沖縄・失明の高校生「不安で毎日つらかった…」深刻な二次被害も
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1月27日沖縄市の路上で、バイクを運転していた男子高校生が男性巡査に警棒で殴られ、右眼球破裂により失明した事件が発生した。
それから9カ月過ぎ、沖縄県警は「故意」によって傷害を負わせたと判断。
巡査は警棒を右手に持った状態でバイクの高校生に掴みかかったことを認め「掴みかかったことは間違いない。とっさのことだった」と話している。
沖縄県警は、警務部長名で謝罪文を発表。
被害者や家族、県民に謝罪するとともに「再発防止と県民の皆様の信頼回復に努めてまいります」と今後を新たにした。
この事件が発生した直後、沖縄署前に数百人の少年たちが集まって投石し、「沖縄署騒ぎ」として注目されていた。

意見の食い違い、真相は?
県警によれば27日の深夜1時頃、「複数の暴走行為がある」と通報を受けたことから始まった。
高校生の知人によると少年は暴走族ではなくコンビニにたむろしていたが、補導されるのを恐れて逃げ出そうとしたところ、警察官から暴行を受けたという。
当初、男性巡査は高校生に停止を求めたが止まらなかっため、手を伸ばして止めようとし接触したと説明していた。
一方、高校生は巡査が突然飛び出し、警棒を水平打ちして殴打したと主張し、食い違っていた。
関係者によると、巡査は対面から来たバイクを停止させるため、バイクの前方右側から右手で警棒を向け、左手で高校生に掴みかかった。
この時、警棒が高校生の右目辺りに当たった。
巡査は高校生の顔を目がけ警棒を強くたたき付けるような行為ではないと供述しているという。
バイクはその後数百メートル走り去ったところで倒れ、救急車を呼んだとされている。
11月1日沖縄署の署長らは、高校生と家族に面会し、「警棒の使用は不適切」と謝罪した。
県警は巡査がバイクの停止を試み、警棒を持って高校生に掴みかかった行為が暴行に当たるとし、過失ではなく故意によって傷害を負わせたとして書類送検した。

説明会より「不適切な職務執行だった」と謝罪
2日沖縄県警は「説明会」を開き、被害者や家族をはじめ、県民に対して「深くおわび申し上げる」と謝罪した。
高校生は事件から9か月経ったことについて、警察からの謝罪が遅いとし、巡査をしっかり捜査するのか「不安な気持ちで過ごす毎日が辛かった」と語っている。
「説明会」は、警務部首席監察官の山内敏雄氏が対応。
記者団から「本来なら(正式な)記者会見を開くべきではないか」との問いに明言を避けた。
山内氏は、警棒を持ってバイクを止めようとする行為自体が不適切だったとし、指導教養を徹底すると謝罪。
すかさず記者は「警棒を持って止めようとしたのが不適切だったと分かった時点で、すぐに謝罪するべきだったのではないか」と指摘。
それに対して「捜査結果と合わせて謝罪するのが、誠意ある姿勢と判断した」と答えた。
この事件を巡り、ネット上で高校生に対する批判投稿やデマが拡散された。
それにより、高校生は不安を口にするなど、深刻な二次被害に繋がった。
中傷に苦しむ高校生のためにも、迅速にデマを否定する発表をするべきだったのではないかと指摘を受けた山内氏は「誹謗中傷は決して許されるものではない」と述べた。
書類送検された男性巡査は、高校生に対し「怪我を負わせたのは事実なので謝罪したい」と語っているという。
この巡査は沖縄県警に「特別出向」していた。
現在は沖縄署で内勤になり、警察官を続けている。

母親より「警察はいまだに制止したと主張している」
警察と面会した高校生の母親は胸の内を「やっとここまできたか」と明かしている。
「書類送検されて裁判はこれから。警察は謝罪に来たが『制止した』と言っている。
裁判でもそう主張するかもしれない」述べた。
息子の様子ついては、前向きに生きており「早く解決させて前に進みたい」と言ってるそう。
これから裁判が待っていることについて「これからか……もう関わりたくない」と語っているとのこと。
高校生の親族が近況を語る
高校生の親族は、高校生の近況について「元気に高校に通っている」と報告。
「もともと明るい子で、これまでどおり登校している。
この事件が頭から離れることはないだろう」と語った。
高校生は「見えないものはしょうがない。早く全部終わらせたい」と言っているそうだ。
沖縄署に対する投石事件については、全国区のニュースに流れたことによって今に繋がったとし、今後は刑事裁判の結果次第で、民事でも裁判を起こす可能性があるとのこと。
沖縄署は、捜査対象になっているため詳細は答えられないとしながらも、「補償はしっかりしていく」と宣言したそうだ。

ネットより様々な声が
- 警察が失明させたことが事実である以上、早急に謝罪対応をするべきだった。下手に隠そうとする姿勢はイメージも悪い。
- 普通に生活していれば警棒は目に当たらないはず。
- 誹謗中傷もあるかもしれないが、深夜徘徊してバイクに乗り、警察官の静止に従わず逃走したことに対する指摘がほとんどだと思う。
- メディアがこういうのを警察の悪事として報道することがなにより悪質。真実を平等公平に伝えるのがメディアだ。
憶測の中で様々な意見が飛び交っている。
巡査が掴みかかったことを認めるなど、少しずつ事件の真相が明らかになってきた。
高校生の家族は「被害者なのにまるで加害者かのような誹謗中傷を受け、傷つけられたことを県警は重く受け止めてほしい」と切望している。
まだ全ては明らかになっていないが、続報を待ちたい。
