メッツの千賀が今季7勝目 豪華投手陣の中で奮闘
野球のアメリカ・メジャーリーグでメッツの千賀滉大は5日(日本時間6日)、敵地でのダイヤモンドバックス戦に先発し、8回を投げて被安打4、12奪三振、1失点と好投した。
味方が9回に2点を奪って2-1で逆転勝ちし、千賀に今季7勝目の白星がついた。
千賀は今季ここまで7勝5敗。

メジャーで自己最長の8回投げ切る
千賀は味方の援護がなくても、我慢の投球を続けた。
1回に連続安打を許し、1死一、二塁のピンチを招いたが、4番ウォーカーを遊ゴロ併殺に仕留めて乗り切った。
その後は危なげない投球を披露し、4回にはキャロルに対してこの日最速の99マイル(約159キロ)、ど真ん中の直球で見逃し三振を奪う見せ場も作った。
6回1死でロンゴリアを1ボール2ストライクと追い込んだ。
この後に一時打席を外したロンゴリアが構えるのが遅いとして、ピッチクロック違反で球審がストライクを宣告。
自動的に三振となる珍事もあった。
メッツは千賀が今季自己最長の8回を投げ切った直後の9回、二死からアルバレスの本塁打で同点に追いつくと、さらに二死一塁からキャンハがタイムリースリーベースを放ち、逆転に成功。
9回裏を千賀から交代したロバートソンがきっちりと抑え、千賀が勝利投手となった。
野茂、松坂、ダルに続くルーキー200奪三振なるか
ソフトバンクからメジャーに移籍した今季、千賀はメッツでも抜群の存在感を示している。
メッツの先発陣にはマックス・サージャーやジャスティン・バーランダーといったメジャー屈指の投手が並ぶ。
千賀は当初は先発の3番手以降という立ち位置だったが、シーズンが進んだ今、規定投球回数に達しているのはチームの投手陣で千賀だけ。
奪三振や防御率もリーグ上位と奮闘している。
年俸総額3億3068万5945ドル(約475億2600万円)は30球団で断トツの豪華メンバーの中、千賀のパフォーマンスの良さが光っている。
113奪三振はリーグ8位で、200奪三振も達成可能なペースだ。
日本人投手でルーキーイヤーに200奪三振を達成すれば、野茂英雄、松坂大輔、ダルビッシュ有に続く4人目の好成績となる。
千賀と言えば「お化けフォーク」が代名詞。
メジャーでも「ゴーストフォーク」と呼ばれ、その武器は際立っている。
ツイッターの「ピッチングニンジャ」のアカウントで知られる投球分析家のロブ・フリードマン氏は、千賀のストレートとフォークの軌道を合成してツイッターに映像を公開した。
打者の手前でフォークが急激に落下し、ものすごい落差であることがわかる。
途中まではほぼ同じ軌道だが、直球が打者の腰の高さに伸びたのに対し、フォークは地面すれすれで捕手のミットに収まった。
アメリカのファンからも「これは違法」、「千賀はいつかサイヤング賞をとる」といったコメントが寄せられている。

日米ストライクゾーンの違いには戸惑いも
ただ、メジャー1年目ということもあり、千賀も日本の野球との違いに戸惑っている部分も少なからずあるという。
「ボールもマウンドも違うが、なんといってもストライクゾーンが違う」と千賀は語る。
「アメリカでは高めのストライクを取り、むしろ内外角のストライクゾーンが狭く、これは日本とは全く逆。
まるで違うスポーツのように感じるほど。
日本では真ん中に投げてもそれほどダメージを負うことはなかったが、こちらではホームランになるというイメージ。だから、制球にすごく気を使う」
制球を意識するあまり、四球が多いのがメジャーに渡ってからの千賀の課題でもある。
内外角のきわどいコースを球審がストライクをとってくれないと感じている部分もあるようだ。
一方で、高めのストライクゾーンをうまく使えれば、武器のフォークとの高低差を生かしやすくもなる。
1年目で試行錯誤を続けているが、千賀の能力であればストライクゾーンにも適応し、お化けフォークがさらに威力を発揮すると思われる。
