長野県中野市で起きた4人殺害事件!青木容疑者の半生とは?
平和な住宅街を襲った恐怖と衝撃
平和な木曜日の夕方に発生し、衝撃が走った長野県中野市の立てこもり事件。
容疑者について少しずつわかってくるとともに、さらなる衝撃が広がっている。
男女4人が殺害されるという痛ましい事件が発生したのは、2023年5月25日午後4時過ぎ。
刃物をもった男が女性を追いかけて、背中や胸を刺した。
目撃者が午後4時26分に、「男が女性を刺した」と通報し、通報を受けた警察官が急いで現場に駆け付けると、刃物を持っていた男がパトカーに近づき、運転席に向かって猟銃を発砲。
その後、もう一発撃った後、自宅に立てこもった。
この男が、殺人の容疑で逮捕された青木政憲容疑者。
刃物で刺されて死亡したのは、近所に住む村上幸枝さんと竹内靖子さんの2人。
そして、駆け付けた中野警察署の玉井良樹警部補と池内卓夫巡査部長の2人が猟銃で撃たれた。
池内巡査部長が運転席に、玉井警部補が助手席に乗っていたという。
村上さんと玉井警部補、池内巡査部長の3人は午後7時までに死亡が確認された。
竹内さんは現場近くで倒れていたが青木容疑者が立てこもっていたため救助できず、青木容疑者が翌日未明に確保された後に死亡が確認された。
青木容疑者が立てこもった自宅には、母親とおばの2人がいた。
その後、午後7〜8時台には自宅から複数回発砲音が聞こえ、午後8時35分頃母親が、日が変わって5月26日の午前0時10分頃におばが逃げ出した。
青木擁護者の母親の話によると、複数回聞こえた発砲音は庭で青木容疑者が自殺を図って失敗したときの音だという。
母親が自殺を手伝うなどと言って猟銃を受け取り、警察に事情を伝えるために自宅を抜け出した。
その後自宅を出たおばは、青木容疑者から出て行くように言われたのだという。
青木容疑者は父親に電話し、どうしたらよいか相談し、父親から「警察に行くしかない」と言われた。
その後、午前4時37分に自宅から出てきた青木容疑者の身柄が確保され、午前8時21分に殺人の容疑で逮捕された。
青木容疑者は、中野市議会の議長を務めていた中野正道氏の長男。
立てこもった自宅には、両親とおばと一緒に4人で暮らしていた。
事件後、5月26日に父親の正道氏は、自ら願い出て議員を辞職した。

青木容疑者の生い立ちと大学中退
青木容疑者は妹と弟の3人兄弟で、妹と弟の2人は別居していた。
3人兄弟の長男として生まれた青木容疑者は、幼い頃はひょうきんでやんちゃな面があったが、小中学校では穏やかな性格になったという。
成績も上位だった青木容疑者は、高校に入ってから成績が下がり、徐々に笑顔が消えていった。
1浪の後に東海大学(東京都)の情報通信系の学部に入学。
入学当初は、神奈川県内にある個室で食事付きの寮に入ったが、ほかの学生となじめず東京都目黒区のアパートで1人暮らしを始めた。
その頃から両親や家族が携帯電話に電話をしても出ず、折り返しもなくなったため、心配した両親が上京すると、青木容疑者は顔面蒼白で虚ろな目をしていたという。
「大学でみんなに『ぼっち』と言われ、バカにされている」と話した青木容疑者は、さらに「(自宅が)盗聴されている」「部屋の隅に監視カメラがある」と疑い、携帯電話の電源を切っていた。
しかし、両親の目には監視カメラがあるようには見えなかった。
心配した両親は青木容疑者を自宅に連れ帰り、大学は中退。
病院の受診を勧めた両親に対し、青木容疑者は「自分は正常だ」と拒否し、受診はしなかった。
大学中退後、父親の勧めで自衛隊に入隊したが続かず、数カ月で除隊。
その後は両親が営むジェラート店の店長や、自身の名前が付いた農園“まさのり農園”も園主を務めていた。

「ぼっち」と言われることや笑顔を向けられることに強い拒否反応
警察の調べに対し、「殺しました。撃ったことは間違いありません」と話し、容疑を認めている青木擁護者。
動機については、「(被害者の女性に)悪口を言われたと思って殺した」と話している。
そして、「射殺されると思ったので、駆け付けた警察官も殺した」という趣旨の供述をしている。
所持していた猟銃は、平成27年以降散弾銃や猟銃など4丁を所持する許可を取っており、その後も毎年更新。
今までは特にトラブルは確認されていない。
中野市を含む長野県の北信地域で、約170人の会員がいる“北信猟友会”にも所属していたことがわかっている。
青木容疑者は、最近も大学時代と同じように『ぼっち』と言われてバカにされたと気にする様子があったという。
2022年の夏、青木容疑者が店長を務めていたジェラート店を手伝っていた男性から「『ぼっち、ぼっち』と言って、俺のことをバカにしている」と怒りを露わにしたことがあった。
また、同じく2022年、男性がジェラート店の中で店員の許可を得て撮影していると、後から青木容疑者が店に入ってきた。
男性が青木容疑者に対し、笑顔で挨拶をすると、青木容疑者は「出てけ!」と威圧するような態度を取ったという。
「ぼっち」と言われることに異様な拒否反応や思い込みを示し、笑顔の人がいると「自分のことを笑っている」と感じてしまうようなところがあったようだ。
今回、女性を刺した動機について「1人ぼっちだとののしられたと思っていた」と話しているという。
殺された村上さんと竹内さんは散歩仲間で、ほぼ毎日仲良く散歩していた。
事件の数日前に2人の散歩コースが変わり、青木容疑者の自宅前を通るようになったというが、自宅の前を楽しそうに笑いながら歩く2人の様子を誤解して、青木容疑者が待ち伏せして犯行に及んだ可能性も指摘されている。
また、村上さんと竹内さんは、青木容疑者の母親が自宅で開いていたフラワーアレンジメント教室に通っており、そのときに接点があったのか、警察の調べは続いている。
