過労自殺は半数が「直前にうつ」・・・6割超が医療機関受診せず

世界的にみても「働きすぎ」と言われる日本は、それが元で自殺する割合が高い国ともされている。


厚生労働省の調査によると2012年~2017年度に労災認定された過労自殺者の数は497人とされ、そのうちの半数が自殺の原因とされる、うつ病や精神疾患発症から6日以内に死亡していることが明らかになった。

精神科への受診歴がない人も多く含まれていたことから、長時間労働によって突発的な精神異常が起き、亡くなっていまったというケースが多い。


専門家は「会社や周囲の人が本人が気付かない異変などの変化を早期に把握するとともにストレス軽減をサポートしていくことが重要である」と指摘している。

なお、これら今回の調査結果は近々閣議決定される見通しである2021年版「過労死等防止対策白書」に盛り込まれるものとなっている。


過労自殺の労災認定は関係者の聴取や記録資料の調査に基づいて精神科医らが協議し、自殺の原因となったうつや精神疾患がいつ、どのよう原因で発症したのかを検討する。

白書では12年度から6年間の期間にわたりうつ病や精神疾患で労災認定された自殺者497人(男性が479人、女性18人)を対象とした分析し、発症から死亡までの日数が6日以内であった数が235人(47%)と最も多く、「7~29日」が93人(19%)で「30~89日」が75人(15%)であったとしている。

自殺の前の状況を分析してみると「仕事内容や仕事量の大きな変化」が177件と最も高く、「2週間以上の連続勤務」が109件、「上司との何らかのトラブル」が92件、「いじめや暴行」が60件になっている。


また、1か月の残業が160時間以上と極度の長時間労働が88件に上っていた。

発症時の年齢は40代が163人と最多で続いて30代が129人と働き盛りの世代が半数を占めた結果になった。


そして6割以上の318人が精神科などへの医療機関を受診していなかったこと、、特に長時間労働を強いられていた自殺者88人中、4分の3にあたる67人が受診していなかった。

これを受けて、過労死弁護団全国連絡会議幹事長の玉木一成弁護士は「会話や笑顔が減った際、不眠、食欲不振は特に注意し、上司や同僚、家族らはこれらの変化を見逃さずにしてもらいたい。

経営者や管理職が労働時間を適切に管理し、厳重な労働を防いでいかなければならない」としている。

社会

神戸市洋菓子メーカーの例

2016年に神戸市の洋菓子メーカー「ゴンチャロフ製菓」に務めていた前田颯斗さん(当時20歳)が2016年、上司からのパワーハラスメントや長時間労働の過労が原因となり、若くして命を絶った。


当初、会社側はパワハラや長時間労働などんを認めていなかったが、遺族が同僚から集めた証言によって会社側が態度を変えたとされる。


亡くなった前田さんは高校卒業後、2014年4月に正社員として入社し、チョコレートなどの製造で神戸市内にある工場に勤めていた。

しかし、職場の上司から工場で不良品が発生した際、「お前は牛の餌を作っているのか」などと叱責し、パワハラを繰り返していたとされる。


また、前田さんは月80時間以上の時間外労働を3カ月以上続けたこともある、2015年12月にうつ病を発症し、2016年6月に自殺した。

西宮労働基準監督署は18年6月、上司の叱責や長時間労働によるうつ病が自殺の原因だとして労災を認定したが、パワハラについては「上司とのトラブル」までとの指摘にとどまり、会社側も過重労働やパワハラはなかったとしていた。

しかし、母親である和美さんが前田さんの同僚らから当時、上司からあったとされる言動などの証言を集め、再び会社側に問いただしたところ、会社側は「牛の餌」などの発言がパワハラであったこと、長時間労働もあったことを一転して認め、今年6月11日付けで示談が成立した。


光葉正博社長は和美さんへの謝罪を行い、上司らの懲戒処分も行ったとした。


これに対し、和美さんは「やっと息子の尊厳を守ることができた。会社は今後、再発防止に取り組み、息子の死を無駄にしないようにしていってほしい」と述べた。


光葉社長は「早急に内部通報する仕組みを構築するなど、ハラスメント被害防止に向けた取り組みを行う」とのコメントを出した。

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香川県内金属加工会社の例

勤務先の後輩への恐喝罪などで罪に問われた元会社員男に対する高松地裁の公判でこれまで男が繰り返してきた数々の職場でのいじめの実態が明らかにされた。

ミスの叱責から始まり、給与を取り上げたり裸で仕事をさせるなどのいじめは、なんと10年以上も続いていたとされる。

被告は51歳の男で、起訴状によると昨年の6~9月に当時勤務していた香川県内金属加工会社に勤めていた男性後輩(44)から合計84万円ほどを脅し取ったとされ、2月の初公判で起訴事実を認めた。

いじめは被害者の後輩がミスをしたことから始まり、𠮟責の頻度は増していき2019年からは殴るなどの暴力、後輩男性がミスをするたびに「罰金」とし金銭を要求していったとされる。


また、殴るのに鉄パイプを使うようになり、後輩の給与の大半も取り上げるようになった。


いじめはだんだんとエスカレートしていき、後輩を裸にしたうえでオムツをはかせて作業させたり、大量の水を飲ませながらわざとトイレに行くことも禁じたりした。


さらには勤務先の天井に取り付けられたクレーンにつるして回したこともあったとされる。

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