社会・文化

マスクの着用ルール緩和!企業や個人の対応は?

マスクの着用ルール緩和初日の様子

新型コロナウイルス感染防止対策として、日本政府はマスクの着用を国民に呼びかけてきたが、2023年3月13日からマスク着用が緩和された。

厚生労働省は2022年5月から、原則として屋外では外し、屋内では着用することを呼びかけてきたが、屋外・屋内にかかわらずマスクの着用を個人の判断に委ねられることになった。

政府によるマスク着用に関する新しい目安によると、感染状況やその場のリスクに応じ、自分で判断することが基本になる。

高齢者や重症化リスクが高い人などへの感染防止のために、医療機関の受診の際や医療機関や高齢者施設を訪問するとき、また混雑した電車やバスなどの公共交通機関を利用するときはマスクの着用を推奨している。

マスク緩和初日となった13日の朝は、岸田首相がマスクを着用せずに首相官邸に入る姿が見られたのを筆頭に、官公庁でも脱マスクが始まり、午前の衆院予算委員会では閣僚がマスクを着けずに集中審議に臨んでいた。

しかし街の様子を見ると、まだマスクを着用して出勤する人々の姿が各地で多く見られている。

各業界や各企業では、マスク着用に対する対応はさまざまだ。

航空会社では、機内や空港内でのマスク着用について乗客、従業員ともに個人の判断に委ねるとしている。

鉄道では、JR東日本、JR東海では在来線・新幹線ともに、ラッシュ時も含めてマスクの着用は乗客個人の判断に委ねられる。

ただし、従業員は引き続きマスクを着用して業務にあたるという。

尚、ラッシュ時は、会話をしている利用者や大声を出している人などにはマスクの着用をお願いすることもあるとしている。

JR東日本では、13日から駅の構内や車内でマスク着用の協力を求める放送をやめた。

しかし、駅や列車を利用する人を見ると、マスクを外している人はわずかだった。

「電車内は混雑していたので着用したが、降りてからは外した」という人もいる。

マスク着用が当たり前になっていたので、「マスクを外したことによる違和感はあるが、対面での意思疎通はしやすくなるのではないか」と歓迎する声もあった。

一方、「ずっとマスクをしていたので、外すのは恥ずかしい」という声も多い。

感染防止というよりも、周りの目が気になるためしばらく着用を続けるという人が多いようだ。

官公庁でも脱マスク開始。
官公庁でも脱マスク開始。

各企業の対応は?

コンビニと百貨店では入店時の着用を個人の判断に委ねるとしているが、コンビニは従業員への着用を推奨し、百貨店は当面の間、従業員のマスク着用は継続する。

一方、高齢者施設では入居者や利用者への感染リスクを鑑み、職員は引き続きマスクを着用する施設が多い。

一般的に脱マスクが広がっていくと見られるため、高齢者施設では「今まで以上に気を引き締める」と話す施設もある。

政府の目安では、事業者が必要に応じて従業員や利用者にマスクの着用を求めることは許容されている。

学校でのマスク着用について文部科学省は、年度末のため3月いっぱいは従来通りマスクの着用を求め、4月1日からの新年度以降は基本的にマスクの着用を求めないとするガイドラインを3月中に示す方針だ。

企業の対応はさまざまだが、一部企業では社員の着用を個人の判断に委ねるとしている。

来月、各企業では入社式が行われるが、株式会社学情の調査によると「入社式でマスクの着用を求める予定」と回答した企業がちょうど半数の50%だったという。

調査は2月20~28日、インターネット上で612社を対象に実施された。

その他の回答を見ると「検討中」が32.8%、

「個人の判断に委ねる予定」という企業は13.1%、

「マスクの着用なしを容認する予定」の企業が4.1%だった。

マスクの着用を求める企業の中には、「新入社員に個人の判断を委ねても、判断が難しいだろう」という理由や、

「感染症法の位置付けが『5類』になるまでは様子を見たい」

「事業の運営上、リスクを低減するため」という意見が挙がっている。

また、入社式の実施方法に関しては「リアルで実施する」と回答した企業が81.2%と多く、昨年の調査結果の67.2%に比べて14ポイント上昇した。

続いて、「オンラインとリアルを組み合わせて実施する」企業が6.0%、

「オンラインでの実施」はわずか0.8%となっている。

そのほか「検討中」の企業が2.5%、

「実施しない」という企業は9.5%という結果だった。

「リアルで実施する」と答えた企業の91.8%は、「コロナ前と同じ規模」で開催する予定だという。

「同期との人間関係を築いてほしい」「入社した実感を得てほしい」という意見が挙がり、「リアルでの開催は4年ぶり」だという企業も複数見られた。

8割強の企業がリアル入社式を行う予定。
8割強の企業がリアル入社式を行う予定。

マスクを外したくない人の理由は?

一方、飲食店の予約サイトを運営する“ぐるなび”が、3月3~5日に全国20~60代の会員100人を対象にインターネット上で実施した調査によると、3月13日以降のマスク着用について35.0%の人が「常に着用していたい」と回答した。

「必要なときに着用したい」57.2%、

「着用したくない」は7.8%だった。

また、飲食店でのマスクの着用は「飲食するときだけ外す」との回答が38.1%で、以前の調査結果の52.9%と比較して約15ポイントの減となった。

そのほか、「飲食の始まりから終りまで、会話するときも含めて外す」という人が40.0%、

「店内ではずっと外す」11.7%、

「入店前からマスクはしない」7.1%という結果で、以前の調査より約5%ずつ上昇している。

「マスクを着用する」と答えた人に、着用したい理由を尋ねた質問の回答は、

「コロナがまだ完全に収束していないから」と答えた人が51.8%、

「感染対策に有効だと思う」47.5%、

「マスク生活に慣れてしまった」34.6%、

「花粉症のため」37.5%という結果になった。

マスク着用のルールは緩和されたが、しばらくはマスク姿が多く見られそうだ。

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