日本国内でサル痘の感染が初めて確認。主な症状や感染経路とは?
サル痘の国内感染が初めて確認される
WHO(世界保健機構)が緊急事態宣言を出した「サル痘」の、日本で初めてとなる感染が確認された。
感染が確認されたのは都内在住の30代男性。
欧米などで感染が拡大したことにより、WHOが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言したのは日本時間の23日夜。
これを受けて日本政府が25日の午前、サル痘に関しての情報収集や治療体制の準備を進めるための対策会議を開催していた矢先に国内での感染確認となった。
新型コロナウイルスが急速に感染拡大している中、ここ数日でサル痘という病気も一気に身近なものになっている。
ちなみに、WHOは、現在「新型コロナウイルス」と「ポリオ」の感染拡大についての緊急事態宣言も継続中なので、サル痘で3つ目の緊急事態宣言となる。

サル痘とはどんな病気なのか
サル痘とは、天然痘ウイルスに似た「サル痘ウイルス」に感染することで発症する病気。
1958年に、ポリオワクチンを製造するため世界中から霊長類が集められた施設で、カニクイザルから最初に発見されたことで「サル痘」という名前が付いた。
重症化すると、サル痘と天然痘との見分けがより困難になる。
症状は発疹や発熱に加えリンパ節腫脹や筋肉痛があり、致死率は1~10%程。
WHOや国立感染研究所によると、サル痘ウイルスの潜伏期間は7~14日で、その後症状が出る。
症状は1~5日間続き、その後発疹。発疹は特徴的で、通常顔面から始まり、全身に広がる。
徐々に膨らみ、水疱(水ぶくれ)になる。水疱からうみが出て、かさぶたとなり、発症から大体2~4週間で治癒。
ほとんどの場合、自然に回復するが、まれに肺炎や敗血症などの合併症を引き起こすことがある。
また、年齢が低いほど重症化する可能性があると言われているので要注意。
WHOが6月の緊急委員会後に出した資料によると、今回の感染拡大で発疹が性器や肛門の周辺などの一部にとどまっているケースや、発熱などの症状が出る前に発疹が出るケースが特徴的だと報告されている。

サル痘の感染経路
サル痘の感染経路は、一般にネズミやリスなどの感染した動物にかまれたり、血液や体液、発疹に触れたりすることで感染すると言われている。
感染した人の発疹や体液、かさぶたに触れたり、患者の使用後の衣服や寝具に接触したり、近距離で飛沫を浴びることで誰でも感染する可能性がある。
今回の感染拡大では、WHOによると「密接な接触によって誰もが感染する可能性がある」としたうえで、患者の多くが男性同士の性的な接触があったことを明らかにしている。
一部の専門家は、ヨーロッパ各地で開催された大規模なイベントによって感染が拡大したかの性があると指摘。
その一方、感染経路が特定できない市中感染と見られる患者も確認されており、特定の人々の病気としてとらえずに警戒すべきだともされている。
そのうえで、サル痘にかかった人と密接に接触すれば誰でも感染するリスクがあることから、病気を理由に不当な扱いを受ける人がいてはならない。
WHOは、症状が出ている人は検査を受け、他の人との接触を避けて医療機関を受診するよう呼び掛けている。
サル痘のワクチンはあるのか
かつて接種が行われた天然痘のワクチンはサル痘にも高い効果があり、感染を防ぐ効果は85%とされている。
かつて日本でも天然痘のワクチン接種が積極的に行なわれており、日本国内で最後に接種が行なわれたのは1976年。
したがって、40代後半以上の人はサル痘に対しても免疫がある可能性がある。
また、日本には効果が高く副反応が少ないとされる天然痘のワクチンが、テロ対策の一環として国家備蓄されている。
しかし、サル痘のワクチンとしての承認はされていないので、厚生労働省は薬の安全性や有効性を調べる「特定臨床研究」として、国立国際医療研究センター病院にて濃厚接触した患者の家族などを対象に接種できる体制を整備した。

今後の体制は?
後藤厚生労働大臣は、25日の閣議後の記者会見で国内の監視体制を強化するなどの対策を取っていることを説明。
国内の初感染を受け、「引き続き、東京都とも連携しつつ詳しい感染経路など必要な調査を進めていく」と述べ、国内で接触者がいないかどうかも含めて調査を進める考えを示した。
また、磯崎官房副長官も、「サル痘への感染は新型コロナウイルスとは異なり、主に感染した人や動物の病変、体液、血液などの性的接触を含む接触によるものが中心」であり、「人から人への感染は容易に起こらない」と述べ、感染が疑われる人などとの接触を避け、手指消毒などの基本的な感染対策を行なうこと、発熱や発信などの体調以上がある場合は、身近な医療機関に相談してほしいことなどを呼びかけた。
水際対策についても、「監視を強化し、海外からの入国者は、日本の到着時に体調が悪い場合、検疫官への申告を促している」とし、さらに徹底したいと語った。
今後、国内での感染が広がらないよう新型コロナウイルスと同時に、各自の注意も必要な状況である。
