【警告】ロシアのNATO圏攻撃 ウクライナ飛行禁止区域にしなければ
ウクライナのゼレンスキー大統領はNATO(北大西洋条約機構)に対し、ロシアからの侵攻を受けるウクライナ上空を飛行禁止区域に設定しなければNATO加盟国の領土がロシアからの攻撃を受けることになると警告した。
ゼレンスキー大統領は続けて「私は昨年、NATO加盟国の指導者にロシアに対して厳しい予防的制裁を科さなければ戦争になるとはっきり警告した」と強調し、「我々の考えは正しかった」とした。
ロシア軍は13日、ポーランドとの国境に近いウクライナ西部リビウ郊外にある軍の訓練施設を空爆し、35人が死亡、130人以上が負傷した。
ロシア軍はここ数日間、中部でも攻勢を強めており、明らかに標的の範囲を拡大してきている。
これに対しNATOのイエンス・ストルテンベルぐ事務総長は、「われわれには、この紛争がウクライナの国境を越えてロシアとNATOの全面的な戦争に発展するのを防ぐ責務がある」と述べ、改めてロシア軍が侵攻したウクライナ上空に飛行禁止区域を設定する可能性を排除し、ロシアとNATOの全面的な戦争に発展させてはならないということを強調した。
米「NATO攻撃時には徹底対応」
ロシアがポーランド国境でおよそ24キロ離れた場所に攻撃を加えたことで緊張感を高め、NATO加入国であるポーランド領土までも危険にさらしている。
ウクライナは「NATO領土にロシアのミサイルが落ちるのは時間の問題だ」と警告している。
この事態に米国は「ロシアがもし攻撃した際には、NATOのすべての領域を防衛する」と徹底対応することを強調した。
ロシアは、「ウクライナが海外傭兵の訓練所を配置しており、武器屋装備の保管基地を設けており、それらを防がなければならないし、海外からの傭兵も排除し続けていかねばならない」とした。
バイデン大統領「第3次世界大戦に」
ジョー・バイデン米大統領はウクライナに侵攻しているロシアへの追加制裁を発表する席で「我々はウクライナでロシアと戦争をしない」とし、「NATOとロシアの直接的な衝突は第3次世界大戦となり、我々はこれを防ぐために努力しなければならない」と述べた。
さらに「ヨーロッパで同盟国たちとこれからも共に立ち上がり、明確なメッセージを発信していくつもりだ」とし、「強く団結されたNATOの領土は完全に防御される」とした。
この発言の真意には、「支援はするが、ウクライナの領土には直接的に関与しない」と現したものである。
バイデン大統領が「第3次世界大戦は避けなければならない」と繰り返し述べているのは、「ロシアの攻勢によってウクライナの民間人の犠牲が続いているにも関わらず、米やNATOの兵がウクライナの外にいる」という状況への批判を念頭に発言しているものとみられる。
これは、もし米とNATOがウクライナに入ればロシアとの直接的な戦争がはじまり、最悪の場合には核兵器などを使用した世界大戦へと発展することが懸念されているからである。
このことから米国は、ウクライナからの「自国の領空を飛行禁止区域に設定してほしい」という要請も拒んでおり、飛行禁止区域に設定すれば、ウクライナ上空に入ってきたロシア機を迎撃し、戦闘になるからだと考えられる。
ロシア人50%が「武力の使用を正当」
ロシア人、2人に1人は「ウクライナのNATO加入を阻止するための武力使用は正当である」との世論調査の結果が公開された。
米CNN放送はロシアの成人1021人とウクライナの成人1075人を対象に調査した結果、ウクライナのNATO加入を阻止するためならロシアが武力を使用することは正しいと考えるロシアの回答者が50%に達したという。
「そうでない」と答えた人は25%で、残りの25%は「よくわからない」と答えた。
また、「ロシアとウクライナの国民は一つの民族と思うか」という質問には、ロシア人の64%が「YES」と答え、ウクライナ人は28%だけが「YES」と回答した結果になった。
化学兵器に「真剣対処」を
ポーランドのドゥダ大統領はロシアが今後、大量破壊する化学兵器を使用した場合、「欧州にとどまらず世界全体が危険な状況となる」と述べ、NATOは「対処策を真剣に考える必要がある」と訴えた。
また、ポーランドのミレフスキ駐日大使はロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻に続き、バルト3国そして次にはポーランドにまで手を伸ばしてくるかもしれないと
危機感を示し、ウクライナからポーランドへの避難民が140万人にも上り、長期的な支援も呼びかけた。
米でもロシアがウクライナに生物兵器向けの防護服の持ち込みを始め、使うことへの警戒が強まっており、バイデン米大統領も実際に化学兵器が使われれば「厳しい代償を払わせる」とロシアに警告した。