大谷翔平の見えない努力 WBC決起集会を欠席した真相
メジャーリーグエンゼルスの大谷翔平は4月19日(日本時間20日)、敵地でのヤンキース戦に2番DHで出場し、4打数無安打で2三振だった。
1回にはホームランになりそうな打球をヤンキースのアーロン・ジャッジに好捕されて2試合連発とはならず。
連日の活躍で注目を集める大谷だが、人知れず努力する姿も目撃されていた。

またジャッジに本塁打もぎとられる
19日のヤンキース戦。
大谷は1回1死、フルカウントから低めのチェンジアップをすくい上げた。
打球がバックスクリーンへと飛んでいく。
中堅のジャッジが背走し、フェンスぎりぎりでジャンプ。
スタンドに入るボールをグラブの土手の部分に当ててグラウンド側にはじき、地面に落とさず右手の素手でつかみ取った。
打球はフェンスオーバーしており、大谷にとっては今季第5号となるはずだった本塁打をもぎとられてしまった。
ジャッジは昨季62本を放った本塁打王で、大谷のライバル。
昨季もジャッジが大谷の本塁打をフェンス際で阻んだ場面があり、二人の対決はファンを楽しませている。
昨季はア・リーグ新記録となった62本塁打のジャッジがMVPを獲得したが、大谷もベーブルース以来、104年ぶりとなる二桁勝利、二桁本塁打を達成。
現地の記者が「どちらがMVPか選べない」と困惑するほど、ハイレベルな争いだった。
大谷は2021年に続く2年連続のMVPとはならなかったが、それに相応しい内容だった。
ジャッジも大谷のことを「彼は世代を担う才能だ」と称賛。
2歳年下の大谷の実力をヤンキースの主将も認めている。
ヤンキースのアーロン・ブーン監督は、大谷の最も印象的な点を「スピードだね。あまり話題にならないが、彼は最も速い選手だ」と評価する。
実は大谷は足も速い。
2021年には26盗塁も記録している。
二刀流のために体力を温存するという考えは大谷にはまったくなく、WBCワールドベースボールクラシックの準々決勝イタリア戦で見せたセーフティーバントのように常に足を生かした攻撃は狙っている。
また、ブーン監督が評するスピードは投手としてのボールの速さ、打者としてのスイングの速さといったスピードも含まれている。
いずれもメジャートップレベルで体現しているのが大谷だ。
ブーン監督は「彼がやっていることは、本当に驚くべきこと。
マウンド上で打席で。
それに加えて、スピードもある。
今までに見たことがない、もしくは、これかも見られないかもしれない、それくらいのスペシャルな才能だ」と賛辞を送る。

準決勝前の食事会には行かずトレーニング
大谷がこうした活躍を見せられているのは、才能に頼っているだけではない。
人から見えないところでは努力を積み重ねている。
WBC期間中には選手同士の食事会が度々開かれ、大谷も参加した様子が選手のSNSにアップされることが何度かあった。
しかし、準決勝前の決起集会に大谷は姿を見せなかった。
WBC後にはエンゼルスで開幕投手を務めることが決まっており、そこから逆算してトレーニングをしていたのだという。
SNSでも大谷が参加していないことがファンの間で話題となっていた。
野球評論家の高木豊氏がWBC期間中の大谷のトレーニング情報を自身のYouTubeで明かした。
高木氏は「すごいよな。
自分が持ってるルーティンを崩したくないんじゃない?
自分にやることが山ほどある。
やっぱり時間なくて、自分でトレーニングとか考えてたみたい」と脱帽。
投手と打者と、単純に考えてもやることが2倍。
リカバリーのために1日の半分近くは睡眠にあてているという話もあり、大谷にとっては時間がいくらあっても足りないのかもしれない。

イチロー氏に通じる努力できる天才
大谷が尊敬するイチロー氏は「努力せずに何かできるようになる人のことを『天才』というのなら、僕はそうじゃない。
努力した結果、何かができるようになる人のことを『天才』というのなら、僕はそうだと思う。
人が僕のことを、努力もせずに打てるんだと思うなら、それは間違いです」と語ったことがある。
大谷も努力する才能が備わった天才だと言える。
イチロー氏にも共通することだが、天才がものすごい努力をするから前人未踏の記録が生まれる。
大谷にはこれからも、その才能で観る人たちを楽しませてほしい。
