大谷翔平の兜 メジャーリーガーをサムライ化
メジャーリーグのエンゼルスで大谷翔平が取り寄せた兜のパフォーマンスが注目を集めている。
WBCワールドベースボールクラシックでは日本代表を二刀流で2009年以来の優勝へ導き、MVPも獲得した大谷。
侍ジャパンでの活躍を経て、今度は兜でメジャーリーガーたちをサムライ色に染めている。

大谷の初兜は花巻東の先輩菊池から
エンゼルスのベンチに初めて兜がお目見えしたのは7日(日本時間8日)、本拠でのブルージェイズ戦。
1回、無死一塁でトラウトが初球を捉えて先制2ランを放った。
ベンチに戻りチームメイトから祝福を受けると登場したのが日本の武将がかぶる兜。
将軍のような貫禄を漂わせながらハイタッチをしたトラウトは「クールだね。けっこう、重かった。目が隠れて前が見えなかったよ」と笑った。
しかし、翌日8日にはアクシデントも発生。
5回にレンヒーフォが本塁打を放ち、トラウトと同じように兜のセレブレーションを受けたが、ウキウキでかぶると兜の装飾の「鍬形(くわがた)」が片方外れてしまった。
これには観戦していたファンからSNSで「兜壊れた」「大谷翔平がかぶる前なのに」といった声が寄せられた。
ただ、心配は無用だったようで、鍬形は着脱可能なもの。
元々抜けやすいものですぐに元の姿に直された。
そして、9日には待望の大谷に一発。
ブルージェイズ戦で3回に本塁打を放った。
投手は花巻東高校の先輩でもある菊池雄星。
左腕の内角への球をうまく弾き返し、左中間へと運んだ。
菊池も「もう少し外に投げきれないといけなかった。
あそこに行ったら打たれるなと言うボール。
完全に失投ですね。
失投ですけどそこを見逃さずしっかりホームランにするところでレベルの高さを感じました」と大谷を称賛した。
大谷がベンチに戻るとお待ちかねの兜が登場。
大谷は満足した様子でゆっくりと仲間とハイタッチを交わす。
元のあった場所に戻すと、ポンポンと大事そうに兜にもタッチした。

鹿児島の工房が制作 33万円相当の品
エンゼルスでは昨シーズンは本塁打を打った打者にカウボーイハットを被せるセレブレーションが習慣だった。
今シーズンは初めは麦わら帽子が使われていたが、兜に変わった。
コーチの提案で大谷に相談し、水原一平通訳が販売店に製作を依頼したという。
手がけたのは鹿児島県薩摩川内市に本社がある甲冑(かっちゅう)工房丸武。
戦国武将の鎧や兜の製造販売、レンタルをしている会社で、ドラマやCM、時代祭などでも同社の商品が利用されている。
大谷が発注したのは正面に金色の獅子をあしらったオリジナル。
価格は33万円相当という。
エンゼルスでのセレブレーションを受けて、工房には問い合わせが殺到。
完全受注生産で手作りの品のため、入手には時間がかかる見込み。
工房を手がける丸武産業の田ノ上智隆社長は
「僕自身夢でもあった。
侍ジャパン、侍ブルーといわれるなかで、ぜひ甲冑をつかってほしいと思っていた。
地元の地域活性化につながっていけばいいなと思う」と話している。

兜が侍ジャパンのグッズになる日も近い?
実はWBCが始まる前にも大谷は甲冑姿になっていた。
3月に人形メーカーの「久月」が5月の端午の節句に合わせて五月人形「今年の期待大将」を公開。
大谷を中心に、ダルビッシュ有(パドレス)、佐々木朗希(ロッテ)、村上宗隆(ヤクルト)、ラーズ・ヌートバー(カージナルス)の5人が選ばれて人形になった。
鎧に身を包み、バットやグラブを手にしたもので、大谷は二刀流でその両方を持っている。
その期待通りに侍ジャパンはWBCで3大会ぶりの世界一に輝いた。
メジャーリーグでは、吉田正尚(レッドソックス)がオリックス時代のグッズの金色ダンベルを披露するのが本塁打後のセレブレーションになっている。
エンゼルスでは次々とメジャーリーガーがサムライ化。
大谷考案の兜が廉価版で侍ジャパンの公式グッズになる日も近いかもしれない。
