社会・文化

成田悠輔氏の「高齢者は集団自決を」が物議 海外で「Seppuku」報道

 「高齢者は老害化する前に集団自決、集団切腹みたいなことをすればいい」と、主張した経済学者、成田悠輔氏の発言が物議を醸している。

米紙ニューヨーク・タイムズが「Seppuku」と記事で取り上げたことで国内外にこの発言が広まっている。

SNSでもフォロワーが多い成田悠輔氏
SNSでもフォロワーが多い成田悠輔氏

東大出身、MITで学位取得の経済学者

 成田氏は、アメリカのイェール大学アシスタントプロフェッサー。

1985年生まれで、東京の麻布高校から東京大学経済学部に進学。

最優秀卒業論文を受賞して東大大学院に進み、2016年にはマサチューセッツ工科大学(MIT)で博士水準の学位を取得した。

 専門は、データ、アルゴリズム、数学、ポエムを使ったビジネスと公共政策の想像とデザインと自身のウェブページに記している。

「22世紀の民主主義 選挙はアルゴリズムになり、政治家は猫になる」の著書があり、日本のテレビにも出演歴がある。

 片方が丸型、もう片方が四角の独特なデザインの眼鏡をかけ、一定数の若者からの支持もあり、ツイッターのフォロワー数は50万人を超えている。

ホリエモンチャンネルで安楽死に言及

 今回の高齢者をめぐる発言は、ホリエモンこと堀江貴文氏のYouTubeチャンネルで「【成田悠輔×堀江貴文】高齢者は老害化する前に集団切腹すればいい?成田氏の衝撃発言の真意とは」というタイトルで取り上げられたもの。

 この中で成田氏は世代交代の重要性について言及。

高齢になって滑舌も悪くなり、うまくコミュニケーションが取れないような人たちが政治や経済で重要なポストにつき続けていることを問題視したうえでこう語っている。

 「(高齢の偉い人々を)1ミリも尊敬していないかのような雰囲気をみんなが醸し出すようになると、やっぱり誰しも周りに必要とされていない感をガンガン出されるとつらいと思うんで、少し世代交代につながるんじゃないか」

 「僕たちの世代にも問題はあって、わかりやすいポジションや承認欲求とか知名度みたいなもの以外の人生における価値に僕らが気づけていない部分が多いと思っている。

何がなんでも死ぬまでそれにしがみつかなきゃいけないという幻想を抱いて生きている」

 そのうえで、高齢化が進む日本の解決策として「安楽死」については議論の必要があると述べている。

現在の日本では安楽死が認められていないため、ヨーロッパに渡って選択する状況をふまえ、「お金のあるひとだけに許されたオプションになっている。

日本全体でどう議論していくかがすごく重要だと思う」と語った。

安楽死を日本全体でどう議論していくか
安楽死を日本全体でどう議論していくか

海外メディア報道で拡散 発言に賛否

 成田氏の発言に対し、2月12日付のニューヨーク・タイムズが、成田氏の発言を「Seppuku」として「この上ないほど過激」と報道した。

ニューヨーク・タイムズが報じたことで、イギリスのデイリー・メールやテレグラフも後追いし、世界に拡散されている。

 発言の過激さゆえにSNSでは、「成田悠輔をテレビに出すな」「日本の外ではいかにNGな発言か認識すべき」といった批判の声もあがっている。

 一方で、「一般論としては過激すぎるが、政治の世界、特に自民党政治家をみていると、そのとおりだと思ってしまう」、

「問題の本質は、世代交代がないことではなく、日本はそのポジションや役割に相応しくない方が、そこに居続けられる仕組みの問題だと思っています」などと肯定する意見もみられる。

 たしかに、日本は高齢化が進み、政治家で重要なポジションについているのは高齢者ばかり。

世代交代は進まず、停滞感があるのは否めない。

 成田氏の表現に問題があるのも事実だが、それと同時に日本社会が構造的な問題を抱えているのも避けては通れない。

これからの超高齢化社会とどう向き合っていくのかは、日本全体の課題でもある。

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