政治

ゼレンスキー大統領 韓国国会で演説

国会委員の無関心さが露呈

2022年4月11日に韓国の国会で行われたウクライナのゼレンスキー大統領の演説に、

国会議員の2割の50人程度しか参加しなかったとして、韓国メディアから 批判が相次いでいる。

日本や欧米と異なりスタンディングオベーションも起きず、下を向いたり、携帯電話を見たりしながら演説を聞く国会議員もいた。

この状況を見たロシアの大学教員は、韓国国会図書館の座席が空いている写真をソーシャルメディアに投稿し、

「アジアがウクライナにあまり関心がないことの表れで、日本は例外だ」だと主張した。

国際秩序を揺るがす戦争に対する無関心さがロシア側のウクライナ侵攻への正当化に利用される形になっている。


韓国国会演説の現状

ゼレンスキー氏が外国議会で演説するのは韓国が24番目で、アジアでは日本に次いで2番目であった。

会場はネットワークの問題を思慮して本会議場ではなく、国会図書館の大講堂が使われた。

用意された座席は、ガラガラの状態で後方の席には空席が目立った。

韓国メディアによると、国会議員の定員数は300人だが、参加したのはその2割にも満たない50人程度しかなかったという。

また会場では、演説前に国会議員が挨拶を次々と続け、画面の中のゼレンスキー大統領が所在なさそうに長い時間待たされていた。


ゼレンスキー大統領の主張

ゼレンスキー大統領は演説内で、ウクライナ南東部の都市、マリウポリの犠牲者が数万人にのぼった事を言及し、

韓国が朝鮮戦争で多くの犠牲を出した後に復興し、発展できたのは「国際社会からの多くの助けがあったため」と強調。

韓国が経験した朝鮮戦争を引き合いに、共感と連帯を呼びかけた。

そして最後に韓国からの支援に謝意を示しつつ、「ロシアとの戦争に生き残り、勝つためにはもっと多くの助けが必要だ。韓国には戦車や軍艦、ミサイルを防げるたくさんの軍事装備がある。助けてくれたらありがたい」と訴え、兵器の支援を再度要請した。

これは演説の3日前に、韓国とウクライナ両国の国防相による電話協議で、ウクライナ側から対空兵器などの追加支援要請があったが、

韓国側は「殺傷兵器の支援はできない」と応じていなかった為である。

演説の終盤では、マリウポリの惨状を記録した映像も上映された。

映像が終わると、ゼレンスキー大統領の演説を同時通訳していたウクライナ人女性の声は涙声に変わっていた。


メディアからの批判

革新系のハンギョレ新聞は、今回の議員たちの対応を社説に「ゼレンスキーの訴え、『空の国会』が見せた恥ずかしい外交」の見出しを掲げ、「国際秩序の変化に無関心な韓国政治を見せているようだった」と指摘している。

保守系の「中央日報」は、「やっと50人参加した韓国国会 国民は恥ずかしい」「参加しなかった国会議員は最低限の誠意さえ見せなかった」と批判。

「日米での演説と対照的だ」と座席が埋まった日本と比べるように韓国の演説の写真を並べ比較した。

朝鮮日報では、韓国の国会議員が演説に向けた関心の度合いは「他国より著しく低かった」と指摘し

他国では演説を放映した部屋には多くの人が集まったのに対して、韓国では「あちこちが空席」だったと糾弾した。

また各国ではスタンディングオベーションだったが、韓国では「席に座って拍手した」と国会議員の対応に呆れていた。


なぜ韓国では関心が低いのか?

ロシアによる侵攻が始まった当初は、韓国メディアも連日、トップニュースとして扱っていた。

また、ソウル市庁舎やソウルタワーも、ウクライナの国旗の青と黄色にライトアップされるなど、反戦ムードも広がっていた。

しかし3月に入るとメディアでの扱いは、頭打ちとなっていった。

今ではテレビのトップニュースで扱われることも、新聞の一面に掲載されることもほとんどなくなっている。

理由は2つある、国内での大統領選と韓国政府による取材の制限である。

大統領選

まず事件のタイミングが要因の1つにあたる。

ウクライナ侵攻から2週間後、3月9日に大統領選挙が行われ、保守系のユン・ソギョル氏が勝利。5年ぶりの政権交代が行われることになった。

それに伴って大統領執務室の移転問題、閣僚人事などが次々と派生し、国内のニュースがメディアの中心にならざるを得ない事情がある。

海外のニュースは後手に回ってしまうのである。

取材の制限

2つ目に韓国外務省が出している旅行警報による取材の制限である。

2月13日に韓国外務省はウクライナ全土に旅行禁止の注意報を出し、無断入国をした場合は旅券法によって制裁措置を取ると警告を出している。

現在は大手メディアや個人の韓国人ジャーナリストを含め、ウクライナ国内から現地の情報を伝える人はおらず、外国の通信社の写真や映像に頼るしかない状態だという。

この状態ではリアルタイムで中継できる人物がおらず、戦争の現実味がおびないのが問題である。


しかしこのような事情を理解してもなお、韓国国会の対応には誠実さがない。

韓国は現在、GDPにおいてもトップ10には入る経済大国である。

“戦争”という点においても苦い経験があるため、もう少しウクライナ情勢の関与を見せ欧米と歩幅を合わせて欲しいと感じる。

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