レッドソックス吉田正尚が今季5号ソロ 菊池雄星から放つ
メジャーリーグのボストン・レッドソックスの吉田正尚が2日(日本時間3日)、トロント・ブルージェイズ戦に「6番・指名打者」で先発し、5試合ぶりとなる5号ソロ本塁打を放った。
相手投手は菊池雄星。
日本人対決を制し、連続試合安打もメジャートップの「12」まで伸ばした。

日本時代は打ちあぐねた菊池から初本塁打
ボールを捉えた乾いた音が響いた。
吉田は4回1死、2点リードの場面でカウント3ボール1ストライクから、内角寄りやや低めの153キロのストレートを弾き返した。
菊池は打たれた瞬間に「まずい」と思ったのか、投げた勢いのまま右足を軸にコンパスのように回転して打球の行方を追う。
高く上がった打球は右中間のブルペンへと飛び込んだ。
打球速度は103.1マイル(約165.9キロ)、飛距離392フィート(約119.4メートル)。
菊池は帽子に手を当て、がっくりするしかなかった。
吉田と菊池はメジャーではこの日が初対戦だった。
第1打席は1ボールから外角の直球で二ゴロ。
第2打席は吉田に軍配が上がった。
日本で吉田がオリックス、菊池が西武だった時の対戦成績は、吉田は26打数3安打、打率.115、0本塁打、3打点、6三振。
苦手としていた菊池から、メジャーで初本塁打を放った。

5回にもタイムリー放ちマルチ安打で勝利に貢献
試合は吉田の追加点でレッドソックスが3点リードで優位に進めていたが、5回にブルージェイズが一挙6得点を奪って乱打戦となった。
菊池は5回裏に1失点し、さらに1死一、二塁としてしまったところで吉田の打席の前で降板。
この日は自責点5だったが、勝ち負けはつかなかった。
前回4月26日(日本時間27日)のホワイトソックス戦では被安打4、8奪三振で無失点と好投し、開幕から4連勝と好調だったが、その流れを生かせなかった。
吉田は5回、2死二、三塁で菊池から代わったザック・ポップの153キロのシンカーをレフト前へ運び、タイムリーヒット。
この日は3打数2安打、2打点の活躍で、試合もレッドソックスが7-6の逆転で勝利した。

WBC後の不振から復調 メジャートップへ
これで吉田の連続試合安打はメジャートップの12となった。
だが、ここまで調子を上げるのに苦しんだ時期もある。
日本代表として3月にWBCワールドベースボールクラシックを戦うため、レッドソックスへの移籍1年目ながらキャンプを途中離脱するという異例の決断をした。
栗山英樹監督はメジャーリーグへの適応のため、吉田がレッドソックスでの調整を優先した方が良いのではと提案したというが、吉田の日本代表への思いが強く、WBCを戦った。
WBCでは途中から4番を務め、準決勝のメキシコ戦では起死回生の同点3ランホームランを放つなど、大会新記録となる13打点の活躍。
日本代表の2009年以来、3大会ぶりの世界一に貢献した。
しかし、その代償とも言うべきか、メジャーリーグの開幕後は不振に苦しんだ。
21打席連続無安打という絶不調の時期もあり、吉田は「インコースが(視界から)消えていた」と振り返る。
その問題点をルイ・オルティス打撃コーチ補佐と共に修正した。
オルティス氏は吉田が高めの直球に力が入りすぎてゴロになっている点を指摘。
ボールをしっかり両目で見てボールを捉えるようにフォームを修正。
コーチのサポートもあって吉田は復活した。
4月20日以降に18安打を放っているが、この数字はメジャー全球団でトップだという。
MLB公式が発表した5月1日時点の「ルーキーパワーランキング10」では吉田は6位にランクインしている。
前回は5位だったので順位は一つ下がってしまったが、MLB公式は「吉田はスロースターターで開幕当初は打撃不振に陥り、打率も低迷したが、この2週間で目覚ましい発展を遂げた。
並外れた出塁率と、パワーは期待通りだ」と評している。
最近の好調ぶりを持続すれば、今後さらにランクアップすることも期待される。
