老後に待っている、孤独の世界 日本人男性が抱える見えない病とは
高齢者の男性から受ける質問で特に多いのは、「会社を辞めたら、友達がいなくなったがどうすればいいのか?」というものがある。
この質問の前提には、会社に勤めている間に自分の周りにいる人たちは全員「友達」であるという誤った認識だ。
会社の同僚や部下、上司などのことを、友達と思っているのかもしれないが、この前提条件は大きな誤解だ。
人によっては仕事以外での、飲み仲間や休日に一緒に出掛けたり、家族ぐるみでの付き合いなどもあるかもしれない。
しかし、これらはほとんどが会社内による人事的な物、評価権があるから、そういった関係になっている場合が少なくない。
彼らのほとんどは会社を退職した途端にぱったりとこれまでの交流がなくなり、連絡も途絶えてしまうこともあります。
会社はそれぞれは所属する一つのコミュニティであり、お互い合が所属している間はお互いに励まし合い、助け合い、仲良くする関係が築かれていきます。
しかし、そのコミュニティが消えてしまうと、その関係自体も疎遠のものになり、これまで同じコミュニティにたまたま所属していただけだから行動を共にしてきだけであって、その関係は消えてしまうことがほとんどなのです。
多くの高齢男性が気付いていなかった見えない病
退職した高齢男性の多くが、この関係性に気付かずに、仕事上の人間関係を友達の関係だと勘違いしてしまいます。
特に多い傾向があるのが、大企業や一部上場企業に務めていた男性に限って見られるのが特徴です。
彼らは現役時代に仕事に熱中し、家庭や趣味といった娯楽よりも勤勉に働き出世もしていき、多くの管理職経験も積んできているのです。
会社というコミュニティの中では、彼らには自動的に人間関係が用意されており、上司や部下、同僚など、そしてプロジェクトに向けて、みんなで一丸となって取り組んでいく、そういった同志たちが集まっています。
自分で人間関係を築こうとせずとも、会社から提供され、自分の周りには実に多くの人間に囲まれて過ごしてきています。
そういった日常がいつしか当たり前のようになり、仕事以外でも一緒によく飲みに出かけたり、ランチ時には誰かがお供したりと、自分の中で人から人気があるという感覚を抱きやすくなるのではないでしょうか。
しかし、これこそ大きな罠であり、こういった勘違いがいざ会社を辞めたとたんに一気に大きな孤独感に陥ってしまうことになります。
いつから友達ゼロになるのか
会社から一旦、外に出てしまえばお互い無関係な関係になってしまい、例え以前勤めていたからといって会社に入ることはできませんし、同僚や部下にも連絡をとっても、厄介者扱いされやすいでしょう。
また、仕事上や会社以外での友達がたくさんいるからと思っている人も、その関係は本当にそうなのかと疑う気持ちを持たなければなりません。
会社を辞め、何の肩書もないあなたをその友達という存在はいつまでも付き合ってくれるのでしょうか。
そもそもの間柄は仕事での関係だけではなかったのか、連絡をとるのは仕事での頼みごとがあったからではないでしょうか。
もしくはSNS内にいるフォロワー数をいっているのであれば、それは単純に「いいね」を押してくれるかくれないかの関係でしかありません。
妻への依存が強くなる
このように多くの高齢男性が仕事を辞めた瞬間に一気に虚無感や孤独を感じ、自分には友達はいなかったのだと気づかされることになる。
退職後は特にやることも趣味もない、友達もいないし、何か新しいことを始める意欲も湧いてこず、ずっとだらだらと家の中でテレビを見ながら過ごすことが多くなる傾向がある。
そうなると、一番の被害者はその妻となり、今まで会社に依存してきた対象がなることで、次は妻を依存するようになると言われています。
まさしく幼児のように妻の買い物についていったり、構ってもらおうとしたり、相手にされないと不機嫌になったりすることが多くなります。
だからこそ、これまで趣味を仕事としか見てこなかった人は退職後は心に大きな穴が開いたような状態になるので気を付けなくてはなりません。
生きがいについて
高齢の男性が生きがいと感じるのは趣味やスポーツを除くと、仕事や勉強、収入の項目が高いと言われています。
反対に女性は人とのつながりに生きがいを感じており、食べ物や交流、旅行などが挙がっています。
だからといって男性は老後のためにも人脈づくりや人間関係を見直すことが必要ことではなく、何を持って生きがいにするのか、仕事や勉強以外の分野でも幅を広げ、これまで経験したことのない分野にも挑戦していくことが、老後の虚無感や孤独感を防止することにつながるのではないでしょうか。
今では人生100年時代と呼ばれる時だからこそ、生きがいや自身の価値観などを見つめ直す機会になればと思います。