため、生徒の体調不良の原因が教師の指導によるものなのかは伝わってきていない。

しかし、たとえ『君が代』を流すことが不適切であったとしても、駆け込んで指導するほどの事態だったのか、指導の仕方はどうだったのかという点に疑問を感じている人が多い。

教師が激しく叱責するような指導をしたのか、口頭で優しく注意したのかは不明。

しかし、生徒が体調不良を訴えたという事実だけが伝わってきているので、教師の指導の仕方が適切であったのか疑問視する人が多い。

また、校則等で昼食時間に流す音楽について明確な規定が明示されていて、『君が代』が禁止されていたにもかかわらず生徒が意図的に流したのであれば注意する必要があっただろう。

しかし、はっきりと明示されていなかったのであれば、悪気なく流した生徒に対し駆け込んでまで注意する必要があったのかどうかも疑問に感じる人はいる。

そして、「学校全体としての指導方針なのか」「この教師1人の考え方なのか」ということでも受け取り方は変わってくる。

日本の国家『君が代』に関してはさまざまな思想をもつ人がいるので、簡単な問題ではないだろう。

難しい問題を抜きにしても、確かに楽しい昼食時間に流す音楽として『君が代』の曲調はふさわしくないと感じる人はいるだろう。

しかし、教師が「『君が代』は昼食時の放送に流すにはふさわしくないので、次からはやめるように」と話し、学校全体で共有すればそれで済んだ問題なのではないだろうか。

しかし、「教師が駆け込んだ」「体調不良を訴えて早退」というワードとともに報道されてしまったため余計な憶測を呼んで、騒動が大きくなってしまっている。

昼の校内放送について改めて考える機会に

今回体調不良を訴えて早退したのは、1年生の男子。

ネット上には「4月に入学して、まだ2カ月に満たない1年生が、この件をきっかけに不登校などにならないことを祈ります」とのコメントもある。

学校側は、生徒に対し丁寧な事後対応が求められるだろう。

そのうえで、各学校とも昼食時間の放送について改めて考える機会になるのではないだろうか。学校のお昼の放送と言えば、各学校で生徒達が工夫をしながら楽しんでいる。

コロナ禍は、感染防止の観点から“黙食”が推奨されており、楽しいはずの昼食時間が重苦しいものになりがちだった。

その雰囲気を、校内放送で流れてくる音楽に救われていたと感じた生徒は多い。係の生徒が好きな音楽を流すことで、聴いているほかの生徒達が新しい音楽や好きな曲との出会いのきっかけとなるケースも多いだろう。

お昼の放送に流す曲として『君が代』が「ふさわしい」か「ふさわしくないか」ということは個人の感じ方によるが、この教師(中学校)が生徒に「ふさわしくない」と指導した理由は、曲調なのか?歌詞なのか?思想の問題なのか?生徒に丁寧に説明や指導を行うべきなのではないかという意見もある。

この中学校の出来事を機に、各学校で「国家について」「昼の校内放送について」話し合う機会を設けてもよいのではないだろうか。

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