最下位中日に痛手 エース大野雄大が左ひじ手術へ

 プロ野球中日の大野雄大投手が左ひじの遊離軟骨除去手術を受けることが4月11日、わかった。

立浪和義監督がバンテリンドームナゴヤでの広島戦後の会見で明らかにした。

大野の復帰は8月中になる見込みで、エース左腕の離脱は中日にとって大きな痛手となる。

遊離軟骨の痛み 限界と判断か

 大野は4月4日のヤクルト戦に今季初登板。

7イニング、101球を投げて被安打3、与四球1、3奪三振で1失点はしたものの自責点はゼロと好投していた。

打線の援護がなくチームは0-1で敗れ、敗戦投手となったが、今季の出だしとしてはまずまずのピッチングを見せていた。

 しかし、10日に一部投手による練習に姿を見せず、体調不良を理由に出場選手登録を抹消された。

 大野はここ数年、左ひじに遊離軟骨があることがわかっていながらも、痛みに耐えてプレーを続けていた。

今季初登板後の状態を見て、今後のローテーションを守ることが難しいと判断し、手術を決めたとみられる。

 関節内にできてしまった遊離軟骨を取り除くクリーニング手術はシーズンオフに受ける選手も多い。

術後1〜2ヵ月で投球を再開し、実戦復帰は約3ヵ月が目安。

大野の場合は8月頃の復帰となりそうで、シーズン終盤にクライマックスシリーズ出場をかけた戦いでの巻き返しが期待される。

 大野は京都市出身。

京都外大西高から佛教大を経て、2010年のドラフト会議で中日から1位指名を受けて入団。

力強い速球とスタミナが持ち味で、2012年にプロ初勝利を挙げると13年からは3年連続で二桁勝利を達成した。

 2019年には9月14日の阪神戦で史上81人目となるノーヒットノーランを達成。

この年は最優秀防御率(2.58)も獲得した。

 2020年の活躍はめざましく、7月31日のヤクルト戦から9月1日の広島戦にかけて、5試合連続完投勝利を達成。

9月15日の広島戦の2回裏から10月22日のDeNA戦の9回表にかけて、45回連続無失点を記録した。

20試合に登板して11勝6敗で完投は10。

最多奪三振(148)と2年連続となる最優秀防御率(1.82)のタイトルを獲得。

沢村栄治賞も受賞した。

 2021年には東京オリンピックで金メダル獲得に貢献した。

プロ通算13年で228試合に登板し、84勝87敗、防御率3.02、投球回は1500を超えている。

打線が32イニングタイムリーなしで深刻

 大黒柱の大野の離脱で、不調の中日は苦境が続く。

11日の広島戦は大野の代役として柳裕也が中5日にローテーションの間隔を短縮してマウンドに上がった。

しかし、柳が2失点と粘りながらも打線は1点しか取れず、1-4で敗れた。

 中日は今季2度目の3連敗となり、2勝7敗。

広島の九里に8回まで無得点に抑えられ、立浪監督も「確かにツーシームを使いながら揺さぶられていたが、今のチーム状況もこんな感じで、打線も湿りっぱなし。

誰か奮起してもらわないと」と悩ましい現状を語った。

 立浪監督が就任1年目の昨季は最下位に沈んだ。

今季も借金5で最下位。

9試合での得点がわずか13と、セ・リーグの中で唯一の10点台。

32イニング連続で適時打がなく、頼みのビシエドにもまだ本塁打が出ていないなど、得点力に課題を残す。

ロドリゲスの亡命騒動でバタバタも

 大野の離脱や打線の不調に加えて、チームの編成もばたついている。

ジャリエル・ロドリゲス投手が亡命騒動を起こして未だに来日していない。

 ロドリゲスはキューバ代表で3月のWBCワールドベースボールクラシックにも出場し、準決勝で敗れた後に帰国。

3月29日に再来日する予定だったが、姿を見せず球団と音信不通になっているという。

 その後、アメリカの記者がロドリゲスがドミニカ共和国で練習している動画をツイッターに投稿。

亡命してメジャーリーグへの移籍を模索していると記した。

 ロドリゲスは2020年から中日に加わり、22年には中継ぎで39ホールドを記録。

中日との契約は24年まで残っているといい、このままではメジャーへの移籍もできず、問題は泥沼化しそうな感がある。

 エースの離脱、打線の沈黙、海外選手の亡命騒動と、立浪監督の悩みは尽きない。

中日はせめて大野が復帰する予定の8月にクライマックスシリーズ出場の可能性は残しておきたいところだ。

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